新学期
・・・3月上旬
「あー、今日は雨か・・・さみぃな」
俺の名前は
中川裕也
ただいま高校2年で
今から先輩たちの卒業式に向かうところだ
俺は傘をとり、ため息を一回ついて学校に行くことにした
卒業式といっても、先輩たちとの絡みなんて無いから居なくなって、悲しいとか、寂しいとか、嬉しいとか、そうゆう感情は湧かない
行くことさえ面倒臭いが、そんな事して不良ぶるつもりもないし、なりたくもない、ただ自分の学校生活が穏便に送れれば俺はそれでいい
ふと思った
そうだ・・・
高校を卒業してから俺は何をしているのだろう
特にしたいこともない
行きたい大学もない
3年前まではちゃんと目標はあったけど・・・
『あの日』から全てが変わってしまった
そんな昔を思い出しながら歩いていたらあっという間に学校についていた
俺は今日でお別れする2−A組に向かい、窓側にある自分の席に腰掛け外を眺めた
するとすぐにドアがガラガラガラと先生の声と同時に開いた
「みんなおはよう、卒業式が行われる体育館に向かうから出席番号順で廊下に並んでー」
『はいよおー』
クラスの皆は廊下にだらだらと出て並び
体育館に向かった・・・・・・
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・・・ろ・・・い
「・・・ん・・・だれ」
「「何寝てんだ起きろ!中川!!」」
甲高い声で担任の先生に怒鳴られた
暇すぎていつの間にか寝てしまっていた・・・
寝起きにこんなでかい声かけられたから頭が更にガンガンする・・・
あれ、皆は・・・と周りを見てみると
辺りには誰も居らず居るのは俺と先生だけだった
「みんなは・・・どうしたんですか?」
あくびをしながら
今起きている現実を把握すべく裕也は聞いた
「今さっき終わって皆2−Aにいる」
「そうなんですか、じゃあ俺も戻りますわ」
裕也が席を立ち体育館の出口に行こうとすると
裕也の腕をがっちり掴み笑いながら
「お前はだらしなさすぎる、校舎全体掃除だ」
と言われた
早く行けと急かされ
1階から3階まである学校を掃除するはめになってしまった
「はぁ、不幸だ・・・なんでこんなことしてんだ」
そんな愚痴を吐きながらも2階まで4時間かけて掃除した俺はすごいだろう
PM3:00
残る最後の3階の掃除を始めた
しかし、3階はほぼ屋上が占めているので30分程度で終わった
もう3時半すぎ、今この学校には生徒は誰一人居ないのでとても静かで、なんか不気味だった
早く帰ろうと思ったが、目の前にある屋上が気になった
いつの間にか扉の前に居て、ドアに手をかけて開けてみた・・・・・・
するとそこには雨上がりの虹があった、そして俺が住んでいるこの田舎町をこんな上から眺めたのも初めてでとても新鮮だった
しかしよく見ると屋上の柵から出ている女子生徒が居た
裕也は驚きすぎて声がだせなかったが、ガタガタ震える口を開け喋った
「ぉ、おい!あんたこんなとこで何やってんだ・・・危ないぞ!」
すると女子生徒はこちらに振り向いた
乱れた長い髪、少し大きい目が赤く腫れてる、泣いていたのだろうか・・・
「あなたは誰・・・」
「え、えと・・・元2−Aの中川裕也、君は?」
すると女子生徒は俯き
「今から死ぬから・・・名前なんて教えなくてもいいですよね」
今から・・・死ぬ?
どうゆうことだ
自殺するってことか!?
「何言ってんだ!」
嫌だ・・・
「簡単に死ぬとか言うな!」
もう・・・
俺の目の前で死人がでるなんてゴメンだ!!!!
