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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2023年  2月
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オオバン

 実家の前に大きなため池があります。ここに引っ越してきた時、あまりに大きなため息なので、来る人にこんな池があると伝えたらすぐに分かるだろうと言っていたら、当地は昔から雨が少なかったらしく、あっちこっちに同じぐらいの池があって「これじゃあ池の前と言っても分からない」と家族で笑ったことがあります。

 

 その池に、いつからかコウノトリが来るようになりました。

 兵庫県の北部、豊岡に「コウノトリの郷」というところがあり、繁殖させて自然に返しているので、うちのあたりにも本当にたくさん飛んできます。実家前の池でも、一番多い時には1ダースほど来ていました。


 今年もちらちらとは見かけるのですが、それよりもどうも来る鳥の傾向が変わったようで、少し前にはどう見てもカモメに見える鳥がいて、不思議に思って見ていました。

 このあたりからは確かに海も、明石海峡大橋も見えますが、それでもそこまで海まで近くはありません。そんなところからカモメって飛んでくるの? 


 先日、ちょっとうちに寄っていたH氏にその話題を出したら、


「このぐらいだったら来る」


 と言っていたので、カモメに間違いなさそうです。


 そのカモメがいなくなった頃から、ふと、気がつくと、今度は今まで見かけたことのない鳥が来るようになりました。

 ちょっと大きめで、体が黒っぽくて、アヒルのようだけど白いくちばし、そして足に水かきがあるっぽい。


 H氏についでにあれを知ってるかと聞いたら知らないとのこと。


「なんかヤンバルクイナみたいな形してる」


 という話になりましたが正体不明のまま、それからも毎日のように見かけます。

 

 実家前には県道があるので、ちょっとだけ遠くてよく分からないんですよね。そして道を渡って見に行ったらすばやく逃げてしまいます。


 なんだろうなと思いながら放置してたんですが、とうとう気になって特徴を入れて調べたら、いました、そっくりなのが。


「オオバン」


 そういう鳥だそうです。

 名前は聞いたことあるけど、こういう子だったんだなあ。


 黒い体に白いおでこが西洋では「優美のシンボル」にされると同時に、おでこが禿げ上がっている、と言われることもあるようです。

 日本では40年頃前までは関東より北にしかいなかったのが、近年は全国で繁殖しているとか。留鳥・漂鳥で、その地に留まるか、狭い範囲で行ったり来たりする鳥のようで、実家前の池に居着くのかどうかというところみたいです。


 地球温暖化で暑くて北へ逃げるのなら分かりますが、北から全国に広く分布するようになっているというのがなんだか時流に逆行してるような子たちです。

 愛嬌のある鳥なので、このままいてくれてもいいですけどね。

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