それぞれの、バレン・タインデイ ②メリサとエレナ
「お姉様は、誰かに渡すんですか?」
エレナが学園の中庭でランチを食べていたら、メリサがバレン・タインデイの事を聞きに来た。
「私は、同じクラスの、マリとミリィと一緒にチョコレートを作って交換するわ」
「私も参加したいです!お手伝い係としてでもいいので!」
「普通に参加したらいいじゃない。歓迎するわよ」
「お姉様に歓迎された!嬉しい!!」
「ただし……」
「ただし?私何でもしますよ!」
「じゃあ、その『お姉様』って呼び方やめてもらえないかしら」
「あ、うっ、は……はい。では、なんとお呼びすれば?」
「エレナでいいわよ。メリサは年上だし、友達にお姉様って呼ばれるのは嫌なのよ」
「エ……レ、ナ?お、とも、だち?」
メリサとエレナには、婚約の契約破棄の件で確執があった。
エレナは許していても、真面目なメリサは許される事はないと思っていた。
友達になれるなんて夢のまた夢。
それでもエレナの人柄、優しさに惹かれて、何とかして学園に居る間だけでも側にいたいと思うようになった。
そして、エレナを『お姉様』と勢いで呼んでしまった時、少し嬉しそうに反応してくれたので、それ以降メリサはエレナの事を『お姉様』と呼んでいた。
「え、れな……。エレナ!友達って言ってもらえて嬉しいです!」
涙と鼻水で顔が凄いことになっているメリサ。
「もう、そんな事で泣かないでよ」
「エレナ、好ぎいぃぃぃ」
バレン・タインを前に、告白の言葉が学園の中庭に響き渡った。
仲良し(*゜▽゜*)