2-5 「商会」
◇
休憩を終えたエルダーヴィード家の一行が現在居るのは、第一区画でも特に立地に恵まれた一等地に大きな店舗を構える、この都市随一と名高い大商会、<エイベルクラフト商会>の前である。
先程デパートにたとえた、エルダーヴィードの別宅と同じくらい広い売り場には、ひっきりなしに買い物客達が行き交い、従業員達がてんてこ舞いしながら対応に追われていた。
ここまで盛況な理由の説明は実に簡単である。
この商会こそ、ヨシュアの作らせた王室御用達の栄に浴す商品群を、唯一販売する事を許された、エルダーヴィード家傘下の商会だからであった。
そんな商会の会頭を勤めるエイベルは、ファーゴの幼馴染であると同時に、義兄弟の杯を交わした弟分でもあるのだと言う。
となれば件の商品を任せるに足る、最も信頼のおける商人として彼に白羽の矢が立つのは、二人の関係を知る者にとっては飽く迄予定調和のうちであり、この大ヒット商品を取り扱う商会が、一等地に広大な店舗を構えられる程の大成功を収める事もまた、当然の帰結に過ぎなかったのである。
それはエイベル個人の能力とは一切関係のない、人脈の力によるものだ、というのが競合する大半の商会にとっての真実であった。
まあ本人に言わせれば、運や人脈といった要因もまた、その人間の持つ能力の一部には違いなく、それ以外に差などないと主張するのは、所詮持たざる者の負け犬の遠吠えに過ぎない、といったところだろうが。
そのような経緯もあり、この商会の人間にとってエルダーヴィードの一族とは、決して足を向けて寝られない相手の筆頭格である事は言うまでもない。
故にこちらの来訪に気づいた従業員が、即座に自らの業務を中断し、慇懃な態度で応接室へ案内すると共に、人数分の茶を用意した後、平身低頭しながら、
「ただいま別の者が会頭を呼びに行っておりますので、大変申し訳ございませんが、今しばらくお待ちください」
と言い置いて部屋を出て行ったのも、無理からぬ反応というものであったのだろう。
ともあれ、店の人間が去った後の応接室では、勧められた長椅子に腰掛ける、多くの人間が手持ち無沙汰になってしまった。
来客のマナーとしては、待っている間談笑している事も好ましくないため、勧められた茶に口をつけるか、稀少価値の高そうな装飾品の数々を、眺めるくらいしか選べる選択肢がなかったのである。
ただ、ヨシュアはその気になれば【ネット】でいくらでも時間を潰せたし、その息子の預言通りに、寝ても覚めても服飾デザインの事が頭から離れなくなってしまったミシェルなどは、装飾品や絨毯の柄からも、新たなデザインのインスピレーションを得られるかもしれない、と真剣極まりない表情で周囲を観察していたのだが。
「申し訳ございません! 大変お待たせいたしました!」
だからだろうか?
そう言いながら飛び込むような勢いで入室してきた、金髪緑眼の男が深々と頭を下げた時も、咎めるような視線を向ける者は誰一人として居なかったのは。
深みのある色合いのジャケットを着こなす初老の男は、充分な間を置いた後顔を上げる。
そして室内にもかかわらず、白いローブのフードを目深に被ったままの、どう贔屓目に見たところで、礼を失した状態である事は否定できない、そんな少年の姿を発見して目を瞠った。
やがて驚きから立ち直ると、怖がらせないようにという気遣いからか、ゆっくりとした足取りで彼の元へと歩み寄り、視線を合わせて恐る恐るうかがうように問い掛ける。
「あの……間違っておりましたら謝罪をさせていただきますが、もしや末弟様であらせられますでしょうか?」
問われたヨシュアは渋々といった様子でフードを持ち上げると、少女と見紛うばかりの容貌を露わにし、その金の双眸で男を見つめ返した。
「名前はヨシュアだけど、呼び方はそれで良いよ」
商売のイロハを教わったであろう師、マニにあまりにも瓜二つなその容姿に息を呑んだエイベルは、彼がそう告げた後もしばらく惚けていたが、はっと我に返るとその場に膝をつき、深々と頭を垂れる。
