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デイリーメイカーズ  作者: 加島神楽
9/9

3-3 その過去恐らく黒で白

 この作品はあくまでフィンクションです。

 実際に存在する人物、団体、国家、事件、その他固有名称で特定される全てのものとは、名称が同一であっても何の関係もありません。

 -past-


 -side misa-



「いやだ」

「ええー……」


 あたしは陸に、自分の率直な思いをぶつける。


「友達なんて、無理に作らんでいい」

「でも美沙、クラス替えしてからまだ一度もクラスメイトと話したことないでしょ」

「今陸と話してるじゃないか」

「僕以外で」

「あー、あれだ。後ろに座ってる女の子と話したぞ」

「後ろの子、男の子だよね」

「…………あげ足をとるな!」

「ええー!」


 小学五年生になって、はや二週間くらい。

 奇数学年に進級するの度に行われるクラス替えで、あたしたち四人は初めて、クラスをバラバラにされた。

 あたしは陸と一緒。残り二人は別々だ。

 ちなみに、この学校にはクラスが3クラスある。

 他の学年より1クラス多いらしいが、あたしが今直面している問題に比べれば、そんなことはどうでもよかった。

 クラス替えから二週間が経過した状態で、未だにあたしが新しい友達を作らないことを心配して、陸が友達作りをしようと言ってきたのだ。


「だいたい、何で友達なんか作らなくちゃならないんだ」

「そりゃ、友達がいた方が楽しいからだよ」

「あたしはお前らだけで十分だ」

「そういってくれるのはうれしいけど……でもほら、いっぱいの人と遊んだ方が、やっぱり楽しいでしょ?」

「いっぱいいても、めんどいだけだ」

「いやいや、そんなことないって」

「いっぱいいても、喧嘩するだけだ。猫と一緒だ」

「猫はそうかもしれないけど、友達はそんなことしないでしょ? ほら、僕たち一回でも喧嘩したことあった?」

「うーん……」


 考える、考える。


「一也とはしょっちゅう喧嘩してるな」

「あれは喧嘩じゃなくて美沙が一方的に責めてるだけでしょ」

「…………揚げ足を取るな!」

「足がフライになっちゃってるよ!?」

「衣たっぷりだぞ!」

「ほんとに揚がってるんだ……って美沙、話をそらそうとしない」

「うっ……ばれたか……」

「そんなに友達作るのが嫌なの、美沙?」


 陸が少し不安そうな目であたしに問いかけてくる。

 うっ……そんな目であたしを見ないでくれ……。

 なんだかよくわからないが、少しざいあくかんのようなものを感じる。

 陸はあたしの為を思って、こんなにも言ってくれてるんだもんな……。

 ううっ、ざいあくかんに押しつぶされそうだ。


「わ、わかった……陸がそこまで言うなら、一人くらいはがんばってみる」

「美沙……うん! まず一人に声をかけることが大切だからね! よし、がんばろう!」

「お、おう……じゃあまずは、あいつに声をかけるか?」

「しょっぱなから男の子に声をかけようとする勇気はあるのに、どうして友達を作ることはあんなに嫌がるんだろう……」

「ん、男に声をかけるのはダメなのか?」

「いや、そういうわけじゃないんだけど。美沙、僕は美沙に女の子の友達が出来て欲しいなって思っているんだよ」

「ん、陸はレイニーメイカーズに女を増やしたいのか?」

「それだと雨を作る集団だよ、美沙」

「失礼、かみました」

「いや、わざとでしょ……」

「かみまみた!」

「わざとじゃない!? ……ってこれパクリだよ美沙!!」

「はにかみました、えへっ♪」

「それかなり先まで読まないと出てこないネタだからね、美沙!! というか、パロディー禁止!!」

「今日の陸は、よくわからんな」

「僕は美沙の方がよくわからないよ」


 陸が小さくため息をつく。

 ため息をついたら、幸せが逃げちゃうぞ。

 はっ、ということは今逃げた陸の幸せはあたしの目の前に!?

