4.Second time
4話目です!是非!
思い切って、聞いてみようか。「彼を知っていますか。」って。もし、もし結婚してるなら…。
「いやいや、悲しいこと考えるのはなし。勇気出して、聞いてみよう。」
「何をですか?」
「おわああ!」
びっくりしたー、いつの間にいたんですか、
「小崎さん。」
「はい、小崎です。何を勇気出して聞いてみるの?誰に?応援するよ?」
「あ、あのですね。聞きたい人は、小崎さん、なんです。」
「へ、私?なに?」
「でも、ちょっと待ってください。ちゃんと心の準備を…。」
「心の準備がいるの?ますますなんだろう。まあ、待ってるね。」
「ありがとうございます。」
まだ、言う気持ちができてないから。
いよいよ、三年生になった。
三年生となると、いろんなことを期待され、要求される。それがとてもキツかった。でも、私は諦めなかった。せっかく最後の年なんだから。せっかくここまでやってきたんだから。どうせなら、辛くても何でも楽しんでしまおう。それが私の考えだった。
でも、現実はそう甘くはなかった。あの、発達障害の子のことだ。
その子はその子なりに、十二分に頑張ってくれていた。家で練習してくれる日も増え、練習も頑張ってくれていた。それで、私は油断をしていた。
ある、ふとした言葉だった。
「それが出来たら休憩にしよう。」
深くは考えず、口にしてしまった。あんなことになると思わなくて。
言ってからすぐ、その子は「トイレ」と言って行ってしまった。私はすぐに分かった。先生に言いに行ったんだ。責任者をしている先生ではなく、その奥さんの方。なにかしただろうか。なにか気に食わぬことを言ってしまっただろうか。
その時は、全然分からなかった。遊菜は部活かなにかでいなくて、相談できる人もいなかった。
予想は的中し、やはり奥さんの方の先生と一緒に帰ってきた。なにか言われると思った。しかし、何も言われなかった。そのときは、練習に先生が参加しただけで、何も無かった。
そして、その1日が終わった。
次の週、なにか言われるんじゃないかとドキドキしながら練習に参加した。そこに、その子の姿はなかった。でも、特に何も起こらず、練習が終わった。
楽器を片付け、さて、荷物をまとめるか。と思った時だった。
「佳菜。」
奥さんの方の先生に、声をかけられた。きっと先週のことだと思った。
「王真のことだけど、来週来たら謝っときな。」
王真というのが、発達障害の子の名前。やっぱり先週のことだった。
先生は、言葉を続けた。
「王真は、『これが出来なきゃ休憩しちゃダメって言われた』って言ってる。親も、そのことでかなり怒ってる。だから、面と向かってちゃんと謝りな。」
え、どういうこと?それが私が最初に思ったことだった。休憩しちゃダメなんて、言ってない。親がかなり怒ってる?どういうこと?
「出来なきゃ休憩しちゃダメって言ってないです。私は、これが出来たら休憩にしようって言ったんです。 」
「でも、王真は休憩しちゃダメって思ってしまった。」
「そんなつもりじゃ…。」
「わかってる。でも、一応謝っておきな。」
「…はい。」
その日の帰りは、酷く落ち込んだ。事情を話した母は、「佳菜は悪くないんじゃない?」と励ましてくれたけど、どうしても私のせいだって周りから思われてる気がして、嫌だった。
結局、その次の週も、次の次の週も、王真は来なかった。
いつだっただろうか、先生から聞いた。
「王真、辞めることになった。」
聞くと、王真は小学校でも嫌なことがあり、親が敏感になっていたそうだ。
全て私が悪いみたいに言っていたらしいが、1人の同級生の親が「佳菜は悪くない。そんなことを言う人じゃない。今まで佳菜が王真のためにたくさん頑張っていたのは知ってる。あなたとも連絡を取り合っていたでしょ?辞めたければ辞めればいい。」と言って庇ってくれたそうだ。
その同級生の子も、「辞めたければ辞めれば。やる気がない人はいらない。」とかなんとか言って私に同情してくれた。
私が問題のあの言葉を発した時に、その場にいた先生も「問題になるような言葉は言っていなかった。」と証言してくれたらしい。
いろんな人が、私の味方をしてくれていた。本当に嬉しかった。嬉しくて、隠れて泣いてしまった。
でも、味方がたくさんいると分かっていても、周りの目は気になった。いつも嫌味なことを言ってくる同級生や、その嫌味を聞いて私のことを良く思ってないであろう同級生はきっと、「佳菜のせいで王真が辞めたんだ。」と思ってるだろうし、そのことで話してるかもしれない。ほかのメンバーからも、悪口を言われてるかもしれない。そういう考えばかりだった。
それから数週がすぎた時、王真はまた姿を表した。
ピットだけの、校外学習の時。ちゃんと謝って、それからはいつも通り接するよう努めた。王真が言うには、マーチングを辞めるつもりはなかったそうだ。よかった。そんなに怒っているわけじゃないんだ。少しは安心した。でも、親がかなり怒っているのだ。安堵しすぎてはいけない。
そうやってその1日が過ぎた。
それからずっと、王真にも、その親にも会わなかった。時々何かの用事で親が来ていたのは見たけど、私とは目も合わせてくれなかった。
あの時は辛かった。何もかも自分が悪いって言う目で見られてる気しかしなくて、周りの目が怖かった。
でも、あんなに心強い味方がいてくれたって思うと…
今でも泣けてきてしまう。
「佳菜さん?大丈夫ですか?どこか痛みますか?」
「あ、小崎さん。違うんです、すみません。ちょっと、昔のことを思い出して…。」
「あなた、昔って言うほど年取ってないでしょ?でも、悲しいこと?話聞こうか?」
「いえ、ありがとうございます。」
「そう。またなにかあったら呼んでね。」
行ってしまった。
あ、そうだった。彼のことを知っているか、聞くんだった。次、来た時は聞こう。心の準備ができていたら。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!もうすぐこの話は完結です。是非、最後まで読んでください!
感想等々、よろしくお願いします!!




