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家庭菜園部で行こう!!  作者: ゼリー
導入
13/210

13 仮入部!



 ダンッ


「森野先輩!今日こそは家庭菜園部に入れてもらいます!」


 学校に登校するや否や、司馬未来は森野のクラスに来ていた。もう攻めて攻めて攻めまくるというくらいしか未来には思いつかなかった。


「…お前なぁ、こんな朝っぱらからかよ…」


 嫌がってはいるようだが、邪険にすると言うよりはあきれた感じで森野は言った。


「おはよ~、あ、未来ちゃんがいる!」

「あ、小倉先輩だ!」

「なぁに、まだ家庭菜園部入れるの嫌がってるの?」

「そうなんですよ~」

「森野君、いい加減そろそろ入れてあげたら?」

「そうですよ、ここで泣きわめきますよ!うわ~ん、森野先輩が意地悪する~!」


 クラスの人たちが何事かとざわめく。


「こら、やめんか!大体なんでうちの部なんだよ、他に興味のあるとことかねぇのか!」

「ええ…そりゃ興味あるところはありますけど……、でも家庭みゃっ」


 言い終わらないうちに、森野が未来の首根っこを猫のように掴み上げ…

 

 小倉に渡す。


「えっえっ?」


 どうしたらいいの?といった様子で小倉は森野と未来を交互に見る。


「いいか、四月の仮入部期間、数日毎に色んな部を体験して来い」

「??」

「そこで一番やりたいところに入部しろ。五月になっても家庭菜園部に入部したいと思っていたなら、真剣に考えてやる」

「先輩…」

「ただ、他の部とはいえ、途中で投げ出すような根性無しはうちの部にはいらん、わかったな」

「は、はい!!」

「あ~あ~、なんだかんだで後輩が可愛いんだね~」

「ちげーよ、実際活動してみればどうせ他の部に興味を示すだろ、それにうちのところ入るより、その方がこいつのためになるだろうしな。」

「うふふふ」

「何笑ってんだよ、…とりあえずお前のいる喫茶店部に三日くらい仮入部で置いてもらってもいいか?」

「ラジャー、じゃあ未来ちゃん、始業のチャイムまで少し時間あるからちょっとついてきて」

「は~い」




 -----




「じゃあ簡単な説明と、あとは…エプロンかな、もちろん持ってきてないよね?」

「はい、すみません…」

「いいのいいの!森野君の急な無茶ぶりだしね!」


 というと小倉はすみっこの方にあるタンスを開けた。


「う~ん、どれがいいかなぁ…、あ、これだ、これにしよう!」


 そう言うと、ヒラヒラのレースでピンクのハートマーク柄のエプロンを取り出した。


「ちょっ、私を着せ替え人形か何かと勘違いしているんじゃ」

「そんなことない!今これしかなかったんだよ!さぁさぁ、着るのだ!」

「でもでも、タンスの中に普通のエプロンが…!」


 未来がそう言うと、小倉は足でタンスを蹴り閉めた。


「そんなものない!」

「あります!」


 未来が開けようとすると、足で引出しを抑えられた。


「ない!」

「ある!」

「ない!」

「ある!」


 ・・・


 そんな不毛な押し問答を続け、最終的に未来が折れた。欲望VS羞恥では欲望が勝ったということなのだろうか…。

 エプロンを何故かいま試着させられた未来は、明日は家から持参しようと切に思ったのであった。

 そして先ほどのテンションも落ち着き、小倉は仕事の話を始めた。


「えーっと、ホントは授業の合間の休み時間とかも、様子を見に来たりするんだけど、それは必要な仕事じゃないから未来ちゃんは来なくて大丈夫だからね」

「わかりました~」

「あとは…そうそう開店時間だけど、昼は12時半~13時半、放課後は16時から20時になってるからよろしくね~。昼のチャイムが鳴ったら急いで走ってきてね~」


 笑って言っているが、いつも走っているのだろうか?…そういえば森野の観察をしている時、小倉は昼休みには見かけなかったような気がする。となればあながち間違いじゃないということだろうか。


「仕事内容は…未来ちゃんは初日だから、来たお客さんにお水を出すのと、あと食べ終わった食器下げと…とりあえずそのくらいでいいかな?」

「えっ、それだけですか?もっとこうなんか、料理作ったりするのかと思っていましたが」

「それは焔先輩がやってくれるから大丈夫だよ~、下ごしらえは済んでいるとはいえ、細かいレシピとかわからないでしょ?」

「でも、それだけじゃやることがないような…」


 口に出しては言えないが、いつも喫茶店部に来るときは、小倉がかまってくれる余裕があるくらい暇そうなので、今言われた仕事だけとなると正直不満であった。仮入部ではあるが、やるからにはしっかりとやりたいと思っているから…。

 それとも、最初は新入部員はみな、そこから始めるのであろうか?目で盗んで新たな仕事を覚えろということかもしれない。


 小倉は少し何か考えた様子を見せ、


「まぁ、余裕そうだったら仕事をじゃんじゃん教えるからさ、とりあえず最初はさっき言った仕事と、あと元気よく、いらっしゃいませ、バッファローへようこそ!って言ってればいいから!」

「バッファロー?」

「ああ、一応喫茶店部の名前がバッファローなんだよ~、みんな喫茶店部とか、校内喫茶って言っちゃってるけどね」


 そう言うと小倉は何やら、クックックと笑いをこらえている。またなにか騙されているような気がしてならない…。



 

 -----




 キーンコーンカーンコーン


「ちょっと聞いてくれよー」 


 昼休みのチャイムが鳴った途端に未来は喫茶店部に向かって走り出した。何やら鳥居が話しかけてきたような気もするがスルーした。


「なんだぁ…?」



「はぁはぁ、とうちゃーく!」

「おそーい」


 未来が喫茶店部についた時には、すでに焔と小倉、それと初めて見る男の先輩がいた。

 未来はほぼ鐘が鳴ったと同時に飛び出してきたよなぁ…と首をかしげた。授業中に抜け出したりしているのではないだろうかとか思ってしまう。


「とりあえず今のうちにコップに水を注いでおくといいよ~」

「りょうかいです!」


 他の人たちも食器やら何やらを使いやすいように並べている。


「お、本日最初のお客さんが来るよ~、未来ちゃん、元気良くね」


 小倉はウインクをしてそう言うと、未来の背中をトンっと押し出した。


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