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家庭菜園部で行こう!!  作者: ゼリー
導入
20/210

20 ダッシュ&ラン



 一時間目が終わった後の休み時間、購買部に未来は来た。

何人か先輩らしき人たちがいて、その中で清水を見つけた。だが他の先輩と何か話しているようで、邪魔するのも悪いので購買部のラインナップを見て時間を潰す。

 シャープペンシル、消しゴム、色つきボールペン、ルーズリーフ。それから、参考書、週刊誌、漫画、お菓子、おにぎり、パン、飲み物…アイスまで!。まるでコンビニではないか…。驚きを隠せない未来の元に清水がやってきた。


「それじゃあこれ、よろしくね」


 と言われるといきなりリュックを渡された。


「えーと…?」

「はい、地図と依頼票。地図に○つけてあるところに行って、依頼票に書いてあるものをもらったり、出してきたりしてね」

「え…え?」


 全く状況がのみこめていない自分に購買部の先輩は売り場に貼ってある一枚の紙を指さす。


『忘れ物の届けや配達等いたします』


「え、でもこの地図の場所、学校をはみ出していますよ?」

「うん、よろしくね」

「わたしが?」

「うん、よろしくね」


 なんだか腑に落ちない。


「あ、休み時間に帰ってこないと、授業遅刻扱いになるから気をつけてね~」


 ええ!?

その辺の時計を見ると、あと12分後には授業が始まってしまう。

地図を改めて良く見る。場所は三か所。三か所とも学校の近くではあるが、間に合うかどうかはわからない。

とりあえず近くまで行ったら確認しよう。未来は走りだした。


「あ、購買部の自転車もあるからつかっ…」


 それを清水が発したときには未来はすでにいなかった。


 ええと、この辺なんだけど…。長野、長野…。あった!


 依頼の場所を見つけ呼び鈴を鳴らす。早く!早く出てくれ!


 ガチャリ。


「あら、貴方は?」


 ええと、長野…お弁当忘れか。


「あのっ、学校の購買部のものなんですがお弁当を忘れたということなので取りに来ました!」

「ああ」


 そう言うと、長野母は家の奥にお弁当を取りに行った。そして戻ってきて手渡す。わざわざありがとうねと言われた。


 受け取るとすぐに走って次の場所に向かう。これ絶対お弁当の中身、ぐちゃぐちゃになるだろうなぁと思った。

値段がいくらかはわからないが購買部に依頼するだけのお金があるのなら、学食とか喫茶店部とか購買部でお昼を買えばいいのに。もう、そんな人のお弁当の中身なんてどうなっても知りません!

 喫茶店部で客商売の心を学んだはずなのに、この世の不条理さに耐えかね、早々に道を逸れてしまう未来であった。

 次は…、郵便ポストか。お弁当に比べれば、今日中に出さなきゃいけないはがきとかなら、しょうがない。

 ポストを見つけ、リュックに入っていたはがきを投函っと。二つ目の依頼も完了。三つ目はコンビニ?えーと、プッチソプリンが食べたいと書いてある。


「家に帰ってから食べろ!」


 思わず声に出していたようで、近くを歩いていたサラリーマンの人がびっくりしていた。気まずさをごまかすために、依頼票に目をやる。依頼主は…森野?え?

 あの人、俺が甘いものを好きだとでも思ったか?とか言ってなかったか?いや、ちょっと待てよ…。私が購買部に仮入部してるのわかってるはずだから…。これはわざとか!あのド外道が!!

 いっそこの依頼を無視してやろうかと思ったが、そうしたらあの悪の先輩の思うつぼな気がしたので、イライラが募りつつもちゃんとコンビニでプッチソプリンを購入した。

 プリンをわざとシェイクしたくなったが、なんとか思いとどまる。だけども走って不可抗力でシェイクされることは祈ったりした。


 ・・・これは時間ちょっと間に合わないな…若干あきらめモードで未来は走りだした。だが、走るとは言ってもダッシュではなくランニング程度である。距離によっては、ランニングで走り続けたほうが、ダッシュして疲れた足と息を整えるために歩きをはさむよりは、はるかに速いことがあると言うのを未来は経験から知っていた。

 そういえば、小倉がダッシュ&ランとか言ってたけど、このことだったのかな。清水さんを一年の時から知っているならこういう配達作業をするのを見ていたかもしれないし。となると、この作業は一年生が代々受け持つ決まりにでもなっているのかもしれない。それならどSだねぇと言っていたのにも納得できる。

 つい走っていると色んな事を考えてしまう。最初は嫌なことに関しての怒りとかも脳内にとどまるのだが、だんだんと走ることそのものに快感を覚え、もしくは呼吸の苦しさにまぎれてか、どこかに霧散してしまうのだ。

 ふと思い出したのだが、入学式の日に、購買部が足の速い人を募集していたような気がするが、こういうことだったのだろうなぁと納得した。

 そんな様々なとりとめもないことを考えているうちに学校に着いた。授業は…始まってない!思ったよりも速く帰ってきた!そう思った瞬間


 キーンコーンカーンコーン


 無情にも鐘が鳴った。

荷物、どうしたらいいんだ…。

 一応購買部に顔を出してみたが先輩たちはもちろん授業に戻り、いるわけもなく、とりあえず依頼主に品を届けることにした。お弁当を届け、はがきは次の休み時間に入れといたと報告しよう。そして森野のクラスはちょうど体育で外に出ていたようなので、プッチソプリンを机に置いておいた。

 当然授業は始まっているので、お弁当を届けに行った教室では変な目で見られ(四つん這いで目立たないようにこっそりと行ったよ?)、自分のクラスでもなんで遅れてきたんだと教師に問われ、適当に濁したが隣の鳥居に一時間目はいたろ?と言われ…まぁ散々であった。


 次の休み時間に購買部に行った時には幸いにして配達はなかったので、商品の補充を手伝いながら三年生の先輩に購買部についての話を聞いた。

 それによると、やはり一年が伝統的に配達を担当する様で、今も実は他の一年生が配達に出ているらしい。そして自転車があること(これ重要!)や、お客様(生徒たち)が快適に学校生活を送れるようにニーズに合わせて商品を揃えているということなども熱弁された。

 その姿を見て、喫茶店部のように、真剣に自分たちと商品とお客さんと向き合っているように感じた。



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