東京は擦れる街?
そして木曜日の夜九時過ぎ。二人の休みが合う金曜日に合わせて、シオと恵比寿で待ち合わせた。居酒屋で食事とアルコールを体内に入れながら、セフレとして付き合って行く上での決め事を話し合う。
一、恋愛関係になるのは御法度
二、お互いの生活に深入りはしない
三、SEX以外の待ち合わせ、デートはしない
四、支払いは全て割り勘にする
五、言うまでもないが、避妊は絶対
全部割り勘にしたいのは、借りを作らず、お互いフェアでいる為だ。
十時過ぎに居酒屋を出て、「必要な物」を買うためにディスカウントストアに入った。具体的には……まあ、誰でも知っている物だ。
Tバックが見たいと言うシオの希望で、ブラとセットでカゴに入れた。品物を見ていると、抵抗より高揚の方が大きい。私は絶倫なのかもしれない。
「取り敢えずここはオレが出すよ。後で割れば良いし」
シオはレジに向かった。さすがは慣れているらしく、平然と会計を済ませている。
学生時代以来となるラブホテルに入り、部屋の見物もそこそこに、浴室に入って下着だけを着替えた。服を着て部屋へ戻ると、ベッドに座っていたシオは立ち上がり、自然に二人は抱き合った。
「舌出して」
シオが舌を出す。
「もっと。べーって」
シオの舌が長くなり、初めてのキスでねっとりと舌を合わせた。
互いに愛撫しながら服を脱がし合う。あっという間にパンツとTバック一枚ずつになった。ベッドに四つん這いにさせられ、シオは優しくお尻を鷲摑みにする。相当なお尻フェチなのだろう。だからコスプレじゃなくてTバックって訳だ。
シオがお尻や背中を舐め始めた。
「ちょっとその前にシャワー。汗かいてるよ」
「良いよ、少しくらい」
履いて四十分足らずでTバックは脱がされた。その後は、ディスカウントストアで購入した「大人の玩具」で二人で遊んだ。
シャワーを浴び、欲望だけのSEXが終わった後、二人でタバコを吸う。
「立ち入った事訊いても良い?」
「何でしょう」
「ワカの将来の目標って何?」
「目標・・・・・・」
そういえば、専門学校を卒業してからの私の目標って、具体的に考えた事がない。
「シオはあるの?」
話の中心を彼に持って行く事にした。
「オレ小説書いてんだ。今二作目。専門卒業して放送作家の事務所に入ったんだけど、合わなくてさ。そこ辞めて携帯に付けるストラップを作る工場で働いてた時、急に小説書いてみたいって思ったんだ」
「前に書いた事あるの?」
「いいや。専門の卒業制作でシナリオはあるけど、小説は初めてだった。その卒業制作で書いたシナリオを小説化して、文学賞に応募したんだけどさ」
「駄目だった?」
シオは無言で頷いた。
「でも二作目って事は、諦めてないんでしょ?」
「本を出す事が、今のオレの目標」
シオの顔は引き締まっていた。
私の目標……。親孝行がしたいと思う訳でもない。只、東京の居場所を守っている……だけ。
私って、瓦全……。
十一月上旬の木曜日。夕方、亮子からメールが入った。
『勤お爺ちゃんがこの前うちに来て、若は未だに東京に擦れてない、純朴だって心配してたわ。孫の中で若の事が一番気になるみたい』
勤は獣医師を養成する専門学校で講師をしていた事もあり、人を査定するところがある。
あームカつく! 私の率直な感想。純朴って、只の世間知らずのバカじゃん! としか、今の私には思えない。
私は、政康みたいな普通のお爺ちゃんを求めているけど、勤はまるで違う人種。
胸糞悪かったから返信はしなかった。




