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つちのこうやのラブコメ (それぞれ別々にお読みいただけます)

「あんまり可愛くない私が着てもしょうがないですよね」と言いながら水着を着て現れた後輩が可愛すぎて倒れてしまった



「先輩、来てもらってすみません」


「ううん。僕プール久々だから結構楽しみ」


 後輩の女の子と二人でプールに来ることになってしまった。


 まあそれはなんでかって言ったら、後輩から誘われたからだ。


 どうやら友達と日程が合わず、でもどうしても新しくできたプールにはいきたかったらしい。


 まあ確かに、プールがリニューアルされたのは街の中では結構話題だ。


 だから僕も、小学生以来行ってなかったプールに行ってみたいなとは思っていた。


 というわけで二人で来たんだけど。


 なんか思ったより緊張するんだよな。


 別に後輩とは部活があるたびに話しているし、二人になることもある。


 まあやっぱりあれだよな。今向かってる先なのがプールなのが原因なんだな。


 プールということは、後輩は水着になるということなのだ。


 いや、まあそれは……はい、とてつもなく楽しみですね。




 プールは混んでいた。そりゃあそうだよな。だって、リニューアルオープンしてあんまりたってないもんな。


 チケットを買って更衣室に入るまでも並んだ。


 だけど、それも体感では短くて。


 いつの間にか僕はプールサイドで後輩を待っていた。


「先輩……」


 後輩の声がいつもの三分の一くらいだった。


 それでも来たことはちゃんとわかったから僕は後輩の方を見た。


「あんまり可愛くない私が着てもしょうがないですよね……」


 そういう後輩は、水色の水着を着ていた。これは、水を恵む神か何かですか?


 か、可愛すぎる要素しか挙げようがないけど。


 まず、髪をまとめて後ろに留めてるから、それがちょっと元気な女の子みが出てて可愛いでしょ。


 それに、あれだよね。なんか、胸のふくらみ方とかがわかっちゃうし、それが控えめなようでよく見るとなんか大きいし……。太ももとかお尻とかも……だいぶ可愛いよ。


 でもそれでもやっぱり、後輩の顔がいつも見てるからこそ、可愛い。


 部活の時いつも楽しい時は笑う後輩。僕が後輩につられて笑ったことなんて、もう無限回ある。


 いくら後輩の胸が予想以上に大きくても僕の胸は大きくならないし、いくら太ももやお尻が女の子の体型で可愛すぎるって思っても、僕の太ももやお尻は可愛くはならない。


 でも、後輩が笑えば、大体の確率で、僕は笑う。


 そんな後輩が、自信なさげにちょっと微笑んでいるのがとどめとなった。


 可愛すぎるじゃんかよ。


 僕はすべての可愛さに興奮して、倒れてしまった。


「先輩! 大丈夫ですか? 救護室あっちです」


「だ、大丈夫だ。元気に起き上がれるはず……」


「な、なんでいきなり倒れたんでしょうか……心配です」


「いや、あの。あの、可愛すぎてやばくなった」


「え?」


「あ、だから、可愛いよってこと」


「え、えええ……あ、ありがとうございます。うれしいです」




 そしてそれから、少し落ち着いた僕と後輩は二人でプールに入っていた。


「もしかしてさ、最近、ここ来たことある?」


「あ……どうして、そう思ったのでしょうか」


「なんとなく」


「そうですか。実は来たことあります。お友達ときました」


「なんだ。結局日程は合ったんだな」


「はい」


「じゃあ、なんかごめんな。僕とも来ることになっちゃって」


「いえ、まあ、確かに、先輩とは、プールじゃないところに行く約束をした方がよかったかなって思ってました。私、お友達に比べて、水着姿、全然可愛くなくて」


「ええ、それうそでしょ」


「いや、お友達はみんな可愛いんですよすごく。先輩、多分見たら惚れちゃうんじゃないですかね」


 後輩は、そんな風に言う。水を手ですくって、浮き輪にかけた。


 水が緩やかにプールに戻っていく。


 そんな後輩の手を見て、僕は言った。


「それはないだろうな。そんな簡単に、好きな人は変わらないと思う」


 すると後輩は手でちょっと浮き輪を握り、


「先輩の好きな人……って、どんな人なのかなって」


「どんな人かなあ。そうだな。ちょっと一緒にいるだけですごく楽しくなる、素敵な人かな。だけど、自信なさげで、すごく可愛いのに可愛くないって言ったり、友達に比べて自分が可愛くないって言ったりして。そこは、めんどくさい系も交じってるって感じかな」


 後輩の浮き輪を握る手が、ゆるまった。


「……そしたら……じゃあそしたら、もしその女の子が先輩のことを好きなら、めんどくさい系でも、付き合いますか?」


「そりゃあ……そうしたいな」


「そうですか」


 水音って静かだ。


 こんなに人がにぎわっていても、僕たちの会話は、妨げられない。


 だから、もう最後まで行くしかないんだと思う。


 後輩が再び、口を開いた。


「なら……私は、先輩が、好きなんです」


 そして、自信なさげな様子ではなく、うれしそうに笑う。


 ほら、そうすると、もう気づいたら僕も笑っていて。


 だから僕も笑顔で、後輩に「好き」と伝えた。


お読みいただきありがとうございます。


もしよろしければ、評価などをいただけたら幸いです。

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