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クールな遊び人
夏休みが終わって一ヶ月が経った、九月下旬の火曜日の夕方。事務所のベランダで一人タバコを吸っていると、同じ事務職で、私よりも二週間先に入った神谷汐弥が出て来た。
「お疲れー」と挨拶を交わす。
神谷と私は同い年だと人伝に聞いたけど、当たり障りのない会話しかした事がない。一見するとクールそうな男。でも合コン好きで、毎回遊ぶ女が違うという情報はバンバン入って来る。頭髪も左半分、前頭部から前髪まで金に染めている。事務所に入ってからだ。「入ってしまえばこっちのもん」ってやつか?
初めは私から離れてタバコを吸っていた神谷が、徐に近付いて来た。
「三田居さんって、今付き合ってる人いるの?」
社内の女にも手を出す気?
「べーつに・・・・・・」
軽く答えてやりながら、今までの恋愛を振り返ってみた。自然とフェードアウトしたり、訳も分からないままフラれたり……ろくな終わり方をした事がない。
「じゃあさ、オレと付き合わない?」
「じゃあさ」って……何も知らないとでも思ったか? それに何だ、そのついでに、みたいな言葉は。
「うん。付き合おう!」って、おちょくってやろうかとも思ったけど、
「急に言われても・・・・・・少し考えさせて」
と答えて中に入った。




