セフレ
それから一週間が経った月曜日。またベランダの喫煙所で神谷から返事を訊かれた。
「神谷君って女には不自由しないんじゃない?」
それとなく悪評を指摘した。事実、彼は私にこだわる必要性はゼロ、のはず。
「実は、前から三田居さんの事が気になってたんだ」
男は焦らすと食い付いて来る。粘れば落とせる、みたく軽く思ったか? だとしたら、神谷の遊びに付き合って、私も遊んでみようか。
でもその時、『オレの後を継いでくれる青年と出会えるのか?』政孝の言葉が頭を過った。
罷り間違って神谷を家族の事情に巻き込んだら……神谷の場合、そんな心配はいらないかもしれないけど、やっぱり躊躇した。
「じゃあさ、セフレとして付き合わない?」
「え!? セフレ?」
意想外だったらしく、裏声になって戸惑った表情をした。今まで一夜を共にする事はあったと思うけど、セックスフレンドは初めてらしい。
「・・・・・・オレは別に良いけど・・・・・・」
「そう。じゃあ決まりね!」
彼の困惑した顔を心地良く思いながら中に入ろうとすると、
「っあ、ちょっと待って。三田居さんの下の名前、若だよね?」
「そうだけど?」
「オレ汐弥。シオって呼んで。それと連絡先も交換しとかないと」
シオは物の数秒でいつものノリを復活させた。
「はいはい・・・・・・」
強かで転換が早いのが、遊び人の人となり。ってか。