女子生徒は震えながら
拳を硬く握り叫んだ
「初対面のあなたになにがわかるんですか!!??」
ズバリ・・・そうだが・・・
「・・・でも、自殺なんて選択肢しか無いなんて無いはずだ!なんか理由があるなら言ってみろよ!」
女子生徒はだんだん泣き顔になりはじめ
その場に崩れ落ちた
「あ、危ないからそこから出よう・・・」
俺はそばに駆け寄り手を差し伸べた
だいぶ落ち着き
女子生徒の方から口を開けてくれた
「私の名前は安藤奈津子2−Cです・・・」
「なんでこんなことしてたんだ?」
「私・・・身体が生まれつき弱くて・・・病弱で、学校なかなか来れなくてですね・・・友達も居なくて、たまに学校にきても病原菌扱いされるんで、いっそのこと・・・」
奈津子はそのあとは何も言えなかった
だから俺も無理に聞かなかった
「馬鹿ですよね?こんな小さい理由で一つしか無い命を断とうだなんて!それに死ぬなんて怖くて出来ない私の中途半端な気持ち・・・笑えてきますよ」
無理して笑顔を作っているのがわかった
いじめが悪いんだ
だけどいじめられる奴にも悪くはないが何か変えなきゃいけないものがあるのかもしれない・・・
「馬鹿なんかじゃねーよ、感性なんて人それぞれだし、性格も皆違う、まずは学校になるべくちゃんと来て友達を作るべきだよ」
まぁ、安藤とはもう関わる事は無いが一応アドバイスを言った
命を簡単に断つのだけはゴメンだ
「わかりました!春休み明けの始業式ちゃんと来て友達作ります!なんか初対面でしかもこんな形であったのに色々ありがとうございますね」
そう言うと少し微笑みながらその場を去っていった
さて、俺も帰ろう
よっこらせっと
オッサンみたいな声を出して自分のスクールバックを持ち家に帰った
・・・・・・・・・・・・
時が過ぎるのは早いものでもう春休みは終わり、始業式の日になった
もちろん俺らが最上級生の3年になるわけだ
学校につきクラスに行くと3年の新しいクラスが発表されていた
「えーっと・・・中川中川っと・・・あった」
人差し指を指しながら名前を見ていると、3−Bに自分の名前があった
3−Bのクラスに行くとまだ皆静かでグループが出来たりはしてなかった
そんな中、後ろから肩をトントン、と叩いてくる人が居た
「なんだよ」と後ろを振り返ると肩にあった手が人差し指をたてて俺の頬に触れた
「おはっよーヒロやん−!」
「・・・・・・ぉぅ」
この男子生徒は
俺の小学校からの幼なじみの高田航だ
俺の友達の中でも親友と言ってもいいくらいなんでも話せる仲だ
「ヒロやーん!高校生活☆初☆一緒のクラスだな!」
「そういえばそうだったな、まぁ、俺はお前みたいな変態ロリコン野郎と同じクラスなんてゴメンだったがな」
「ロ・・・ロリコンじゃねーよ!小学生可愛いって言ってロリかよ!」
「あぁ、そうだよ」
そんなバカみたいな会話をしているとあっという間に始業式の時間になった
まぁ、特に始業式なんてやることはなく校長の話、生徒会委員長の話、部活動優秀成績表彰の流れだ
「はーい、みんな黙ってね最後だからねー、ゴホン。去年から今日までの部活動優秀成績者の表彰です」
校長が話しているが体育館内は話し声が収まらない誰一人、話なんか聞いていなかった
すると表彰を受けてる女子生徒が表彰状を受け取る前に後ろを振り返り
「少しは黙れよ、あんたら!一時間も集中出来る理性もないの?」
ハイ?
