表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅んだ世界より愛を込めて(旧版)  作者: よねり
第一章 旧世界のディストピア

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/71

30


 太陽が真上に昇っていた。昼という時間だ。

 森では木の実が採れて、川では沢蟹も見つけることが出来た。

 家に帰って火をおこすと、鍋の中に野菜とカニを放り込んだ。味噌を溶かすとかに汁になった。

 僕は味噌に印刷された数字を読む。消費期限のことだろう。一体今が西暦の何年で、何月何日なのかわからないが、この味噌はいつまで使えるのだろう。随分前に世界は滅んだはずだが、祖父は時々真新しい食品や調味料をどこかから見つけてきた。

 かに汁が出来るまで、再びラジオをいじった。電源を入れ、ダイヤルを回す。すると、かすかに音楽が聞こえる局を見つけた。

 僕は慌てて音量を大きくする。音楽だった。あのカセットテープの音楽とは違った。音楽はたくさんの種類がある。どんな種類の音楽があるのか、それがどのような広がりを持っているのか、想像さえ出来ない。だから楽しい。

 楽器という物を演奏すると、色々な音を出せるらしいが、何をどうしたらこんな音がするのだろうといつも不思議に思う。牛の鳴き声や祖父のいびきよりもよほど美しい。虫の囁きや、ガラスに響く音と同じくらい美しい。

 たまに、物を叩いてみると似た音がして、楽しくなって色んな物を叩いてみた。

 人の声が聞こえてくる局が無いか探したが、見つからなかった。仕方なく、音楽が聞こえた周波数に合わせてみたが、もう音楽は聞こえてこなかった。それでも諦めきれずに、音楽が聞こえた局に合わせたままノイズを聞いているうちに、いつの間にか眠ってしまっていた。

 目が覚めるともう随分日が傾いていた。じっとりと汗をかいて気持ち悪かった。水浴びがしたくて小川へ向かった。

 祖父もおじさんたちも風呂が嫌いだった。夏の間は小川に入って、寒くなると山の上や海のそばの温水が沸いている場所に行った。

 小川は冷たくて、気持ちよかった。

 足の間を魚が泳いで行く。彼らが泳いで行った先には僕が仕掛けた罠がある。きっとそれにかかるだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