表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅んだ世界より愛を込めて(旧版)  作者: よねり
第二章 本当のディストピア
63/71

63


 ハッと顔を上げると、楽屋だった。どうやら眠ってしまったらしい。

「よく寝ていたわね」

 マネージャが笑った。

 番組のスタッフが呼びに来る。マネージャが少女の髪の毛を整えた。

「良い夢でも見たのかしら。幸せそうだったわ」

 少女は自分でも素敵な夢を見た様な気がしたが、忘れてしまった。

 仕事が終わって、車に乗り込んだのは未成年が働けるギリギリの時間だった。車に乗り込むやいなや、彼女は再び眠ってしまった。目が覚めたのは、強い衝撃を受けたからである。

 少女は強い衝撃と、シートベルトの締め付けで咳き込んだ。マネージャが何か言っているが、聞き取れなかった。どうやら、前を走っている車が事故に遭って、急ブレーキを踏んだらしいと言うことだけはわかった。

 前を走っていた車はぺしゃんこになって路肩に転がっていた。誰かが爆発するから逃げろと叫んでいた。

 少女は見た。道路の真ん中に魔物の子供が立っていた。こちらを見て、ニヤリと笑う。彼が一歩踏み出した瞬間、パトカーのサイレンが聞こえた。

 乱暴に開く車の扉。

「こっちへ」

 少年の声だった。今度は本物だ。

「どうして?」

「良いから早く」

 運転席を見ると、マネージャが車から引きずり下ろされようとしているところだった。

「やめてあげてください。どうしてこんな乱暴な」

 少女が言い終わる前に、刑事が彼女に手錠をかけた。

「どうして」

 少女は呆然と、彼女が連れて行かれるところを見ていた。そして彼女もまた、少年に引きずられるようにその場を後にした。魔物はいつの間にか姿を消していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