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家庭菜園部で行こう!!  作者: ゼリー
導入
32/210

32 眠くてもとても眠いとは言えない。

 



 駅で電車を待っていると、小さな車両が目の前に止まった


 それに乗り込むと実は子供用の車両であり


 立つだけにも背中を曲げないと立てない


 元々小さめの自分であるが、それでも窮屈なことこの上ない


 おそらくは就学前~小学校低学年向けだったのだろう。

 


 そんな夢を見た。

もちろん起きたときには身体は重く、どっと疲れていた。

昨日大荷物で肩身狭く電車に乗ったことが原因かもしれない。というか絶対そうだ。



 朝、少し早く登校して裁縫部に顔を出すと、

皆、無表情で作業をしていた。

 手前の生活スペースが少し散らかっていたので軽く掃除をする。

するとおはよう先輩が、というかおやすみ先輩になっていて、ふらつく足取りで近づいてくる。


「おぉぉはょうぅう…ちょとのみもの買ってきてもらってもいぃいぃ?」


 というと私の手に千円を握らせた。


 なんかはたからみると酔っ払いが飲み屋のおねーちゃんにお金を渡してるようなイメージが浮かんだ。


 飲み物を買って、一声かけ布団を敷いておいた。

昨日も朝(という名の放課後)布団が最初敷いてあったのでこれでよいだろう。

 では私は教室に戻りますと一声かけて、部室を出る。

授業に出る(という名の睡眠時間)人たちは動きやすい部屋着のような服から、外用の服に着替えていた。

これから寝るのに、寝るときは外用で、仕事の時は部屋着でって、何か色々間違っている気も…。




「未来ちゃん、裁縫部の初日はどうだった?」


 教室に戻ると、同じクラスの土屋咲がそう話しかけてきた。


「自分は買い出しで荷物が多くて大変なくらいでしたけど、なんというか先輩方を見ているのがつらいというか…」

「あー、自分のことじゃないと心配するしかできないもんね~」

「咲ちゃんもそういう事が?」

「うん~、なんか新聞部も記事のネタに困ってるみたいでさ~、何とかしてわたしも力になりたいんだけどね」


 なるほど、この学園なら自分だったらネタに困らなそうだなとは思うのだが、

上級生などは慣れてしまったりするのかな。何か提案してあげたいところだが…。


「・・・新入生も部活選びに困っている人もいそうですから、

ちゃんと取材してどのように部活動をしているか記事にしてもよさそうですね」

「ほむほむ、ちょっと後で提案してみようかな」



-----



 放課後になり、裁縫部の部室へ

 部室のカーテンを開け、布団で寝ていた先輩をやんわりと起こす。

布団を片づけている間におはよう先輩のおはよう先輩バージョンが来てくれたので、お金をもらい購買部に買い出しに行く。


 買い物ついでに受注表ももらう、さすがに昨日よりは少ない。

裁縫部の人達のことを考えると制服の受注が多くないのは良かったと思うし、

自分が試着担当でもぎ取った受注のことも考えると良かったとは思うが、

これが仕事だったらどうだろう。仕事は多い方が良いとは思う。多すぎるのも大変。中々難しい。



 戻ってきて、朝ご飯(未来はおやつ)をみんなで食べていたら、

おはよう先輩から一つ頼まれた。

 どうも、学校で寝泊りをするので深夜活動の許可申請の書類を提出するらしい。

裁縫部は仕事がある限りしょっちゅう泊りがけになるので、

一週間分くらいまとめてスケジュールを提出する様だ。

平日毎日寝泊りを繰り返しているのかと思いきや、日によって何人か家に帰ったり、

個人的な予定によっては部活を休んだりもする。



 それを生徒会に提出しに行く。


 仕事で使ったものをおはよう先輩に場所を聞きつつ片づける。


 昨日買ったものもそれぞれ決まった場所に保管する。


 新たに新入生が来た時に、おはよう先輩の手を煩わせないように、

