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家庭菜園部で行こう!!  作者: ゼリー
導入
35/210

35 ひっぱりだこらしい


 学校に戻ってきて、

いよいよ未来の裁縫部の三日間の体験が終わるとなった時、全員から縋りついて止められた。

このままじゃ納期に間に合わないとか、買い物だけ手伝ってほしいとか、

この忙しい時期だけでいいからとか。

 でもこちらも、次に仮入部する部活によっては手伝えない可能性もあるので丁重にお断りした。

手伝いたい気持ちはもちろん大いにあるが、

先のわからない約束はお互いに不幸になる可能性があるので、しないようにしないといけない。

でも関わってしまった以上、全く無下にするわけにもいかずその狭間で困ってしまったが、ふとそこでピンと立つものがあった


「あ、一つ思いついたのですが、購買部にモノの配達制度みたいなものがあるのですが、逆に買い出しを頼むこともできるんじゃないかと思うんです。お金はもちろんかかりますが、一度頼んでみてはいかがでしょうか」


 裁縫部の皆から歓声が上がる。

 それにとどまらずうれし泣きする人やこちらを拝む人まで。

 いやいや、感情暴走しすぎでしょう!

 人は追いつめられるとこうまでなるのか…。

 ブラック部活恐るべし。

 何にしても、部活巡りの経験が役立ってよかった。


「私、仮入部をして話しやすいので自分が聞いてきてみましょうか?」


 未来がそう言うと。突然全員に取り囲まれ、持ち上げられる。

 なんだなんだ!?

 どうやら胴上げをしようとしているのだが、

 全員寝不足で力が出ないらしくそのまま崩れ落ちる。


「ちょ、ここで誰かケガしたら総崩れになるので、無理しないでください!」




 そうしてその足で購買部に来た未来。

よくよく考えたら普通の部活の人も普通じゃない部活の人も大体は帰っている時間だったことに気づいたが。


「お、どこぞのスパイかと思ったら、常連の小悪魔ちゃんだ」


 明かりがついていたので覗いたらそんな声をかけられた。

 お馴染みの購買部の三年生、ホタル先輩だ。


「小悪魔だなんてそんな、自分のどこにそんな要素が。むしろ悪魔とか、魔王とかの方がふさわしいのではないでしょうか」


 そんな適当な返事をしたら笑われた。


「ごめんごめん、今日たまたま淡(あわい 喫茶店部の焔先輩のことである)と話してたら司馬さんの話になってね、

新入生にしては人員に欲しいくらい筋がいいけれど、いくつか部活を回っているからどの部活に入るのかやきもきしちゃうみたいな話になってねぇ」


 ひっぱいだことはこのことか。タコの足を八方から引っ張るイメージが頭に浮かんだ。体がちぎれてしまう。


「いやぁ、ちょっと事情があって部活巡りをしなくてはならないので、自分の意志ではないんですけれど…。でもそう言ってもらえると頑張ったかいがありますね」

「そうなんだ?でもしょっちゅう見かけるからちょっとは期待しちゃったりしているけれども。ああ…でも裁縫部のおつかいじゃしょうがないか」

「あの品ぞろえを知った以上はおつかいじゃなくてもいきますとも!ちょいちょい昼休みとか自分のパン買ってますし!」


 その発言にホタル先輩は満足気に笑った。


「そういえば去年は代々木ちゃんも毎日のように来ていたな」

「代々木…代々木。あっおはよう先輩ですか!」


 くすくすと笑われ、なにそれと言われる。

そうか、私の中でしか定着していないんだった。裁縫部ではおはようと代々木を合わせておはよよとか言うのが流行りだしている。

 おっと、こうしている場合ではなかった。無駄にホタル先輩の時間をもらってしまった。裁縫部のみんなもきっと待ってい・・・いや作業やってるな。絶対。


 購買部はと言うと、通常営業はとうに終わっていたが、三年生数人が残って話し合いをしていたらしい。

 それが終わりどうも今帰るところだったようだ。


「わざわざこんな時間に来たってことは、何か用事があったのかな?」

「変な時間にすみません…」


 ホタル先輩に事の経緯と買い出しを頼めるか説明すると、


「もちろんそれは大丈夫だよ。その場合時間換算で料金が発生するけど大丈夫かな?」

「伝えておきますが、お金の了解も得ていますし、

それよりも時間が惜しいとのことなので大丈夫だと思います」

「わかったよー、それじゃあこちらも誰か裁縫部の人が来た時に対応できるように周知しておくね」


 よかった、問題はなさそうだ。

ただ日によってシフトがあるので

数日前に言ってもらえれば問題ないが、急ぎの場合だと追加料金が発生することがあると付け加えられた。



 それを裁縫部に再び戻って伝えると、

また胴上げされそうになったが、やはり失敗した。


「これからまた徹夜で仕事なんですから、こんなところで力使わないでください!」


 先輩たちに対して一喝しておいた。

でもある意味良い経験をありがとうございます。

雑用しかできなくて申し訳ない。

また差し入れにでもしにこよう。


「あ、三日間手伝いをしてくれた何かお礼でも」

「いや、そんなことに頭を回さずに、仕事に集中してくださいよ。

しいて言うなら…制服を買う時に少し優遇してもらうっていうのはどうでしょうか?」


 その発言を聞いた先輩方は泡を吹いて倒れたり、

やはり泣き出したりする人もいる。

なのであわてて訂正する。


「あわわ、今じゃないですよ!!暇、暇になったらですよ!」


 全員がほっとした表情を見せた。

 良かった!危ない危ない。

 でも、感情の振れ幅が大きすぎるせいか、無料でやってくれるとか何とか言いだしたのは止めておいた。

 1000円、2000円とオークションの様に値上がってくるのを自分が安すぎる!と止める。ふつう逆でしょう!

 結局は材料費だけの負担で片がついた。と言うか勢いで制服を買うことにしてしまった。以前は試着だけしてみようかなぁなんて思っていたが。


 でも、こんな命を削って作っているのを見ると、欲しくなっちゃうよね。

良いものだというのは実際見て分かっているから。






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