俺は開いた口がふさがらなかった
なんでただの生徒がこんな事・・・
しかし、その一喝で生徒の多数は静まり返った
なんなんだあいつは・・・
そんなこんなで始業式は終わった
クラスはさっきの女子生徒の話題でいっぱいだった
一緒に居た航もその話をしてきた
「お前あいつのこと知ってるか?」
「いや、3年なのはわかるが特には・・・」
「知らないのかよ!あいつは奥田咲季だよ生徒会長にして陸上部の短距離で相当成績あげてるらしいぞ、インターハイでも優秀も夢じゃないらしいぞ」
「まさに文武両道の鑑ってわけだな、お前は何一つ勝てないな、ハッハッハ」
「うるせー、お前もそうだろうがよお」
航は肩を落としかなり落ち込んでいる様子だ
まぁ、確かに凡人な俺等と天才的な才能がある奥田さんとは人間として作りが違うんだ
ガラガラガラ
先生が入ってきた
3−Bで初のホームルームだ
「こんにちはー皆さん、これから一年間お前らの面倒見る小林幹夫だ、よろしくー」
体育教師っぽい服を着ているが
メガネをかけ、少し無精髭が生えている
髪の毛もヘルメットみたいでなんか適当そうだ
今日のホームルームは自己紹介だ
と言われ自己紹介文を書く紙を渡された
ここは中学校かよ、と思いながらも自分についての長所や短所を書いた
「みんな書いたか〜、んじゃ出席番号1から発表しろ」
さてさて、このクラスにはどんなやつがいるのかな
まだちゃんと顔も見てないし
可愛い子もいるかも!
そんな事を考えていたが
一瞬にして崩される・・・
「こんにちわ・・・安藤奈津子です・・・」
おい・・・こいつって・・・
あまりにも小さすぎる声にみんな静まり返った
「ぇ、と・・・長所は・・・無いです、すいません・・・短所は・・・暗いとこです・・・」
そう言うと物凄い速さで席に座った
つ・・・つかまさか同じクラスになるとわ・・・
ホームルームが終わり、皆それぞれ部活に行ったり帰宅したりした、航はバスケ部なのでホームルームが終わってすぐ走って部室へ向かっていった
俺は「さて帰宅部は帰るか」と口ずさみ学校を出た
校門を出て自分の家に帰る道に一本短い橋がある
そこに人が一人、川を眺め立っていた
普通だったら気にせずスルーだが、その人物は安藤だった
「おいおい、冗談じゃないぞ」
猛ダッシュで安藤の元へ駆け寄り力ずくで手を握った
「何してんだお前!またあんなことしようとしてたのか!?」
「裕也さん・・・痛いです・・・それにただ私はあれを見ていただけですよ〜」
と指を指す先には鴨の集団が居た
「俺の勘違いかよ・・・なんか悪いな・・・」
強く握っていた手を離し裕也も鴨を眺めた
「い・・・いえいいですよ別に」
1分くらい沈黙が続いた
なんか話さないと
話題・・・話題・・・
と裕也が焦って考えていると
安藤の方から話題を切り出した
「やっぱり私、こんな性格だから友達なんか出来ないのかも、いつかまたハブかれていじめられるんですよ」
俺は悲しい顔をしてるだろう安藤の顔を見れなかった
なんも力になれない自分が情けない
簡単に考えれば俺もハブく奴らと絡み普通に学校生活を送ればいいのだが
あんなに追い込まれた彼女を見捨てるわけにいかなかった
今にも落ちて壊れそうな心を俺が希望という物で落ちる前に救ってしまった、そこまでしてしまったのだからもう引き下がれない
「なぁ、安藤」
「はい?」
「あそこに居る一羽の鴨わかるだろ?」
裕也の目線の先には集団から離れている鴨が居た
「わかりますが、それがなにか?」
「あの一羽が集団に入るためにはどうすればいいでしょう〜?」
「え・・・それはあの集団の中に行けば・・・」
「そうだな、答えなんて簡単だよ、勇気振り絞って集団の中に入りゃいいんだ!」
しかし
安藤は眉間にシワをよせ
俺の顔をにらみつけてきた
「そんな簡単に行く問題じゃありません、私が行った所で気持ち悪がられるのがオチです!」
俯き、だんだん声が小さくなってく
裕也は安藤の頭にチョップした
「いったー、何するんですかぁ!」
頭を押さえ少し涙目になっている
「お前一人だけなんて誰も言ってねーよ、俺も手伝ってやるって」
しまった・・・かなり臭い言葉言っちまった
そんな言葉を聞いた安藤は裕也の方を見て口を開けポカーンとしている
すると頬が少し赤くなりまた俯いてしまった
「まぁ、俺が高校の友人第一号だな!」
「・・・ですね、とりあえず私帰ります、ありがとうございます」
「おう、じゃあ明日〜」
振り向いて微笑む安藤の顔色が前にあった時より明るくなってるように見えた
キーンコーンカーンコーン
もう放課後か・・・
今、俺は安藤と校門にいる・・・さて昨日たてた作戦
名付けて
【安藤奈津子!高校デビュー作戦!】実行だ!
