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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2024年 11月
953/1001

高貴なお顔立ち

 三笠宮妃百合子様がお亡くなりになりました。年齢的には不満はないと言われる方もあるかも知れませんが、たとえ何歳の方でも命を終えられるというのは悲しくさびしいものです。どうか安らかにお休みください。


 101歳という御長寿でいらっしゃいましたが、ご主人の三笠宮様も100歳までご存命でした。御夫婦揃って長生きされたんですね。


 この三笠宮様に母方の一番上の伯父がよく似てたんです。というか、今思うと祖父が一番似てたかも。伯父は祖父によく似てたので。それでテレビなどでお見かけしても「おじちゃんと似てるなあ」と、ついつい親しみを持って見てしまっていました。祖父はどちらかといえば短命で、伯父もさほどの長寿ではなかったですが、生きていたらこんな感じになっていたのかなとも思いましたし。


 そして実は母方の家系、高貴な方に似ていたのは祖父と伯父さんだけではありませんでした。母がなんと昭和天皇の奥様、香淳皇后陛下の若い頃とよく似ていたんだそうです。私も昔の写真を見て「なんとなく似てる」と思いました。


 祖父と伯父さんは三笠宮様、母は皇后陛下に似ていたということで、


「つまり母方は高貴な皇族顔か!」


 と笑ったりしたこともあります。もちろん血縁関係なんて全くかけらすらありませんが。


 その母が若い頃、似ているということでこんなことがあったそうです。


 ある時、昭和天皇ご夫妻が神戸にいらっしゃって、元町にも来られるということで、人がたくさん集まっていました。母は家も職場も神戸の元町です、友人と一緒に見に行ったんだそうですが、すごい人混みで全然見られない。

 そのうち「見えない」と文句を言う人とかでちょっとした騒ぎになったりもしてたんですが、その時に「沖仲士」といって、神戸の港で荷物の上げ下ろしをする仕事のおじさんが、母を見ていきなりこう叫びました。


「見えへんかったらこの子見てたらええがな、そっくりや!」


 その声に周囲の人もみんな母を見て「似てる」「本当」とちょっとした注目を浴びてしまい、まだうら若き乙女であった母は非常に恥ずかしい思いをしたという話です。


 いや、気の毒だけど、でも確かにちょっと似てるから笑ってしまった。すごく恥ずかしかったんやからとぷんぷんしてましたが、うん、でも似てるよ。


 妹は父方の顔で私は母方の顔なんですが、残念ながらどんな高貴な方にも似ていません。思えばこの三人以外の他の親戚もそんなに似てる人はいないと思っていたんですが、母の弟の叔父が亡くなった時、三笠宮様似の伯父さんにそっくりになっていたので、もしかしたら私ももっと年を取ったら高貴な顔になったりしますかね? 


 いや、ならんか。ならん気がする。こういうのって造りだけじゃなく中身も出るもんね。こんながさつで高貴はなかろう、うん。

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