 あたしはその幸せを横取りするため、その場で大きく深呼吸を繰り返す。


「スーハ―、スーハ―」

「何してるの、美沙」

「陸のはいた幸せを横取りしているんだ」

「……それ、ちょっと危ないからやめておきな、美沙」

「うむ、そうなのか」


 陸にかわいそうな子を見るような目で見られたので、あたしは深呼吸をやめる。

 うみゅ、何がいけなかったのだろうか。


「で、陸はデイリーメイカーズに女を増やしたいのか?」

「急に話が戻ったね……まあ、大きく見ればそういうことかな。鈴にはもっと、女の子との関わりを増やしてほしいからね」

「わかった。じゃああたしのミッションはこうだな。

 1、誰か女の子に声をかける。

 2、友達にならないかという。

 3、友達になる。

 4、あたしはその子と陸との中継役をする。

 5、陸告白。

 で、いいんだな?」

「あとの2つはいらないよ!!」

「なにい! そういうことじゃないのか!?」

「僕のことは関係ない! というか、何で僕がその子を好きだという前提にするのさ!?」

「言われてみればそうだな。よし、じゃああたしはミッション3までをがんばればいいんだな?」

「そういうことだね」

「よし、それじゃあ……あそこで一人宿題をしている子に話しかけよう」

「夢桜さんだね、どうして彼女を選んだの?」

「かわいいから」

「即答!? まあ確かにかわいい子だけどさ」

「あと頼んだら宿題を見せてくれそう」

「ええー、そんな理由で……」

「あと今一人だから」

「聞くとどんどん消極的な理由が出てきそうだからストップ。よし、それじゃあ行ってみよう」

「ん、陸もついてきてくれるのか?」

「初めの一人だからね、僕もついていくよ」

「そうか……やっぱりミッション5までやった方がいいか?」

「やらなくて平気だからね!?」

「そうか」


 あたしはてきとうな会話をしながら……えーと、確か……弓構だっけ?

 まあそんな名前のこのところまで行く。

 あたしが向かっている先にいるその子は今、自分の机に座って、ノートに宿題をやっているようだった。

 真面目に宿題をするなんて、きっとえらい子なんだろうな。

 金髪の長い髪を下げているその姿は、あたしから見てもすごいかわいかった。

 うん、かわいいというよりは……この場合はきれいの方がいいのだろうか?

 まあどっちでもいい。

 そんなかわいい(こっちで呼ぶことに決めた)……何て名前だったか忘れちゃった子の前にあたしは到着する。

 それに向こうも気が付いたのか、字を書くのをいったん止めて、かわいい子はこっちを向く。

 間近で顔をみると、すごくかわいい顔をしていることがわかった。

 うん、やっぱりかわいい。

 さっきからこれしか言ってない気がするが、あたしの語彙が少ないせいだ。

 きっと陸だったら、もう少し工夫した言い方ができるのかもしれないが、あたしにはかわいいが限界だ。

 しいて他の言葉にたとえるなら……ぷりちー?

