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家庭菜園部で行こう!!  作者: ゼリー
導入
51/210

51 仮入部を振り返って、



 木工部の三日間の仮入部も無事終わり、

その足でとりあえず一息つきに喫茶店部へ。


「未来ちゃん、お疲れさま」


 喫茶店部の小倉がホットココアを差し出してくれた。


「あ、何も頼んでないですのに!」

「ああいいよ、ココアの粉余ってたからさ!何かほかに頼みたいと言うなら止めないよ!」

「いえ、帰ってからご飯食べるので大丈夫です~。ココア有難うございます」

「・・・なんか元気ないかな?」

「いや、ちょっと色々考え事がありまして」

「そっかそっか。ま、ごゆっくりね」


 気を遣わせてしまったようだ。

入部についてしっかり考えないとだ。

今日で仮入部期間も終わり、明日には入部の紙を提出しなければならない。


 木工部での三日間は正しい意味で良く学べたと思う。

作ったもの自体はそれほど多くはないけれど、実際の仕事と勉強との関わりとか

そう言ったことを知れた。普通の部活では生徒が主体なので、実際にその仕事をしている人に師事することも無いため、貴重な機会であったことは間違いない。


 まぁでも、用務員さんの言う通りで毎日でなくても良いとも思う。

それにそもそも部活巡りをし始めた理由として、家庭菜園部に入るためにやり始めた訳である。


 少々悔しいが森野の目論見通りというか、部活巡りをする前に家庭菜園部にそのまま入ったのと、

今、この様々な部活を経験した状態で家庭菜園部に入部するのとでは、外から見たら変わらないかもしれないが、内面としては意味合いがまるで違う。


 単純にこの学校の人達の知り合いが増えたことも、

彼らの生活を護っていくのが仕事と考えると、自分にとってとても大切であるように思う。


 小倉がチラチラとこちらを見ていることに気が付いた。


 そうだ、彼女も私にとっては仲が良く大好きな先輩で、

所属するこのバッファロー・・・じゃなかった、喫茶店部という場所も大事である。


 …ああなるほど、喫茶店部に入部するのかどうかが気になるのだろうか。

それもそのはず、この喫茶店部の今後を考えると一年生の部員が入らなければ存続は難しいだろう。

 だが、そういうことを考えると、どこの部活も皆三年で卒業してしまうので、常に直面する問題だと思う。

 ミステリー部なんかは、好きな人が好きなことをできる部活であるし、

 木工部も同様であり、また用務員さんが部長みたいなものだから存続なんかは問題はないだろう。見たところ40前後くらいの年齢だと思うので、まだまだ現役だ。

 まぁ、これから入学する人たちに選択肢の幅があればあるだけ可能性は広がるので、どの部活も同様に続いていってほしい。

って、自分もまだ入学して一か月だというのに、なんで卒業生みたいなこと考えているんだろう。

笑ってしまう。


 購買部なんかは、働いたら働いただけ給料を貰えるので、外でアルバイトをするよりも割もいいし。移動や待機時間なんかも気にしなくても良いし、

なにより接客するうえで、相手がこの学園の生徒たちということも大きい。

 多分変な人も少ないだろうから安心感がある。同様に感じている人も多いだろうから、存続などについては問題ないだろう。

 まぁホタル先輩ら中心人物はおそらくなにかしら気を揉むようなこともしばしばあるだろうが。


 裁縫部は…うん。新しい人が入るといいよね…。

喫茶店部のように、ある程度の期間やれば何とか(昼のピーク時は何とかならない場合もあるけれど)なるわけではないのが問題だ。

技術を得るにも時間がかかるし、非人道的なスケジュールをこの時期はこなさなければならないのがどうにもならない。まぁそういう仕事が好きな人に入って貰うのが一番だなぁ。ごめん自分はちょっと無理だ。


 とそこまで振り返ったが、やはり特異なのが家庭菜園部という存在である。

唯一、森野だけが一人で学園を護っている。

クマの着ぐるみは正直謎であるが、その責任感とエネルギーはどれほどのものなのだろうか、

それともちょっとおバカそうだからそんなことは意識の外かもしれない。


 人間同士のいざこざだけならまだしも、

話を聞く限りだが、時と場合によっては幽霊や妖怪も相手にしなくてはならないのだろう。

自分が遭遇した妖怪ですら、影を盗まれてしまうという恐ろしい存在であった。

 しかも本当かどうかは定かではないが、それですら力の弱い妖怪であるという話だ。

あの時はミステリー部のみんながいたから何とか助かったが、一人では対応できない場合もあるのではないか?

 そういうことを考えると、自分は腕っぷしには自信は全くないが、人数がいるだけで何とかしのげることもあると思う。



 となれば、やはり自分がすべきことは…。


 そこまで考えたところで、突如、頭の中でキーーンと電波が走るような感覚がした。



 これは…。


 この前は気付かなかったが、これはアレだ。

霊的な存在を感知した時の、えーとなんだっけ、

周波数が合うみたいな感覚?


 この感じは、前回と同じだから…

と思い、荷物は置いたまま喫茶店部から出る。


 おそらく、屋上だ!


 未来は急いで階段を駆け上がる。

 何度か屋上で遭遇した女生徒、理由は分からないが彼女が霊に憑かれたりしているのかもしれない。

 前回はっきりと自分の霊的なセンサーが反応した訳であるが、

その前からちょっと疲れたような顔をしていたようにも思う。あんがい疲れたと憑かれたは関係しているのかもしれないなぁ。などとのんきなことも考えた。


 ふと未来はミステリー部の水神の言葉を思い出す。

幽霊が人間に干渉できるのは幽霊が実体に近づいているか、人間が幽体に近づいているかだと。

その考えに当てはめると、精神的にか肉体的にかは分からないけれど、

疲れて死に近づく(極端かもしれないが)と人間が幽体に近づいているということなのかもしれない。


 そこまで考えたときに屋上の扉の前に辿り着いた。

 確かに前回と同じ波長ではあるが、この扉の先の反応はより強く感じる。

ここまで禍々しいプレッシャーを感じると、この扉がさも地獄の門のように思える。

 だが、進まないことには何も解決しない。


未来は意を決して、


その扉を開けた!



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