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8、魔力検査

自己紹介と校則などの規定関係の読み合わせと確認を済ませた一向は、同じ塔の地下へとやって来ていた。魔力検査をするためだ。

「うわあ!」

「きれーい!」

次々と歓声の言葉を口にする生徒たち。

そこは大変幻想的な場所だった。


地下であり、天窓もからぼりもないその空間は外から一切の光を取り入れることは出来ない。だが部屋の中はぼんやりと明るかった。

中央には大きな泉があり、その水が青白く光っているのだ。水中に光源を忍ばせた訳ではなく、水そのものが淡く優しく光っているのだ。


泉の中央には島のように大理石の床があり、その中心には大きなクリスタルの柱。。

そして島の回りをぐるりと1周囲むように、24個の水晶玉が置かれていた。


「今からここで魔力検査を行う。合図があったら、1人1人真ん中のクリスタルに魔力を流してもらう。周囲の水晶玉は1つ1つ魔法が込められていて、適正があると光る仕組みだ」

「えっ、それじゃあ24種類も適正が調べられるんですか?」

アイザックの説明に、真面目そうな男子生徒が質問した。

「そうだ」

アイザックの肯定にその場にいた多くの生徒が息を飲んだ。


水、地、風、火、光、闇。

これが1番世間一般に溢れている適正で、Vasiqui(ヴァジーキ)と呼ばれる。

世の中の8割強の人はこれらの中から1つ2つの魔法が使える。3つ以上使えるのはごく稀であり、エリートと呼ばれる人々のみだ。

それから氷、雷、毒。

この3つの適正はAvanzard(アヴァンサード)といい、それぞれ水、光、闇に高い適性を持ち、さらに膨大な魔力量を持つなどの適正がある者のみが使える。この適正を持つ人は珍しく、全人口の1割にも満たない。

世の中に出回る魔術書に書かれている魔法は、たいていこの9つに絞られている。


だが実はこれら以外の魔法も存在する。稀代の適正、Rarud(ラルド)と呼ばれるものである。しかしその名の通り存在は極めて少数であり、お目にかかれることさえほとんどないとされる。

(とき)、心、音、記憶……。

有名なのはその辺りだが、実際にはその種類は計り知れない。稀すぎて研究もあまり進んでいないのだ。

そんな稀世適正は多くの若者、特にエリート候補の彼ら彼女らにとっては憧れだ。稀世適正の魔法は自分で調べ試していくしか方法がないため、習得こそ苦労するが、逆に習得してしまえば戦闘時などには有利に働くことが多い。可能性は無限大なのだ。


この国では3歳児全員に魔力検査を行う義務がある。だがその対象となるのは基本の適正、Vasiqui(ヴァジーキ)のみである。

魔力検査は全て税金から行われるもので、滅多に出ないAvanzard(アヴァンサード)以上にお金を掛けられるものではなかった。貴族や有力な商人の家の子どもたちは少なくとも、Avanzard(アヴァンサード)は検査する。それは彼らの懐にはまだ余裕があるからだ。だが流石の彼らもRarud(ラルド)の適性を調べるまでは至らない。それは費用云々というよりもRarud(ラルド)自体が種類も未知数だということが大きい。

だからこそ、今日一定数のRarud(ラルド)について調べられると聞き、貴族平民関係なしに皆一同ときめいていた。実は我こそはRarud(ラルド)の魔法を使えるのではないか、と。


「厳正に検査をするため、1人ずつ入室してもらう。なお、この部屋では一斉の魔法の使用を禁ずる」

アイザックは説明を終えると、何か質問はないかと生徒たちを見回した。

「はい!」

「ブロンジェ」

アイザックが指名すると、挙手した男子が立ち上がった。さきほど24種類も調べられるのかと訊ねた真面目そうな男子生徒だ。

「ここにないRarud(ラルド)は調べられないのですか?」

Rarud(ラルド)の種類は未知数。知られていないだけで当然15種類以上あるとされる。

「ああ、それが何の適正かまでは不可能だが、一応有無はわかる。ここのクリスタルに注いだ魔力は全て、自分の持つ適性の水晶玉に移される。もしクリスタルの魔力が何処にも移ることなく、ずっととどまっていれば、それはRarud(ラルド)の可能性が十二分に高い。……まあ、もっぱら私もそんな状況目にしたことないが」

それからアイザックはやや半笑いを浮かべたまま、最初の生徒以外は部屋の外に移動するように言った。

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