表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅んだ世界より愛を込めて(旧版)  作者: よねり
第二章 本当のディストピア

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/71

70


 国民的アイドルの少女が死んだという報せは、瞬く間に世の中に広まった。彼女の死を嘆いたのは、少年だけでは無かった。国中の人間が、彼女の死に涙し、人によっては後を追った。現実を受け入れられずに暴れる者もあった。だが、誰よりも悲しんだのは少年だった。

 少女の亡骸は、病院の霊安室にあった。少年と、少女の養母と養父が彼女の遺体を確認した。

「これからって言うときに、役立たず」

 養母が吐き捨てるように言った。その言葉に、養父は彼女の頬を張った。

「何をするの。裏切ったあなたに、こんなことをする権利は無いわ」

「死んだんだぞ。それがこの子にかける言葉か」

「そうよ。どれだけお金をかけてきたと思っているの。まだまだ、この子には稼いでもらわないといけないのよ」

 言い争う彼らを横目に、少年は少女の頬を撫でた。冷たく弾力がない。まるで冷たいゴムを触っているようだった。彼女の姿を形取った人形なのではないかと思った。

 不思議と涙は出てこなかった。

 養母が部屋を出て行った。それを追うように、養父も出て行った。刑事は少年の肩を叩くと、何も言わず部屋を出て行った。

 部屋に残されたのは少年と、少女の亡骸だけだった。

「もう何時間かしたら、君はみんなとお別れをするんだって。まだ、僕とだってしていないのにね。君には、もっと見せたいものがあったのに。一緒にしたいことだってたくさんあった」

 少年が彼女の手を握る。

「あんなに壁の外に出たいと思っていたのに。僕は間違っていたのだろうか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