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music  作者: 櫻羽紗
3/5

3.Good

3話です。

「佳菜さん、お休みになられましたか?」

「はい、ぐっすり。」

「それはよかったです。」


あ、名前を確認しなきゃ。名札名札…。


「あれ?」


見当たらない。どこだ?


「どうかしましたか。」

「いえ。あの〜名札って、どこについてるのかなーと思いまして。」

「名札ですか?左胸付近ですよ。ほら。」


本当だ。ただ見逃していただけだった。


「あ。」


感動した。


こんなことがあるなんて。


いや、でも、たまたま同じだけかも。


「お散歩しますか、佳菜さん。」

「はい。」


元気よく返事をした。
















しばらく辛いことが続いたマーチングも、楽しい時はもちろんあった。


すみれが卒団したあとは、安定していた気がする。


小学六年生では、鍵盤デビューをした。


難しくて、たっっくさん指摘を受けた。正直苦しかったけど、上達していくのが明らかに分かって楽しかった。


全国大会に出場することはできなかったけど、安定した年だった。


中学生になったあとが、一番音楽を楽しめた。


自分がパートリーダーになって、難しい楽譜がまわってきたり、ピットアンサンブルで目立つ場所ができたりしたけど、それの全てが楽しかった。


でも、先生に目をつけられるんじゃないかって不安になって、期待に添える行動を心がけた。


どんな練習をすれば怒られないか、なんて言えばどこかに行ってくれるのか、ずっと考えてた。


そして、常に笑うようにした。


先生はいつも、「楽しいマーチング」とか「明るい雰囲気で」とか言うから。


それともう一個災難だったのは、入ってきた後輩に、言葉が通じないこと。


発達障害者だったから。


ちょっとでも自分のイメージと違うとすぐ機嫌が悪くなるし、集中力が切れるのがとにかく早い。


「トイレ」って言って三十分ごとにサボりに行くし、家では全く練習してこない。


親が何か言ってくれる訳ではなく、逆に庇うような親ばかだった。


そんなふうに困ったことがたくさんあったけど、一個下の遊菜という後輩が協力して頑張ってくれた。


親とは連絡を取り合い、子供は丁寧に丁寧に、先生に何か言われない程度に時間をかけて教えた。


その努力が実り、その年は全国大会に出場することが出来た。


本当に嬉しかった。


大会のビデオを見た時は、丁寧に、じっくり教えてよかった。挫けなくてよかった。頑張ってくれてよかった。頑張ってよかった、って思った。


ものすごく感動した。


その次の年も、安定していた。


後輩がもう一人増え、少し賑やかになった。

その後輩も練習してこなかったが、発達障害児を教えれたのだから、対応は簡単だった。


問題は、その次の年だった。私が、中学三年生、最後の年。






















色々…あったな。


思い出していたら、涙が出そう。

辛いことばっかで…。楽しいことだって、沢山あったはずなのに。良いことが、これくらいしか思い浮かばない。


このあと、さらに辛いことがあるんだよね。


「佳菜さん、そろそろ、戻りましょうか。」

「あ、はい。そうですね。」


小崎さん、だった。


この看護師さんの名前、小崎さんだった。


もし、彼の奥さん、とかだったら、また会えるかもしれない。


本当に会いたい、あのヒトに。

3話目まで読んでいただき、ありがとうございます!

また、良かった点、改善点など、教えていただけると嬉しいです。感想、お願いします。

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