 やっぱりよく知らない言葉を使うべきじゃないな。

 話を元に戻す。

 そんなかわいい子が、何か用ですかとでも言いたげな目線を送ってきたので、あたしはミッションを開始することにした。

 えーと、まずは名前を……


「おい、かわいい!」

「え、いきなり何を言ってるのさ美沙!?」

「しまった、印象が先に出てしまった」


 頭の中でずっとかわいい子と言っていたせいで、間違えてそう呼んでしまった。

 次は気を付けないと。


「おい……えーと、夢現!」

「夢しかあってないよ!?」

「雪豆腐!」

「新種の豆腐!?」

「梅茶漬け!」

「もはや原型をとどめてないよ美沙!!」

「……クスクス」

「夢桜さん笑い出しちゃったよ……」


 あたしが3連で間違えてしまっているのを見てか、かわいい子がくすくすと笑いだす。


「うにゅ……すまん、かわいい子」

「夢桜沙耶さん」

「そうか、すまん沙耶」

「おお、いきなり名前を呼び捨てか」


 隣で陸が何やら言っているが、あたしはそれを無視してじっと沙耶のことを見つめる。


「じーっ」

「いや、自分でじーっ、っていうんだ」

「…………///」


 あたしにじーっと見られていたからか、沙耶が照れて顔を伏せてしまう。


「なんだこいつ! めちゃくちゃかわいいぞ陸!」

「いや、僕に報告されても……」

「家に持って帰ってもいいか!?」

「人間持って帰っちゃダメ!!」

「…………あの」

「ん?」


 さっきまで照れていた沙耶が、あたしたちに向かって声をかけてくる。

 そのかけてきた声も、あたしにはかわいいと思った。

 けれどその口から放たれた言葉は、とてもかわいいとは思えない、悲しみに満ち溢れた言葉だった。


「私に近づかない方がいいよ……」

「どうしてだ? こんなにかわいいのにか?」

「私と話してたりしたらきっと……あなたたちも、いじめられちゃうから……」


 そういわれてあたしは初めて気が付く。

 さっきまで沙耶がしていたことは、宿題でも予習でも復習でもなく、そもそも字を書くということではなくて……。

 沙耶がしていたのは……机いっぱいに書かれたいじめの言葉の数々を、必死に消していたのだった……。


 -past end-


 -side return-



「沙耶はその後席を立って、どこかに行ってしまったんだ。きっとあたしたちとの関わりを避けようとしたんだと思う」


 美沙さんはそこで一度話をやめ、手元のお茶を一杯飲む。

 帰宅しようとした美沙さんを無理矢理引き留めた僕は、

話の続きを聞くために一度、部屋のリビングで美沙さんと向かい合っていた。 


「……すごくシリアスな場面にごめん、でもつっこみを入れずにはいられない……そこに到達するまでの会話必要だった!?」

「もちろんだ! それがないとこの章は、ものすごく内容が少なくなってしまうんだぞ!?」

「メタ発言しない!!」

「前から思っていたんだが、お前陸とキャラ被ってないか?」

「僕もそう思ってたけど、それは言っちゃだめなところだよ!」

「ぶっちゃけ陸と二人だけで登場した日には、お前たちどっちが喋っているのかわからなくなりそうだな」

「だからそういうシーンはなくそうとがんばってるんじゃないか……って僕まで何言ってるんだろう」

「そういうところは陸と違うよな」

「僕のキャラ付けがこうなっていきそうで怖いよ」

「良かったな、これでお前もこっち側の人間だ」

「すごいイヤだ……」


 僕のつっこみによって話が逸れに逸れまくってしまったので、心の中で閑話休題と呟いておく。


「で、沙耶の話に戻るけど……」

「そうだな。もうここからはおふざけは無しだ、鼻の穴かっぽじってよーく聞け」

「今おふざけ無しって言ったばっかりだよね」

「失礼、かみました」

「それさっき聞いた! てかだめって注意されたばかりじゃん」

「いや、言われたのは小学生の頃だ」

「だからって時効にはならないからね!?」


 だいたい、何で小学生の頃からそのネタを知っているのさ。

