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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2023年  2月
97/1001

人魚のミイラ

 岡山にあるお寺の、


「人魚のミイラ」


 を、科学的に調べた結果が出た、とのニュースがありました。

 

 結果としては造形物、色々なものを組み合わせてそれっぽく作った物、との結果でした。


 このことを、


「やっぱり偽物だ」


 と、受け止めるもよし、


「当時、それだけの物を作る技術があったんだな」


 と、受け止めるもよし、


「面白いことを考えるな」


 と、受け止めるよし、それぞれのお気持ちだと思います。


 ここのミイラは200年ほど前の物らしいのですが、一体どういう目的で作られたのか、どういう経路でこのお寺に納められたかは分からないらしいです。


 ただ、ご住職は、


「地域の方の思いがこもった大切な存在」


 として、これからも大事になさるとのことで、それはよかったなと思います。


 このニュースを見て、私が見たことのある人魚とかっぱのミイラのことを、ふと、思い出しました。


 神戸に来た妖怪等の展覧会で見たんですが、どちらもそれまでに何かの本とかで見たことのある、有名なミイラでした。


 ガラスケースに入っていましたが、かなり近くまで顔を寄せて見ることはできました。

 

「これが実物か」

 

 と思ってみていたら、あっちこっちに虫食いの痕があるのに気がつきました。


「もしかして木製なのかな」


 と、その時に思ったのを覚えています。


 それから、


「なんかカツオブシっぽいな」


 と、思ったのも覚えています。ケースの中なのでにおいはしませんでしたけどね。


 日本は高温多湿の気候なので、エジプトや南米みたいにミイラを作りにくい土地ですが、なんでミイラを作ろうと思ったのかなと考えたことがあります。

 以前に何かで読んだことがあるんですが、こういう色んなミイラは室町時代によく作られたのだとか。今回のは江戸時代ですが、流行はまだこれから広く仏教を布教しようという時期で、こういうのを作って、色々な説話を混ぜて庶民に見せたりしていたようです


 人魚のミイラ、かっぱのミイラ、鬼のミイラ、それから不思議な形をした人間らしきミイラなど。それに色々な不思議な物語を混ぜて「これがその時仏様のご加護で捕らえた人魚のミイラだ」とか言ったら、当時の人たちには少なくとも本物、本当の話として受け止められていたのかも知れませんね。

 何かを伝えるのに話だけより、絵や像や、そしてこういうミイラのような物があった方が信憑性を持って受け入れられやすいだろう。誰が考えたのか分かりませんが、賢い人はいつの時代もいろんなことを考えつくものです。


 日本には今、人魚のミイラが10体ほどあるらしいです。そのうちには本当の人魚もいるかも知れません。正体をはっきりさせたいような、そうじゃないような、そんな気持ちでニュースを見ていました。

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