25 体操服を借りに行く仕事なんて誰もしたくないようである
放課後は購買部のコンビニ担当を命じられた。
お客さんが来たら、レジ対応しつつ、減った商品の補充。コピー機の紙の補充や制服の試着をしたいという人を別室に案内したりと、雑務全般といったところだ。
(昨日自分が行った制服の試着の業務は、今日は別の人の担当だが、新入生はどこで試着できるのか分からない人もいるため購買部に聞きに来たりもする)
今日の仕事は直接お金を触る仕事なので、先輩が常についてくれていて、逐一仕事の説明をしてくれている。
三年の副部長の衣笠螢さんである。穏やかそうなふくよかな女性だ。
でも二年間購買部でもまれただけのことはあって、ニコニコしているが譲れないところは譲らないような強さが底にはありそうだ。短い期間だが私の担当になったらしい。
森野先輩のクラスの清水さんが面倒見てくれるのかと思っていたが、毎年三年生が一年生を見るのが慣習らしい。二年生ではまだ早いのであろうか。
気になったことは外のコンビニと違ってコピー機を使う人が多いと感じた。
確かにノートをコピーしたい人も校内となると多いし、課題などで資料をコピーすることも多いか。
あとはおやつを買う人や、文具等が良く売れている。
ふむふむ、学校という条件だとそういうようになっていくのかな。
その他には裁縫部の制服のように、どこかの部活が作ったと思われる独特なものなどもたまに売れている。なるほど新入生には物珍しいのだろう。
そういったものは売り上げの分配はどうしているんだろう。中々疑問は尽きなく興味はそそられる。
合間にお客が途切れたタイミングがあったので、昨日思いついたランドリーサービスについても提案してみた。
「あ~、前にも購買部で話が出たこともあるんだけれどね、いくつか問題点があるということになって結局見送られたんだ」
「そうだったんですか~?」
「自分たちもまだ若い人間で学生だし、名前を見ただけである程度誰の服か分かってしまうじゃない?」
「なるほどそういうことですか!可愛い子とかの体操服があったら何をされるかわからないですもんね」
昼休みの鳥居や咲の様子を思い浮かべながらそう言った。やつらは匂いとかかいだり色々やりかねん。
「まぁ、できるだけなんでもお客の要望に答えるがモットーだから迷うところではあるんだけどね。
その話は差し置いて、昨日の司馬さんの体操服を借りに行く仕事でぶちぎれる気持ちは分からなくもない(笑)」
見られていた…。
「でも、一応客商売だからあくまでも心の中でね」
と笑顔でフォローされた。
ついでに先ほど考えていた事も聞いてみると、
この学校の部活独自の製品については、委託販売?のような形で購買部に置かれているそうだ。
その部が欲しい金額を提示し、大きさによる陳列棚の面積(場合によっては体積)をその金額に加算する。まぁみんな学生(たまに教師)なので必需品以外はせいぜい売れても1000円以内くらいらしい。なので条件が合わなければ却下することもあるそうだ。場所は有限だもんね。
制服に関してはどうしてもある程度高額になってしまうし、ぶっちゃけ裁縫部はこの時期は作るほうに専念した方が良いだろうと、何年か前に購買部との話し合いでそうなったらしく、お客さんの相手は購買部が一手に引き受けている。
なので、それなりに購買部の取り分も多いが、
「その分、責任があるから間違えられないんだよね」
とのこと。一年生に試着の接客担当は任せてもらったが、その後の正式な購入の受注なんかは先輩がやってくれていたようだ。あんまり慣れない質の仕事で疲労困憊だったので、未来はその時は目に入ってもいなかった。
接客担当もあまり変な子だと、せっかく試着に来てくれた人達に満足してもらえなかったりするので、一応人を選んで決めていたらしい。
「だってお客さんはほとんど一年生だからさ、最初に不審に思ったらその後購買部に来てもらえなくなっちゃうじゃない?」
こういうところまで考えて仕事しているんだなぁと感心した。
一人ひとりプロ意識みたいなこだわりがあるんだろうなぁ。
帰る直前に今日の仕事を教えてくれた衣笠先輩が
「さっき提案してくれたランドリーサービスとか、思いついたことあったらなんでも気軽に教えてね。本入部しなくてもそういう提案してくれたらうれしいな」
と言ってくれた。