「お初にお目にかかります。この商会で会頭をしております、エイベルと申します。末弟様におかれましては日頃より格別のご高配を賜わりまして、感謝の念に堪えません。にもかかわらず、本来であればこちらから出向かねばならないところを、多忙を言い訳に努力を怠ったがために、こうしてご足労いただいた今日までご挨拶が遅れました事、弁解の余地なく私の不徳の致すところであり、誠に面目次第もございません。何卒ご寛恕いただけますよう、お願い申し上げる次第でございます」
幾人もの部下を抱える立場の男が、自分の孫程も年齢の違う子供に対して、頭を下げて許しを請う。
そんなどちらがこの商会の長かわからなくなりそうな光景を前に、女性陣は居た堪れなさそうに身動ぎしているが、当の本人はといえば、そうしたエイベルの姿を、特に何の感慨も覚えていなさそうな表情で見下ろしていた。
「過ぎた事に対して、今更つらつらと言い訳や謝罪をする事に何の意味があるの? どう足掻いたところで、過去の失敗をなかった事になんてできないんだよ? そんな無駄な行為に労力を割く暇があるのなら、過去の失点は今後の働きで取り戻します、くらいの気概は見せられないの?」
「は……ははっ! 恐れ入りましてございます。誠にご尤もなご意見で、返す言葉もございません。この上は言葉ではなく行動をもちまして、末弟様のお役に立てるよう、尽力させていただく所存でございます」
「その言葉、信じるからね? 確かにこの耳で聞いたから、決して忘れないように。もしその誓いに背いたら、僕の怒りを買う事になるよ? その結果この商会がどうなろうと、僕は一切関知しないから、そのつもりで居てね?」
「はっ。ご忠告感謝いたします。誓いに背く事のないよう、肝に銘じます」
当初は居心地の悪そうだった女性陣も、しばらく時間を置いたお陰か、ようやくこの状況にも慣れたらしい。
本人達は大真面目にやっているつもりでも、側から見るごっこ遊びにしか見えない二人のやりとりを、口許に苦笑を湛えながら眺めている。
「よろしい。だったら早速僕の役に立って貰おうかな? 当たり前だけど、僕が今日この店にきた目的は、別にエイベルに挨拶するためじゃないんだよ。僕の誕生日プレゼントを、じいじに買って貰うためなんだ」
「なんと! 本日は末弟様のお誕生日でしたか!? 確かお生まれになったと伺ったのが神世歴の三年……という事は今年で十歳になられたので!? いや……ついこの間の事のような気がしておりましたが、もう十歳になられるとは……。月日が流れるのは誠に早うございますな? ですが、それは大慶に存じます。つまり本日のご用向きは、この良き日に末弟様に贈られるプレゼントの購入先として、当商会をお選びいただいた、という認識でよろしいでしょうか? ……ありがとうございます。そういったご事情でしたら、ますます気合いを入れ直して、お役に立てるよう尽力しないといけませんな」
精一杯偉ぶって見せる少年にそう告げられたエイベルは、一頻り驚きの声を上げた後で立ち上がり、汚名を返上する好機が到来した、とやる気に鼻息を荒くした。
だがそこで何気なく周囲を見回した際、自らが犯した更なる失態に気づいてしまう。
これまで不義理を働いてきた、ヨシュアに許しを請う事に必死になるあまり、他の同行者に対する挨拶が、未だに済んでいないという事実にようやく思い至ったのである。
やる気に紅潮していた頬が、みるみるうちに蒼褪めて行くその様子に、嘆息を漏らすヨシュア。
それは自分の用件が後回しにされる事を察してしまったが故の、多分に諦念を含んだ、そんなため息であった。
◇
子供でなくとも非常に退屈な挨拶の応酬が終わり、やっと本日の主役であるヨシュアへと、再び注目が集まってくる。
「それで兄者? 末弟様へのプレゼントをお探しとの事ですが、具体的にはどういった品をお探しなので?」
「うむ。それがな……私達も聞いてはみたのだが、買う時まで秘密だ、と言って頑として教えてはくれんのだ。だから正直なところ、ヨシュア君以外に、ヨシュア君の欲しい物を把握している者は誰もおらん。どうせ買う時には否応なくわかる事を、殊更この子の機嫌を損ねてまで、しつこく追求するような人間が私達の中に居ると思うか?」
「……成程。左様でございましたか。であれば直接お尋ねするよりほかありませんな。……それでは末弟様? お探しの物は何であるのか、この私めにお教えいただけますでしょうか?」
「良いよ? あのね? 僕が探しているのは、奴隷なんだ」
――振り仮名がクズい!?
