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吸血探偵  作者: 一年卯月
6/7

トライアングル 5

 誰も頼りにならないのなら僕が動くしかないじゃないか。僕が犯人を捕まえて、メルディの敵を取る。……といきこんだもののどうしたらいいんだ?

 僕はノックもせずにメルディの部屋のドアを開けた。いつもならば、ノックしろとクッションが飛んでくるところだけど、クッションを投げてくる人はもういない。泊まりに出たときのまま洋服が出しっぱなしになっている。このままここで待っていたらふらっと帰ってきそうな錯覚に陥ってしまいそうになる。

 どれだけぼーっとしていただろうか。それは突然、来た訪問者によって現実に引き戻された。

 ドアを開けてみるとそこにはアリアが立っていた。

「どうしてるかなって気になって……」

「あぁ。心配かけてごめん」

アリアは、僕とメルディのか子どもの頃からの幼馴染みでメルディが泊まりに行っていた女の子だ。犯人以外でメルディが最後に会った人物ともいえるだろう。

「こんなところで立ち話もなんだからあがる?紅茶淹れるよ」

「うん。ありがとう」

 僕は、キッチンに入り紅茶を淹れるためにお湯を沸かす。お湯を沸かしているといつの間にか、隣にアリアが立っていた。

「メルディの事、ごめんなさい」

「アリアが悪いわけじゃないよ」

「でも、私が止めておけば……」

「どういうこと?」

「メルディが夜、急に外の空気を吸いたいって言って一緒に外に出たんだけど途中ではぐれちゃって……」

メルディが夜に外に出る?メルディは、ストーカーの一件からあまり、外に出たがらなかった。それなのに何故だ?

「そうなんだ。でも、アリアが悪いわけじゃないよ」

お湯が沸き、ポットに注ぐ。数分待って、カップをアリアに渡すと、

「あ、あのね、フォン」

「ん?なに?」

「ううん。やっぱり、何でもない」

温かい紅茶を飲んだせいか、アリアの頬が赤みを帯びているような気がする。

「私もう帰るね。紅茶、ごちそうさま。あまり、気を落とさないでね」

「……うん。ありがと」

アリアはそう言うと、帰っていった。

 僕が気を落とす?そんな風に見えていたのか。確かに今までいた、片割れが急にいなくなって言葉にできない感情に陥っているけど、僕はメルディの敵を取ると決めたんだ。落ち込んでいる場合じゃない。明日、公園の辺りでメルディを見かけた人がいないか聞き込みをして回ろう。

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