 あれって、そんなに歴史があったっけ。

 いや、絶対ない。


「まあとにかく、沙耶から逃げられたあたしは、急いで追いかけようと思った。けどそうしようとしたあたしを陸が止め、今は追うべきじゃないって言ったんだ」



 -past-


 -side misa-



「何で追っちゃだめなんだ?」

「今追いかけたって、すぐに逃げられるだけだよ。それよりもまずは、夢桜さんの警戒を解かないと」

「警戒? 沙耶はあたしたちに警戒していたのか?」

「うん。あれはおそらくそうだった。目が僕たちに不安を訴えていたから」

「よくそんなのがわかるな、陸」

「初めの頃の美沙が、僕に対してそんな感じだったからね」

「ああー、あのときはすまなかった。ぶっちゃけ怖かったんだ」

「いいよ、自分でもあのときの僕は怖かったと思うから」

「なんかこう……強そうなオーラが出てたんだ、うん」

「そんなオーラ出てたかなあ……」


 陸が昔を思い出し手か、二度目のため息をつく。

 もう一度幸せを吸い取ろうかと一瞬考えたが、また陸から変な目で見られるのがいやだったあたしはそれをやめる。

 そんなあたしの思考に関係なく、陸は少し真剣な顔になって、ポケットから消しゴムを取り出した。

 そしてその消しゴムを使い、沙耶の机の文字を消し始めた。


「……何をしているんだ、陸?」

「警戒心を解くためには、僕らが夢桜さんの味方であることを知らせなくちゃいけないからね。こうすることで、僕たちが夢桜さんの味方であることを知らせるんだ」

「……そうか、なるほど。陸は友達を作る天才だな」

「あはは、ありがとう美沙」

「よし、だったらあたしも消すのを手伝う!」

「うん、よろしく」

「任せろ……陸、消しゴム貸してくれ」

「筆箱の中に入ってないの?」

「筆箱を忘れた」

「それでどう学校生活を送っていたのさ……」


 本日三度目のため息をつきながら、陸はポケットから消しゴムを出す。


「さっきから思っていたんだが、何でポケットに消しゴムが入っているんだ? それこそ、筆箱に入れておくんじゃないのか?」

「ちょっと癖でね」

「ふーん、そうなのか」


 たいして興味がなかったので、あたしはこの辺で会話をやめ、陸から借りた消しゴムで文字を消す作業に専念する。

 わかってはいたけれど、文字を消す以上どうしても、書かれている文字を見なくてはいけない。

 そして、その机に書かれている文字を見ていると、どうしてもいらいらとしてきてしまった。


「なんか、これ消してるといらいらしてくる……そうだ陸! これを書いた奴見つけだして、けっとばしてやらないか?」

「けっとばすのはだめ。そんなことしたって、何の解決にもならないよ」

「じゃあどうすればいいんだ!」

「それはこれを消し終わったら、一也たちに相談だね」

「そうだな、そうするべきかもな……ん、こっちは消し終わったぞ」

「こっちも終わり。それじゃあ一也の所に……」


 陸が一也の所にいこうとしたそのとき、昼休み終了のチャイムが音を立てる。

 どうやら、次の授業が始まるようだ。


「よし、一也の所に行こうか」

「いやいやいや、今チャイムなったよね!? もう授業が始まっちゃうよ!?」

「お前は沙耶と授業、どっちが大切なんだ!!」

「そりゃあ夢桜さんの方が大切だけど……」

「なんだ、お前やっぱり沙耶のことが好きなのか?」

「自分で言わせておいて、それは酷くない!?」

「だったら一也の所に行くぞ」

「いやいや、だから授業サボっちゃだめだって! それに、一也たちも授業中なんだから、行ったって先生に追い返されるのが落ちだよ」

「そうか、先生に見つかるのは嫌だからな……わかった。話は放課後にする」

「うん、その方が落ち着いて話せるもんね」

「そうだな……ところで陸」

「ん、何か消し残しがあるの?」

「そうじゃなくてだな……なんで教室には誰もいないんだ?」

「え、そういえば何で……あ、美沙! 次の授業は図工室じゃなかった!?」

「……はっ、しまった! すっかり忘れてた!」

