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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2024年 10月
933/1001

「アロマンティック」と「アセクシャル」

 「アセクシャル」という言葉は聞いたことがあったので知っていましたが、創作友さんのエッセイで「アロマンティック」をいう言葉を今回新しく知りました。気になったのでちょっと色々調べてみたりします。


 「アセクシャル」は「他者に対して性的に惹かれない人」とか「無性愛者」と呼ばれる人で、性別とか関係なく誰にでもそういう欲望がない人と言えばいいでしょうか。


 「アロマンティック」は「他人に恋愛感情を持たない人」で、「アセクシャル」と違うのは、愛情はなくとも欲望を抱くことはある、という説明がありました。語感から受けるイメージでは「アセクシャル」よりもっと淡白で、愛情すら抱かない人のことかと思っていたので、なんとなく意外です。


 今の世の中、どっちかというと恋愛至上主義の傾向にあるでしょう。どんなドラマでも好きだの嫌いだの惚れたの腫れたのでごちゃごちゃもめて、時に血を見たり、愛情だの欲望だのがあって当たり前、それがベースというのが大多数。もしかしたらそういう方からすると「何が面白いのか分からない」という感じになるんだろうか。そんなことを思いました。


 それに実際のニュースでも、そういう気持ちや欲望からというのがなんとも多い。ごく最近では、部下の女性を酔い潰させて自分の住居に連れ込んで、やることやってから「これでおまえは俺の女」と言ったというとんでもないおっさんもありました。こういうことも「なんで犯罪者になってまでそんなことをするのか分からない」ということになりそうにも思えます。


 小説や漫画なんかでも恋愛要素は実に多いんですが、それで、ふと、思い出した作品がありました。かなり有名な歴史ロマン大作なんですが、私はその要素が多すぎて読むのをやめました。


 たとえば、大きな政変や戦争でも、そのベースは「愛ゆえ」です。愛を知らず孤独だった権力者の政治が変わったのは「愛を知ったから」でしたし、政敵の粛清だって「愛のもつれ」の延長だったり、主要人物の処刑を「私の愛ゆえだわ」と、その人を愛した人が勘違い(悲しいかなそうだったんですよ)で自分の命を断ったりと、愛愛愛愛、愛のオンパレード。読んでてとっても疲れて、途中で読むのをやめました。


 確かにそういう感情や欲望が政治や国すら動かすこともあるでしょうが、さすがにそこまで愛でなんでも片付けられたら、人類の歴史、どうなんのという感じです。

 たとえば「本能寺の変」だって、光秀が濃姫への横恋慕でとかにするとお話としては面白いですが、それ以外の戦い、桶狭間だって実は愛ゆえ、比叡山焼き討ちも愛情のもつれ、とかやっていくと疲れませんか? そういう感じだったので、もういいやと思って読まなくなったというわけです。


 自分の書いてる作品にも恋愛要素はあるし、「黒のシャンタル」を読んでくださってる方は「あれだな」と分かっていただけるような、国絡みのそういうことも出てきます。それはおそらくそういう感覚のない方のことは考えには入れず、「それが理解してもらえるだろう」という、自分の感覚をベースに書いているからでしょう。


 そういう単語を知って、あらためて周囲を見渡すと、世の中なんと恋愛で満ちていることか。イベントだって好きな人にチョコを渡すバレンタインだとか、クリスマスは恋人同士でとか、七夕だって引き離された恋人たち(本当は夫婦ですが)のお話がベースだし、神話だって神様は人間臭くて愛情や感情でとんでもないことしたりします。


 大多数の人間に愛だの恋だの欲望だのがあるわけで、それはそれで当然かなとも思いますが、あまりにそればっかりしか考えてない、男女がくっついたりはなれたりばっかりの、ほとんど内容がないドラマを1クール11話ぐらいでやるのは、そろそろもうお腹いっぱいかな。適度に恋愛や人の欲望を描きつつ、大きな河のようにうねるドラマが楽しめるようになればいいなあ。そうすれば、そういう感覚の方にも楽しんでもらえるのかも知れない。そしてできれば、自分でもそんな作品が書けるようになれば、もっともっといいのになとも思います。

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