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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2024年 11月
959/1001

諭吉の理由

 週末に叔父さんの三回忌の法事があります。少し遠出ですが、昨年は体調不良で行けなかったし、叔母さんも「自分がやれる最後の法事かも」とちょっと弱気なことを言っているし、今回は絶対参加してきますよ。


 色々と準備していて、ふと、


「そういや御仏前のお札、諭吉と栄一、どっちにすればいいんだ!」


 と、ちょっと悩みました。


 これまでだったら新札を入れることだけ考えればよかったんですが、今はお札の過渡期と言っていい時期です、どっちを入れたほうがいいんだろう?


 人に聞いてみたら、


「そんなん、どっちゃでもええやん」


 と笑われました。結構真剣に聞いたのに。


 色々考えた結果、自分でこれという結論を出したんですが、とりあえず法事に参加する妹にも「どっちにする?」と聞いたところ、


「考えたこともなかった」


 とのことでした。


 なので、


「私は諭吉にする」


 と、結論と、その理由を話すことに。


 どうして諭吉にしたのか、それは、


「栄一はこれからどんどん新札が出てくるし、今も新しいのが出てくるけど、諭吉の新しいのはこれからなくなる一方だからその方が貴重な気がするから」


 です。


 ドヤ顔で妹に説明したら、


「まあ、結局受け取ってもいつまでも置いておくわけにはいかんし、すぐに使うか銀行に入るだけやけど」


 と、なんか冷たく流されてしまった気がします。


 栄一になってから、


「栄一は女癖が悪くて何人もの女の人にたくさん子どもを作らせてるから、結婚式のお祝いにはふさわしくありません」


 と、なんだか妙なエチケットみたいなのを言う人があるらしい。


 なんともくだらないエチケットです。それを言うのなら、今までのお札だってそうでしょう。伊藤博文の千円だってあの人の女癖の悪さは明治天皇に叱られるぐらいひどかったし、その当時の最高額紙幣の聖徳太子なんて子孫全員全滅させられた、言ってみれば結構縁起の悪い人ですよ。

 五千円札の樋口一葉は短命だったし、津田梅子が一生独身だったのは男性のそういう素行の悪さに幻滅してという一説もあるので、やっぱりあまり縁起がいいとか幸せからは遠い気がします。

 野口英世は立派なことをしたけど子どもの頃に大きなやけどをしてるし、夏目漱石も精神的な疾患を抱えてたし、全く欠陥のない人生を送った人なんておらんだろう。

 と、ここまで書いて、やっぱり新渡戸稲造についてはほとんど知識がないことを思い出しました。


 まあ、法事の御仏前なのでいくら浮気者でも関係ないから栄一でもいいようなものですが、上記の理由と、それから諭吉、あまりそういう話を聞かない気がします。石頭っぽいけど、そういうのないですよね? 考えてみたらそんな気がします。

 

 ということで、諭吉に決めましたと、それだけの話です。

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