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music  作者: 櫻羽紗
2/5

2.First time

2話です。

二時間くらいかな、寝てしまった。


入院って、暇すぎる。一度してみたかったとか思ってた自分を殴りたい。絶対にしない方がいい。


昔のことを思い出すことくらいしか、することがない。
















いよいよマーチングバンドに入って、練習に参加し始めた。


最初は、コーチも先輩も、みんなすごく褒めてくれて、やりがいがあった。とても楽しかった。そんな私が、辛さを感じ始めたのは、その後だった。


まず初めに、宇藤すみれが変わり始めた。


すみれの母が言うに、


「すみれが、佳菜ちゃんは、自分ができなかったことができてすごいーって言ってたよ。」


だそうだ。でも、そんな生ぬるい感じじゃなかった。


「佳菜、ほんとに毎日練習しとる!?」


から始まり、片付けの場面で何すれば良いか分からず、何しますか、と聞くと、


「自分で考えて。」


と塩対応。そう言われたから、自分で考えて動いてみたら、


「分からないなら聞いてって言っとるじゃん!」


って言われる。もうどうしたらいいか分かんなくて、挫けそうだった。


でも、翔洋くんが、ずっと、ずっと優しく接してくれた。


変わらなかったのは、翔洋くんだけだった。


そして、お母さんがすごく背中を押してくれた。だから、続けれた。


でも、まだ他にも嫌味を言われて、泣いてしまったことだってある。


普通じゃないのって思う人もいるかもしれない。


でもこの時は、まだ小学四年生だったから、辛かった。


そんなこんなで、なんとか一年、やり過ごした。


翔洋くんは諸事情があり、辞めてしまった。でも、すみれが卒団するわけではなく、嫌なことは続いた。


そして、被せて辛いことがあった。


兄のことだ。


私が小学五年生、兄が中学二年生の時のことだった。


兄が、学校で何かあったのか、それを溜め込んだのか、詳しいことはよく知らない。一年生の頃から前兆があったそうだ。


あんなに優しかった兄は、変わってしまった。


壊れてしまった。


だんだん学校に行く日数も、マーチングに行く日数も、減っていった。


そして遂に、学校には行けなくなった。


家族も、心の病気になり、暴力的になった兄を止めることができず、家庭がグチャグチャになった。


でも、それに負けてしまって私も壊れてしまっては、家族が混乱して、家族もまた壊れてしまう。


そう思った私は、自分を偽り始めた。


元々元気じゃなかった訳では無い。


しかし、さらに元気で、賑やかで、笑顔の耐えない子になった。


元々悪い人だった訳では無い。


しかし、良い子になろうと努めた。


元々泣かない子だった訳では無い。


しかし、さらに泣かないようにした。


そうやって自分を偽って、傷ついたお母さんの背中をさすり、学校も、マーチングも、休まず行き続けた。


頑張った。


兄とまた、一緒にマーチングの大会に出たかったから、頑張った。頑張ったけど、


「佳菜、ごめんね。お兄ちゃん、マーチング辞めることにした。」


お母さんから告げられた言葉だった。


もう、兄と演奏はできない。兄と一緒に、大会に行くことはできない。


ショックだった。


それでも、しょうがないと思うようにした。


だって、荒れてたもん。


だって、大変そうだったもん。


だって、だってしょうがないもん。


それから、演奏中、コーチに言われたアドバイスも、先輩から言われたアドバイスも、全部が心に突き刺さってきた。


全然、兄がマーチングを辞めたことと関係があった訳じゃない。


でも、「何も知らないくせに。」と思ってしまっていた。


兄とやってたからマーチングが楽しかった。


でも、もうそんな子供みたいなこと言わない。

一人で頑張っていく。


兄が行けなくなってしまった学校も、辞めてしまったマーチングも、私が仇を討ってやる。


最後までやり遂げてやる。どんなに辛くても、飲み込んでやる。


絶対に負けない。


絶対に。

















これが、私が味わった一回目の挫折だったな。


今となっては懐かしい。


あの時決意したのは、間違いじゃなかったと思う。


むしろ、正解だった。

だって、そのおかげで私は強くなった。


強くなれたから。

2話目も読んでいただき、ありがとうございます。

この話は、前から考えていた話なのですが、このように公開することが出来て、とても嬉しいです。

今回も、良かった点、改善点、アドバイスなど、よろしくお願いします!

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