おいてる場所にモノの名前のシールを貼っておく。


 そして一通り終わった後、


「新しく人が入ってきたときに分かるように名前を貼っておきました!」

「おおっ、ありがとうっ。そしたら次はね」


 と言うとおはよう先輩は大きい雑誌みたいなものを持ってきて、


 生活スペースのちゃぶ台の上にドスンと置いた。


「これを見といてほしい」

「これは…制服、大全集?今年度の?」

「そうです。これを見て、うちの学園と同じような制服がないか探してもらって、ひたすら付箋貼っていってください。

基本的な制服のベースは似たような感じなので多くなると思いますが、その辺りは相当似ているものをピックアップしてください。

特に、無いとは思いますがドンピシャで同じものがあれば付箋に注意と書いてください。

うちの制服はあくまで世間としては制服風私服なので、万が一デザイナーとかその学校に訴えられたら、活動が危ぶまれます。

仮にここの制服が普通のと同じようなものならまだいいんですけどね、

かっこかわいいものの方がみんな嬉しいし作っていても楽しいから、

なおさらもし他の学校と被るとしたら、その学校独自にデザイナーさんに頼んだ制服とかの方が可能性が高いんですよ。

だからそれで被ったほうがよけいに問題になるというか、大変というか…」

「なるほどー」

「それともう一点」

「はいっ」

「司馬さんが、これはという制服があったらそれも別の色の付箋とかでチェックしておいてください。

これは毎年、部員全員参加で制服のコンペをするんですが、新入生の好みとかを知るためにも役立ちますし、

司馬さんが万が一裁縫部に入った場合、やはり自分の気に入ったものを参考にするのが楽しいと思うので。

以上、まとめてばばっと喋っちゃいましたが、何か質問とかありますか?」

「いえ、とりあえずやってみます!」

「ではお昼までお願いしますね!」


 もちろんお昼という名の夕ご飯である。

地味に万が一裁縫部に入った場合とか言っているのがブラックジョークで面白かった。



 壁に一着ずつかけてある今年の制服と見比べながらチェックしていく。

全く同じというものは無いものの、見ていくうちに似ているんじゃないかというのはいくつか見つかる。

写真は大きくはないので細部は分からないが、ここの制服の方がどうも洗練されているように思う。毎年更新しているという積み重ねがあるのかもしれない。

他の学校は制服が新しくなることなんて中々ないのだろうし。

それかやはり、自分たちが着るという意識がより良いものへ昇華させているのかもしれない。


 しかしページをめくっていくにつれ、新鮮味が無くなりだんだん同じようなものに見えてくる。

そうやって脳がマヒしてくると眠気が…。

たまーに、変わった制服があると『おっ』となって目が少し覚めて付箋を貼る。

似たようなやつ、

似たようなやつ…




 しばらくして、はっと起きると、

先輩方が自分を取り囲んで、ちゃぶ台に突っ伏して寝ている姿を観察している。


「ぉわぁあっっ!」


 一気に目が覚める。本に垂れていたよだれを服の袖でふき取る。


「お、起きた」


 きょろきょろと顔色を伺うが、怒っている感じではない。


「司馬さん、そろそろお昼ご飯行くけど、あまり眠いなら今日のところは帰る?」

「いえいえ、行きます!行かせてください!」


 普段作業で忙しいので色々聞ける食事のタイミングを逃すわけにはいかない。


「むしろ皆さん頑張ってお仕事しているのにわたしだけ寝てしまって申し訳ない」

「いやいや、気にしないで、多分みんな経験してるしさ!」


 ほぼ全員が頷いている。

 

 皆ほんとにやさしい。


「さて今日はどこに行きましょうか」


 決を採った結果、食堂になったようだ。

近くに安いわりにそこそこ量もあっておいしいところがあるらしい。

まさに学生向けである。




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