1、懐かしき景色
「小説家になろう」さんでは初投稿になります。
色々となっていない点もあると思いますが、読んでいただけると有難いです。
駄文ながらもよろしくお願いします。
木漏れ日が煌めきながら、降り注ぐ。
爽やかな風がふわりと人々の髪をさらう。
声高に愛を囀ずる小鳥たちの唄。
――あぁ、夢だ。
アメリア・フィン・ブレデルはこの景色を前にして、直ぐに気づいた。
「パン、焼けたわよー!」
「ほら、姐さん。修理完了したから」
「おじさん、これ読んでー!」
沢山の生活の音や会話に、無邪気な子どもたちの笑顔。
どの顔もやる気や希望に満ちていた。決して絶望や喪失感は漂わせていなかった。
誰が予測出来たであろうか。
あと数日後に、この幸せそうな村をとんでもない悲劇が襲うことを。この場所から笑みがもう2度と見られなくなることを。
アメリアはこの後起きる事を思い出して、痛む胸をそっと抑えて耐えた。
ふとそのときだった。
「ディアナ!何してるんだい?」
陽気に弾む声と共に、アメリアは突如背中に温もりを感じた。振り返るとそこには、今はもういない友の姿があった。
「エノード」
アメリアが名前を呼ぶと、黒髪に青い瞳をもった少年は満面の笑みを咲かせた。
「エルユードの誕生日祝いの準備するんでしょ?早くしないとエル、帰って来ちゃうよ」
エノードは屈み、アメリアの瞳を覗きこんだ。深い海のような色とアメリアの薄く雨雲がかかった空のような灰色交じりの水色の視線が交差する。
「ふっ、かわいいね、ディアナ。おいで!」
エノードは春の日差しのように柔らかく微笑むと、アメリアの手を引いて歩き出した。
これは小さなある村の日常。
そして失われた日々と思い出である。
この回はプロローグ的なもので、短めです。
※名前はわざとです。
色々謎に思う点も多いかもしれませんが、後々判明します