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前半のまとめの様な葛藤描写。

 「皇太子様とヤヌス様の結婚式の日が決まったらしいぞ。一週間後だ。まあミミン、お前には全く関係ない話だがな」


 「…………」


 だったらわざわざそんな話をしないでよ。


 私がマーガレットお婆さんの小屋から戻ると、待ち構えていたのは謎の男でした。


 「あの……」


 「なんだ? 自白か?」


 「いや、違うよ。あなたはなんでそこまで私が首謀者だって確信を持ってるの?」


 男は不意な質問に眉間にシワをよせたのを、私は見逃しませんでした。


 「なんだ? 今更そんな話か?」


 「だって……」


 10月19日

 事件の日、その日は季節外れの蒸し暑い夜でした。

 その暑さと皇太子様からの公開プロポーズの場面を思い出し、なかなか寝付けませんでした。


 夜風にでもあたってこようかな?

 比較的治安が良いこの城下町で、私が夜散歩すると言うのは、自分自身の気持ちの中でも珍しい行動ではありませんでした。

 けれども、やはり婚約中の女性が夜一人で出歩く物ではないと、今は後悔と軽率で自覚の足りない行動だったと思います。

 私はすぐ近くの公園に行きました。

 衛兵さんが24時間門番をしている、お城の城門の目と鼻の先と言う公園の立地条件も私の軽率さに拍車をかけたのだと思います。言い訳ですが……

 そして、パンジーの花がたくさん咲いてる公園内の花壇の事を思い出し、向かいました。

 犯人はすでに被害者を背後から殴打しており、私がやってくるのを見て慌てて逃げた。

 当然私が花壇に到着すると、仰向けに倒れている男がいました。

 「どうかしましたか?」

 私が問いかけて、上半身を抱いて起こし、そこで初めて頭部から滴り流れ落ちる血を感じました。

 もう一度寝かせて、私は衛兵さんがいる城門に走った。

 その後被害者は病院に馬車で運ばれましたがすでに死去。

 犯人も1時間後に自宅で逮捕。

 即日処刑。


 これが通り魔事件のあらまし。


 そして、事件を調査してるのが警備隊のおえらいさんと思われる謎の男。今、目の前にいる。


 「何度も言わせるな! お前が首謀者であると仮定すれば全てが繋がるからだ!」


 「それはあくまで仮定でしょ?」


 「じゃあ、お前自身が首謀者でないと言う証拠はあるのか?」


 「証拠はないけど……でも、犯人の人が裁判もしないで即日処刑されるのはおかしくない?」


 「……確かにそれは異例な事だ。だがそんな事はお前には関係ない」


 「…………」


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


 男が帰った後、私はすぐにベッドに横になりましたが、いかがわしい方じゃない悶々としてなかなか寝付けませんでした。


 まずは通り魔事件。

 やっぱり私が疑われるのはおかしくない?

 犯人が処刑前に話をしていた「女にもてそうな奴だったから、衝動的に殴打した」は確かに動機としては腑に落ちないのはわかる。

 でもそもそも通り魔事件って他人には理解出来ない理由で、衝動的に犯行に及ぶから通り魔なんじゃないの?

 じゃあ百歩譲って、あの男の言う様に首謀者がいたとしたら、殺害目的は被害者の男性と言う事になる。つまり、被害者の男性を殺す為に、犯人を何かしらの方法でそそのかした。

 なるほど。

 確かにそう考えると合点がいく。

 あの男も被害者の男性を調べていると言っていた。

 もちろん私にとって被害者の男性は赤の他人。

 もういいや。

 よくわからないや。


 でも私が一番不思議に思うのは、さっきも男に言いましたが、犯人が録に取り調べもせず即日処刑されたと言う事。それはあの男も異例だと言っていた。法をすっ飛ばしてまで、そんな事を出来るのは王室……あ……。

 王室と被害者の男性の関係を調べればいいんじゃない?


 でもいいや。

 私には関係な……いや、関係ある。

 だってあの通り魔事件に関わったから人生が変わった……。

 とりあえず、明日またあの男と話してみよう。

 12時にちゃんと来るかな?


 

 

 

 



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