27 初給料記念
購買部を出てその足で喫茶店部に来た未来。
暇そうなタイミングを見計らって小倉に話しかける。
購買部でお金をもらったこと。喫茶店部はそういうシステムに関してはどうなっているのかなどなど。
…いや決して仮入部終わった時にお給料が貰えなかったことに不満を抱いているわけではない。だって正直邪魔になっていただけだもの。本当にないったらない。
「ああ、購買部は特に稼ぐということに関してほんっとにプロ意識が高いんだよ、
外のバイトと同じで、仕事をした時間だけお給料を貰えるシステムにしているみたい。仕事内容や経験とかで人によっても差があるみたいだし、赤字になったら下がったりもするみたいだし。え?喫茶店部はどうなのかって?
んとねー、どちらかというと全員が経営者みたいなイメージを持ってもらえればいいかな。まず売り上げが出るでしょ。そしたらそこから原材料費を引いて、何かあった時の貯蓄や新メニュー開発費とか諸々引いて、残った金額を分配ってわけ。だから月によってムラがあるかなー。
昼はある程度似通ってくるけど、放課後がね。
大会のある部活動なんかが多いとお客さん増えるから結構おいしかったりするよ。ちなみに光熱費や設備費なんかは学校で持ってもらってるから、その分値段を下げたりして気軽に来てもらえるようにしているよん」
なるほど全員が経営者か…、少人数である以上、その方がきっと当事者意識もあるだろうしきっと良いのだろう。
「…でも、確かに今年まだ一人も入ってないし、少しお手伝いを雇うっていうのもありなのかなぁ」
「それだったら自分も働きたいかもしれません。ほ、放課後とかなら」
「…お昼は?」
甘えるような仕草でそう言ってきた。
「お、お昼はちょっと…」
「一日!一週間に一日でいいから!」
「何その値切り方!?」
「ふぁふぁふぁ、そこから徐々に徐々に少しづつ日を増やしていく作戦だよ!」
「なんと油断も隙もない!」
昼の喫茶店部かぁ…昼かぁ…
「そういえば購買部はどうだったかな?今日までなんだよね?」
「いや~、大変でした~。でも、単純な忙しさは喫茶店部のお昼のほうが3倍は忙しかったですねぇ…」
「そうだったのか…知らなかった」
「でも私にとってはきつかったのは購買部でしたねぇ。
部の雰囲気なのかなぁ。優しくはしてもらったんですが、緊張感がなんか…」
「ああ…分かるかもしれない。こっちもお金は扱ってはいるんだけど、
喫茶店が主と言うか…。うまく説明できないけども」
「あとは喫茶店部には小倉先輩がいるからですかね!」
「またまたそんなお世辞ぃ!」
背中をバンバン叩かれた。
「ま、まぁそんなわけで初給料を使いたいので記念になるデザートでも作ってください!」
「おっけー!任せといて!」
厨房に意気揚々と戻っていった小倉、しばらくすると焔の怒鳴り声が聞こえてきた
「ちょっと、何やってんの小倉ぁ!!!」
「いやっ未来ちゃんに記念になるデザートをっ!」
「大体何!何ですり鉢なんて持ち出して!」
「大食いと言えば、すり鉢と相場がっ!ああっ、痛い!痛いです!」
その後、焔がこちらへやってきて、
「ごめんなさいね司馬さん。ちょっと聞きたいんだけれど、小倉になんて注文したのかしら」
なるべく丁寧にこちらへ語りかける。そんな様子だ。
「えっとですね、生まれて初めてのお給料が入ったので、できたら何か記念になるデザートでもと・・・」
焔がそれを聞くと、厨房へ戻り
「ぐぇっ!」
小倉の悲鳴が聞こえた。
再び焔がやってくる。わざわざゲンコツしに行ったのだろうか。
「小倉がごめんなさい。多分あの子意味をはき違えているようで、1メートルはあろうかという特大パフェを作ろうとしていたの」
「な、なんと…!」
「ちょっと〆といたから。私が代わりのものを用意するわね」
「あ…ありがとうございます!」
デザートを焔が用意するのは見たことがない。でも、料理はすごい上手でおいしいのでこれは楽しみだ。
小倉の心配はあえてしないことにした。