「あ・・・あの・・・高校生活もう終わるし・・・それにここでそんなこと言わないでください・・・!」
「え、言葉発してた?」
俺は両手を思いっきり上に突き上げていた
なんと恥ずかしい・・・
周りの生徒もガン見していたから走って学校を出た
首をかしげで
「えっと、裕也さん?作戦とは?」
と安藤が聞いてきた
「まぁ、とりあえずその暗い外見を変えないとな・・・とりあえず本屋いくぞ」
「外見・・・別にこのままでも良くないですか?」
何言ってんだこいつは・・・
安藤の今の姿は
顔は意外と目がくりくりでしかし寝癖なのかなんなのかわからんボサボサな黒のロングヘアー
尻につきそうなくらいあるし、前髪も鼻先くらいまで・・・
身長は160くらい体型も決して悪くはないんだが
制服はきっちりしていてスカート丈も膝まである
知っている人も多いだろうが
人の印象は9割程見かけで決まってしまう
その9割を変えるためには親密に友人関係を気付かなければ変わるはずはない
安藤なんて友人になることすら難しいから印象を簡単に変えるなんて無理だろうし、多分ほかの皆の頭の中には陰キャラなイメージがきっちりついているだろう
だからまずそのイメージを壊していこうという作戦を実行しようとしているのだ!
そんな説明をしている間に二人は本屋についた
「本屋で何の本探すんですか?」
「ヘアカタログだよ、まずその重い髪を切らないとな」
「えー、せっかくここまで伸ばしてたのに・・・」
俺はため息を一回つき
女性用のヘアカタログを一つとって開いた
「これなんか良くないか?あ、これとかも!安藤聞いてるか?」
ふと安藤に目を向けてみるとグルメ本を見て目を輝かせていた
何をしてんだかこいつは・・・
−−−10分後−−−
「ん〜、学校の校則に引っ掛かると面倒だからなぁ・・・パーマとかはダメだな」
「そんないきなりパーマなんてしたらもっと皆に嫌われますよ・・・」
まぁ、確かに・・・今まで陰気だったのがいきなりパーマかけて学校来てたらなんか退くな・・・
「とりあえずお前の好きなのにした方がいいよ」
「え、じ・・・じゃぁ・・・こんな感じにしてみたいです」
指を指したのは結構短めのショートヘアーだった
尻につきそうな髪の毛が一気に肩にかからないくらいまでになる
物凄く・・・ギャップが激しくなるような
「まぁ、それがいいならそれにしよう。美容院いくぞ!」
「い・・・今からですか!?心の準備が・・・」
急に胸を押さえ息が荒くなった
美容院ごときでそんな緊張すんなよ・・・
さて美容院には今ついたわけだが
「よし、心の準備はオッケーか?」
「だ・・・大丈夫です、行ってきます」
と言うと
美容院の中に一人で入っていった
さすがに俺が同伴するのは可笑しいので、終わったらメールをする約束をしといた
「近くのBOOK・OFFにでも行って暇つぶしとくか」
裕也も美容院の向かい側にあるBOOK・OFFに入った
−−−一時間後−−−
ブーブー ブーブー ブーブー
携帯のバイブ音が鳴っている
裕也はポケットから取出し画面を開くと一通メールが来ていた
【from】安藤 奈津子
【件名】今終わりました!