と女神様であれば思わず突っ込んでいるところかもしれないが、生憎とここは現実世界であってネット掲示板ではないため、ツッコミ不在のまま話が迷走しかけた。
「愛玩動物、でございますか? 生憎当商会では、動物の取り扱いはしておりませんが……」
「……ああ。この言い方じゃ伝わらないのか。えっと……言い直すとこの商会に居る奴隷を見せて欲しいんだ。もし必要があれば、こちらから足を運んでも構わないから」
「ど、奴隷? あ、ああ。ペットとはそういう……かしこまりました。当商会で扱っております奴隷をお見せすればよろしいのですね? でしたらまず、奴隷の詳しい情報をまとめたリストを持って参りますので、皆様はお掛けになったままでお待ちください」
ようやく理解が及んだのか、納得の声を上げたエイベルが、そう告げて中座する。
少年が奴隷を愛玩用として購入するつもりだと、この場で初めて知らされた保護者達の反応は、当然ながら様々であった。
十歳とは思えないクズい思考に引く者、呆れる者、不安気な表情を見せる者、そして鷹揚に笑みを浮かべる者。
それぞれ誰の反応なのかはご想像にお任せするが、その殆どが否定的なものである事だけは確かであった。
だがある程度とはいえ保護者からの心証を気にする彼であっても、これに関しては譲れない部分にあたるらしく、妥協するつもりは一切ないようだ。
たとえ誰に何を言われようと翻意しない、という確固たる意思を覗かせるヨシュアに対して、保護者達は早々にこれは無理だ、と説得を諦めるよりほかなかったのである。
リストが届くまでの間、ヨシュアは今朝掲示板に顔を出した時の事を思い返していた。
いつもと変わらぬ挨拶をするヨシュアに対して、女神様は挨拶の返事もそこそこに、興味津々な様子を隠しもせずに尋ねたものである。
◇
名前: ヨシュアさん@通りすがり 投稿日時:!”#$%&’=~
おはようございます。
名前: 女神様@神の座 投稿日時:!”#$%&’=~
おはようヨシュア。十歳のお誕生日おめでとう。……それで? 今年の誕生日プレゼントは、一体何を貰うつもりなのかしら?
名前: ヨシュアさん@通りすがり 投稿日時:!”#$%&’=~
ああ、その事ですか? 奴隷ハーレムですね。
名前: 女神様@神の座 投稿日時:!”#$%&’=~
……えっ?
名前: ヨシュアさん@通りすがり 投稿日時:!”#$%&’=~
……えっ?
名前: 女神様@神の座 投稿日時:!”#$%&’=~
……ちょっと待って? ヨシュア。あなた前に、チートハーレムにはさして興味ない、みたいな発言をしていなかった?
名前: ヨシュアさん@通りすがり 投稿日時:!”#$%&’=~
ええ、しましたよ? 今もさしてないですし。
名前: 女神様@神の座 投稿日時:!”#$%&’=~
そうよね? ……え? 興味がないのに手に入れるの? どういう事?
名前: ヨシュアさん@通りすがり 投稿日時:!”#$%&’=~
……あー。何やら誤解があるようですが……あのですね、女神様? チートハーレムと、奴隷ハーレムは全くの別物ですよ?
名前: 女神様@神の座 投稿日時:!”#$%&’=~
……そうなの?
名前: ヨシュアさん@通りすがり 投稿日時:!”#$%&’=~
そうですよ? チートハーレムものはですね? 運良く恋人や好きな男の居ない、フリーの美女や美少女が、偶然にも窮地に陥っているところに、たまたま居合わせたオリ主が颯爽と助けに入る事であっさり解決。
その後主人公に都合良く起きる、ヒロインの誰かと二人きりで危険な場所に転移してしまったりする困難を、協力し合い乗り越える事で仲を深めるイベントなどを消化しつつ、ハーレムを形成。
意図的かと疑わしい程に鈍感だったり、八方美人な態度をとっても主人公補正で許されて、クサい台詞で愛を囁いて機嫌をとりつつ、毎日のように自分を奪い合って起きる修羅場を、「おいおい喧嘩するなよ。ちゃんと順番に相手してやるからさ。な?」などと宥めながら過ごすじゃないですか?
名前: 女神様@神の座 投稿日時:!”#$%&’=~
え? うん……う、ん? ま、まあ、ものすごい偏見が入っているような気がしなくもないけれど、だいたいあってる? ……のかしら?
名前: ヨシュアさん@通りすがり 投稿日時:!”#$%&’=~
俺はそんな女運なんて持ってませんし、たとえ持っていたとしても、板挟みのストレスで胃を悪くしそうなので、是非とも遠慮したいところですね。
名前: 女神様@神の座 投稿日時:!”#$%&’=~
そ、そう。……ま、まあ? ヨシュアがチートハーレムには全く興味がない、という事は良くわかったわ。ええ。……それで? ヨシュアの中ではチートハーレムと、奴隷ハーレムにはどんな違いがあるのかしら?