「どうしよう……僕たち怒られちゃうよなあ……」

「うう、怒られるのか……そうだ。こうしよう、陸」

「どうするのさ」

「家に帰る」

「それ一番だめ!!」



 -past end-


 -side return-



「ということ陸の案により、あたしたちは沙耶の懐柔から始めたのだった」

「懐柔って……」


 僕は表面上は冷静につっこみを入れているように見えたが、内心は決して冷静なんかではなかった。

 沙耶さんの過去、いじめを受けていた過去。

 僕はそんなことをする奴への怒りと、あのときと同じ過去に対する驚愕の混じった感情が、心の奥底でうずめいていた。


「ねえ、美沙さん。沙耶さんはどうして、いじめなんかにあっていたの?」

「あとあと聞いた話だと、まあいわゆる嫉妬というものだったらしい。沙耶のかわいさに嫉妬した連中が起こしたいじめだって話だ」

「嫉妬……そんな理不尽な感情で……」

「小学生のいじめの理由なんてそんなものらしい。あたしは経験したことがないからよくわからないが」


 ……おそらく、小学生でなくても、人が人をいじめる理由なんてそんなものなのだろう。

 ムカつくからいじめる。

 かわいいからいじめる。

 好きだからいじめる。

 頭がいいからいじめる。

 周りにもてはやされているからいじめる。

 振られた相手の好きな子だからいじめる。

 特別だから、うらやましいから、そして……妬ましいからいじめる。

 最悪の場合は、弱そうだからいじめるなんてことだってある。

 それこそ、まるでゲームのように、暇つぶし感覚でいじめる。

 そこに、被害者の意志なんてありはしない。


「……おい、咲夜! どうした!?」

「あ、いや……何でもないよ」

「なんだか怖い顔をしてたからな。正直逃げたくなったぞ」

「ごめんね、怖がらせちゃって」

「いや大丈夫だ。それに咲夜がそれだけ怒る気持ちも分かる。あのときはあたしも、人見知りで無関心なあたしでも激怒したからな」

「……それで、その後はどうなったの? 一也に相談に行くって話だったよね」

「ああ、この後はそこまで話すことはない。ただ一也が沙耶をあたしたちメイカーズに誘ったってだけだからな。これで話は終了だ」

「…………え、いろいろ誘うまでの苦労とかはなかったの!?」

「だからそれは今まで話しただろう」

「いや、その後。一也に相談した後の話だよ」

「だから、沙耶をメイカーズに誘って、沙耶がそれにうなずいて、あたしたちは仲間になりました。ちゃんちゃんだ」

「そう言われたらそれまでだけど……沙耶のいじめとかはどうなったの?」

「気がついたら無くなってた」

「気がついたら!?」

「自然消滅ってやつだ」

「…………」


 いまいち美沙さんの話がうまく入ってこない。

 沙耶さんがふさぎ込むまで続けられていて、ふさぎ込んでもなお続いていたいじめが、自然消滅するとは到底思えないからだ。

 けれど、美沙さんを家にとどめておくのにも、そろそろ限界だ。

 時刻は十時前。本来なら女の子が一人で家を出ても良い時間ではないだろう。

 美沙さんの両親は沙耶さんの看護に行っていることを知っているとはいえ、さすがにそろそろ心配し出すだろう。

 僕は美沙さんにお礼を告げ、帰宅してもらうことにした。


「ごめんね、美沙さん。家まで送っていくよ」

「いや、大丈夫だ。そんなに遠くではないからな。あたしこそ、説明下手ですまなかったな」

「いや、説明してくれたことに感謝だよ」

「陸あたりならきっと、もっと上手く説明してくれると思うが……、明日辺り聞いてみたらどうだ?」

「うん、そうしてみるよ……ありがとうね、美沙さん」

「あたしたちは仲間だからな! これくらい当たり前だ!」


 その何とも心強い言葉を最後に、美沙さんは大急ぎで自宅へと帰っていった。

 その背中を見つめながら僕は……


「仲間……かあ……」


 その言葉をもう一度呟き、自宅へと引き返した。


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