【本文】
長い髪ばっさり切りましたよ〜
美容院前に居るんで来て下さい〜・・・
−−−−−−−−−−−−
「終わったか、一時間とは早いなあんな長かったのに」
BOOK・OFFを出て美容院前に向かってみると・・・
誰が安藤だ?
人が多くて安藤が見当たらない、しかも前はわかりやすい髪だったから簡単に見つけられただろうが、今は違う
裕也がキョロキョロしていると、ギュッと腕を掴んでくる女性が一人
ショートヘアーで目がくりくりしていてしかもかなり小顔だ・・・かなり可愛いかも
「あ・・・あの人違いなんじゃないでですか?」
心臓ばくばくの俺は何を言えばいいのかわからないパニック状態だ
しかし女性はちょっと口を膨らませ
「人違いなんかじゃありません!」
え
て事は・・・
「あ・・・安藤さん・・・ですか?」
すると安藤は肩を落として小さい声で
「裕也さんひどいです」
と言い放った
とりあえず外見はかなり変わった・・・別人のように
「そ・・・それじゃ私帰りますね、今日はありがとうございました」
安藤はそう言うとそそくさにその場から去った
「いやぁ、普通に可愛かった・・・明日どうなるんだこれ」
そんなことを口ずさみながら俺も家に帰宅した
翌朝・・・
いつもと変わらない通学路で登校していると
一本橋のあたりに安藤が居た
「あ、裕也さんおはようございます」
「おはよ、お前何してんの?」
「え、あの・・・ちょっと休憩してたんですよ!一緒に学校行きませんか?」
「別にいいけど、まぁ、そんなイメチェンして一人じゃ寂しいだろうしな」
二人は学校に向かった
ガヤガヤガヤガヤ
クラスがなんか騒がしい
なんかあったのだろうか
「ここからは一人でいきますよ、一緒に登校したのバレたりしたら裕也さんに迷惑だろうし・・・」
安藤は俺に作り笑いの顔を向けた
なんか少し寂しかった
別に迷惑なんかじゃないって言いたかったけど
「あぁ、そうだな」
と俺は言ってしまった
すると安藤の顔は少し暗くなりクラスに入っていった
「「私なんて・・・やっぱり嫌われてるんだ」」
クラスに入ると皆が珍しい生物を見る様な目で私を見る
やっぱり外見なんか変えてもなんも変わらないよ・・・私、元が悪いし。
席に座ると私と同じくらいの茶髪で少しつり目の女子生徒が安藤の前に来た
「あんた、いきなりそんなイメチェンして何様?男に興味あるわけ?不細工は調子に乗っちゃダメだよ」
不細工?
そんなのわかってる
「すいません・・・」
「理子〜、あんまいじめちゃだめだよ、私は可愛いと思うよ?安藤さん」
「凜!!あんた目おかしいんじゃない!?」
次はたれ目で黒いセミロングで160センチはない背丈の女子生徒がきた
こんな言葉お世辞だよねきっと
裏では高笑いしながら私を馬鹿扱いしてるんだ
きっとそうだ
「おい理子、何してんだ」
ずっと俯いて縮みこまっている私はその声に反応した
見上げると・・・
そこには裕也さんが居た
「裕也!あんたこいつと結構絡んでるらしいじゃん?」
「そうだが、何か問題でも?安藤悪い、この口の悪い女は幼なじみの高城理子後この対照的に優しい女が白井凜だ」
「口の悪いって・・・何よあんた!こんな陰キャラと絡んでてなにが楽しいのよ!」
「少なくともお前のその性格がなんとかならないかぎりお前と遊んだりしないわ〜」
口喧嘩が始まってしまった
どうしよう、どうしよう
とあたふたしてる安藤の元に凜が肩に手を置いた
「あの二人あんなんだけど仲は良いのよ、まぁ、鈍感な裕也くんは何も気付かないけどね」
ふふっと笑うと凜は自分の席についた
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴った
しかし二人の口喧嘩は先生が来るまで終わらなかった