名前: ヨシュアさん@通りすがり 投稿日時:!”#$%&’=~
どんな違いも何も、相反すると言っても過言ではないレベルで違いますよ?
まずチートハーレムものは殆どの場合、顔とチートスキルと、ご都合主義でヒロインが集結してきますけど、奴隷ハーレムの場合、主人公はヒロイン達のピンチを助けるんじゃなくて、金でヒロインを買い集めるんですから。
名前: 女神様@神の座 投稿日時:!”#$%&’=~
言い方! 奴隷ハーレムものの作者と、それを愛読する読者からの敵愾心を集めかねない発言はおよしなさいな。
名前: ヨシュアさん@通りすがり 投稿日時:!”#$%&’=~
えー? 女神様が俺の中ではどんな違いがあるのか、って質問するから正直に答えたのにー。
名前: 女神様@神の座 投稿日時:!”#$%&’=~
あ、ああ! そうね。そうだったわね? なら大丈夫かしら? きっと極一部でしかない、少数派の意見として、広い心で許して貰えるわよね? ええ。
名前: ヨシュアさん@通りすがり 投稿日時:!”#$%&’=~
勿論ですよ。自分も同類だ、という自覚がなければ、人は大抵の事なら他人事として笑って受け流す事ができるものです。
逆に言うと反応してしまうのは、自分に対する批判として受け止めている証拠なんですけどね?
異性にモテない。若しくは異性からの好意を得るために最低限必要な、まめにプレゼントを贈ったり、毎日愛を囁いたり、といった関心を引くための努力をし続けるのは面倒。だけど周りに好みの異性を侍らせてチヤホヤはされたい。
そんな虫の良い願望を叶えるためには、自分に逆らえない、自分好みの奴隷を複数人、金で手に入れるのが一番手っ取り早い、という事ですね。
名前: 女神様@神の座 投稿日時:!”#$%&’=~
……何故かしらね? その通りではあるのかもしれないけれど、あまりに身も蓋もなさ過ぎる所為か、心情的には素直に肯定しづらいのは……。
名前: ヨシュアさん@通りすがり 投稿日時:!”#$%&’=~
気の所為じゃないですか? ……話を続けますがこの時注意すべき点は、絶対に奴隷契約を解除してはならないという事です。
相手が自分に従順なのは、奴隷契約があるからだ、という前提条件を決して忘れてはいけません。
本来奴隷などという存在は、人間以下の扱いしかされないのだから、唯一優しくしてやった自分に、きっと好意を持っている筈。
だったらここで更に奴隷からも解放してやれば、好感度は鰻上りどころか天元突破して、「奴隷じゃなくなっても、あなた様のお傍に置いてください」とか言われちゃったりして? ドゥフフ……などと痛い勘違いをして解放などしてしまおうものなら、せっかく高い金を払って手に入れた奴隷が、次の日あっさり雲隠れ、などという事態に陥りかねません。
万が一逃げられなかったとしても、それは主人公の許に残り、生活の面倒を見て貰った方が楽な暮らしができる、という自己保身的な打算によるものであり、そこに好意は存在しません。あるのは下心だけです。
奴隷契約は見方にもよりますが雇用契約に近いらしいですからね。過酷な世界で職を失うのは嫌だ、という意見があってもおかしくはありません。その場合は内心の吐き気を堪えながら、嫌々イチャラブごっこに付き合ってくれる事でしょう。
名前: 女神様@神の座 投稿日時:!”#$%&’=~
……成程? 金銭で女性を買うにしても、そのヒロインを劣悪な環境から救うため、などの大義名分があるのならともかく、奴隷状態のヒロインを購入し、主人には逆らえないのを良い事に、散々好き放題な真似をしておいて、後日解放したからといって、好意を向けられる筈がないだろ? と。
そんな真似が簡単にできるような奴は、そもそも最初から奴隷ハーレムじゃなくて、チートハーレム作ってるわ、と?
名前: ヨシュアさん@通りすがり 投稿日時:!”#$%&’=~
いぐざくとりー、であります。しかも購入後も紳士的に接し、奴隷扱いせずに即解放してやる事が大前提なのは言わずもがな。
奴隷ハーレムを作ろうと思うような人間性の持ち主が、自分の好きにして良い、好みの据え膳を前に、どれだけ生殺しの状況に耐えられるでしょうか?
