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男に振り回される奇跡

「あのう、ひょっとして三田居さんの娘さんですか?」

「……ええ、そうですけど、どちら様でしょうか?」

「突然声を掛けちゃって済みません。一度謝りたいと思っていたものですから」

 見知らぬ男性は頭を下げる。はあ? 何の事……。


「あっ、オレ、柏葉宗摂の子孫の一哉です」

「そ、そうでしたか……」

 今頃謝られても……とも思うけど、敵の子孫が二人も現れるなんて、今日の私の運勢って一位? 最下位?

 でもかずやって人、服装はカジュアルだけどシオに比べて髪もブラウンだし見て呉れも紳士そうで超イケメン!


「何で私が三田居の娘だって分かったんですか?」

「いや、盗み聞きするつもりはなかったんですけど、さっき金髪にしている男性が……」

 「じゃあ若、また会社で!」。右手を挙げて発せられたシオの別れの挨拶がフラッシュバックする。

「……って聞こえちゃったんで、もしかしたらって思って声を掛けちゃいました。オレ、親から聞いて知っていたんです。三田居家には若さんと武弥さんっていう姉妹がいるって。済みません」

 柏葉は再度頭を下げる。でも爽やかな笑み。


「いえ、気にしなくて良いですよ、そんな事」

 私は動揺しながらも「かわいく」破顔。でも、私の親は何にも教えてくれない。敵だからだろうか。

「この町にお住まいなんですか?」

「いや、オレは今東京に。休暇取れたんで久しぶりに里帰りでもしよっかなあって」

「私も東京に住んでるんですけ、同じく休暇で帰郷したんです」

「そうですか。一緒ですね」

 

 ジーンズのポケットからスマートフォンを取り出し、

「あのう、もし宜しければ、連絡先交換しませんか?」

「え!? オレ敵の子孫ですよ。三田居さんは良いんですか?」

「だってこんな事って滅多にっていうか、普通あり得ないじゃないですか」

 これも、奇跡だ。私にとっては……。

「まあ、そうですよね」

 

 かずやもスマートフォンをポケットから取り出した。

 柏葉かずやと「無事に」連絡先を交換したけど、心は大いに揺蕩した状態で帰宅する。私にとっては別に悪い告知じゃなかったけど、揺蕩した後は何か凄い疲労感に襲われた。

 

 今日の私の運勢って、一体何位だったんだろう。


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