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吸血探偵  作者: 一年卯月
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トライアングル 3

夕食を食べ終わり部屋で本を読んでいるとタオルで髪を乾かしながらメルディが入ってきた。

「フォン。あの探偵どう思う?」

窓際に座るとそう聞いてきた。

「どうって?」

「信用できるかってことよ」

最近、言い負かされているから少し意地悪をしてみようと僕のいけない癖が出てしまった。といっても、メルディに口で勝てたことなどないのだけれど。

「メルディはちゃんと考えて、調べて信用ができるから行ったんだと思ったいたけど。違う?」

僕がそう言うとメルディの顔がだんだんと赤くなりタオルを投げつけられた。

「早く、お風呂に入ってきなさいよ」

そう言いながらまだ水で滴っているメルディの頭にタオルを乗せてやると袖を掴まれた。

「あの人は、助けてくれるかな」

とポツリと言った。

「きっと。大丈夫だよ。それにいざとなったら僕が守るから」

「……うん。少し頼りないけど守られてやるか」

そう、あの頃と変わらない笑顔で笑って言った。

 服を脱ぎ鏡に映った自分の首筋を見た。絆創膏を剥がしてみると当然だがまだ痛々しいほど傷が残っていた。湯船につかり目を瞑った。探偵事務所に行ったときにも思ったけど強気に見せていても結構、弱気になっていたんだな。それよりも、探偵が言っていたことが気になる。夜、ふたりで歩いていたときに見かける人や友人……。友人だとアリアとウィルか。メルディも言っていた通りアリアはないよな。女の子で友達だし、理由がない。メルディは裏表のない性格だから男女問わず友達も多い。とりあえず一週間後の探偵の調査に期待するしかない。

 僕は、髪と体を洗い湯船からあがった。髪を乾かしながら部屋に戻ると、僕のベッドでメルディが気持ち良さそうに寝息をたてて寝ていた。

僕は電気を消してベッドに潜り込み、電気スタンドを灯した。

「おやすみ」

それから特に変わった様子もなく数日が過ぎた。メルディの部屋の前を通ると鼻唄混じりのメルディがいた。

「なにしてんの?」

「フォンも手伝って。私、明日アリアのところに泊まるから」

バッグのなかに着替えやら下着を詰めていく。

「何日泊まる気なの?」

「2日」

どう見ても2日以上の着替えが詰まっている。

「多すぎじゃないの?」

「女の子には必要なのよ!」

メルディが膨れて言った。

「ジーンズを持っていってアウターを変えればいいだろ?自分で荷物持たなきゃなんないし誰も持ってくれないよ?」

「荷物持ちがいないならしょうがないか」

少し聞き捨てならないセリフが聞こえたけれど、無視してジーンズをクローゼットから出して渡す。

「ありがと」

「あと、持っていくのはこれでいい?」

適当にアウターを渡す。

「うん。帰ってきたらまた一緒に事務所行こうね」

「気をつけるんだよ。なにかあったらすぐ連絡して」

メルディは心配しすぎだと笑いながら言った。


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