それぞれの、バレン・タインデイ ③クライシス
クライシス、アリアーネのバレン・タインデイ ☆
これだけ読んでも大丈夫だと思います。
「クライシス!」
「アリーどうしたの?」
僕達が幼馴染から婚約者になって、そろそろ二年になる。
昔からずっと大好きだったアリアーネと学園入学一年前に婚約した。
婚約したばかりの時は、少しぎこちなかったけれど、今ではアリーと愛称で呼ぶ事も許してもらえるほど仲良くなった。
「今私の大好きなスイーツ店で、バレン・タインってイベントをしてるんですって!」
「どんなイベントなのかな?」
「お菓子をプレゼントするの。好きな人とか、お世話になった人、あと友達と交換してもいいんですって」
「それじゃあ、僕からアリーにあげないと」
「女の子から男の子に告白する日らしいわよ?」
残念、僕からあげたかったのに。
でも告白か、好きな人に想いを伝える日って事でいいんだよね?
なら……。
「告白ね、アリーは僕にくれるのかな?」
「あげるわよ、婚約者ですもの。お菓子はカップケーキでいいかしら?」
「アリーがくれる物なら、なんでも嬉しいよ」
「わかったわ、予約してこなくちゃ」
「それより、告白、忘れないでね?」
「?」
「ちゃんと僕の事を、どう思ってるか聞きたいな」
「婚約者なんだから、分かるでしょ!」
顔を真っ赤にして、怒ったような顔をするアリー。
それは照れ隠しだって知っているよ。
「アリーは、すぐ恥ずかしがるから気持ちをあまり聞いた事ないなって」
「私だって、ちゃんとクライシスの事、す、す、すぅ……」
「無理しないで、バレンタインの時でいいから聞かせてね」
「〜〜予約してくる!」
アリアーネは助かったとばかりに、走って行った。
今頑張って言おうとしてくれてるアリーも可愛いけど、楽しみは先にとっておかないと。
バレン・タインデイ当日は、言うまで離してあげないからね。
溺愛×ツンデレ