名前: 女神様@神の座 投稿日時:!”#$%&’=~
……あー、大分厳しそうかしら?
名前: ヨシュアさん@通りすがり 投稿日時:!”#$%&’=~
でしょうね。しかも欲望に負けて手を出した時点で、ヒロインの中で主人公という存在は、奴隷が主人には逆らえないのを良い事に、立場を利用して女を汚す卑怯者か下種、という評価になるであろう事は言うまでもありません。
余程ご都合主義な展開でも起きない限り、一度貼られたこのレッテルを払拭するには、相当な困難を極めるでしょう。
名前: 女神様@神の座 投稿日時:!”#$%&’=~
つまりあなたは、二兎を追う者は一兎をも得ず。中途半端な真似をしないで、初志を貫徹するべきだ、と主張したいのね?
名前: ヨシュアさん@通りすがり 投稿日時:!”#$%&’=~
いえす! ざっつらいと! でございます。チートハーレムを作れる人間はそうすれば良いし、できない人間は金で奴隷ハーレムを買えば良いのです。
既にチートハーレムを形成している主人公が、自分に逆らわず、わがままも言わない奴隷ハーレムも所有したい、などと欲をかき、美少女奴隷を購入なんてした日には、何のために買ったの? と、ヒロイン達から問い詰められる事は明白でしょう。
ヒロイン全員を納得させられるだけの上手い言い訳を思いつけなければ、それまでこつこつと積み上げてきたであろう主人公の株が、大暴落するであろう事は自明の理です。
名前: 女神様@神の座 投稿日時:!”#$%&’=~
それはまあ、そうよね? ただでさえ雨後の筍が如く次々に生えてくる競争相手に気を揉んでいるところに、「俺、奴隷ハーレムも欲しい」とか言われて、白い目を向けるどころか「そんな下種なところも素敵!」とか言うヒロインが登場する創作物があったら、さすがにあまりのご都合主義に、多くの読者が目を疑う事請け合いでしょうね。
名前: ヨシュアさん@通りすがり 投稿日時:!”#$%&’=~
ええ。チートハーレムというのは、異世界にくる前はリアルの女子にモテた事すらなかった主人公が、チート能力を手に入れる事によって、可愛い彼女ができましたどころか、その世界の男達が放って置かないレベルの美(少)女達が、自分に惚れてダース単位で押し寄せてくるものでしょう? 当然そのヒロイン達は奴隷ではないので、誰に強要された訳でもなく、自らの意志で主人公を選んでいる、という点が重要なのだと思うのです。
名前: 女神様@神の座 投稿日時:!”#$%&’=~
確かに。そして金銭で手に入れる、自らの意志に反しても主人に奉仕する義務のある奴隷ではない以上、独占欲というものを持つヒロインに、主人公を他のヒロインと共有してでも傍に居たい、と思わせる程の好意で繋ぎ止めなくておかなくてはならない筈。
そんな少しでも下手を打てば、何時ヒロインが離れて行ってしまってもおかしくはないような状況で、女性に軽蔑されて当然の、美少女奴隷の購入などという暴挙に出るのは、何か自分達に不満でもあるのか? と疑念や不審の念を抱かれて、ハーレム崩壊の引き金にもなりかねない愚挙、としか言いようがないという訳ね。
名前: ヨシュアさん@通りすがり 投稿日時:!”#$%&’=~
その通りです。つまりはそれくらい、自我を持つ女性が奴隷ハーレムを持つ恋人を受け入れる、なんてあり得ない話なのだと言えるでしょう。
奴隷ハーレムで純愛イチャラブ(笑)をしようとする愚かさは先にも述べた通りですし、あっちもこっちも美味しいとこ取り、なんて上手い話、異世界チートを以てしても困難だと俺は思うのです。
そんな訳で、俺は金で奴隷ハーレムを作り、自分が死ぬまで奴隷を解放したりしません。以上が、俺のハーレムという概念に対する考え方です。
◇
そんな何処にも褒めるところなどなかった筈の結論はしかし、ヨシュアにだだ甘な女神様による、「88888」という書き込みで締め括られたのである。
今回の被害担当:対応した商会の従業員。 仕事の邪魔をされる。
従業員(なんで俺に声かけてくんの? この忙しいのに)
ファーゴ「どうかされましたか?」
従業員「い、いえなんでもございません。それではご案内させていただきますので、こちらへどうぞ」
お読みいただきありがとうございました。また明日更新します。




