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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2024年 10月
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秋の夜風呂、虫の声

 私は年中通してお風呂は湯船に浸かりたい方です。私のお風呂好きが「黒のシャンタル」の主人公トーヤにも投影されていて、ちょこちょこと「風呂はいい」みたいなこと言ってます。


 実家のお風呂はもちろん窓があるんですが、マンションも端部屋なので小さい窓があります。斜めにぽこっと押すタイプで、外に目隠しみたいなのがあるので、開けてても全く中は見えません。外の音は聞こえるし、中で歌っててももちろん聞こえると思いますが。


 今の時期、夜、ゆっくりとお風呂に浸かっていると虫の声が聞こえます。夏はセミの声が聞こえてましたが、今はすっかり秋の虫の声です。


「これ、なんて虫が鳴いてるのかなあ」


 虫は苦手なのであまりよく知りませんが、ネットで写真を怖がりながら調べてみたら、今日聞こえていたのはどうやら「マツムシ」系だったように思います。よく名前を聞く「スズムシ」や「コオロギ」ではなさそうでした。


 そういやコオロギと言えば、一時期コウロギ食え食えと言ってましたよね。最近はあまり聞きませんが、あれは一体どうなったんだろう? あっちでもこっちでも「コオロギ始めました」みたいにやってたので、これからは外でお菓子あげると言われても、うかうかもらえないなと思ってました。某大手パンメーカーが「コオロギ始めました」とか言ってたので、後で「実はあれにもこれにもコオロギ入れてました」と言われるのが嫌で、そこのパンは避けるようになりましたし。


 好きな人は食べてもいいと思うけど、あんな小さい虫で食料問題をなんとかしようというのは、やっぱりあまりいいとは思えません。それだったら培養肉(ばいようにく)の研究でもした方がずっといいみたいに思う。そう思う人が多かったのか、最近はほとんど聞かなくなってホッとしています。


 そしてもう一つスズムシの話も思い出したんですが、京都に「鈴虫寺」と呼ばれるお寺があります。色々工夫してそのお寺では年中スズムシが元気に鳴いてるんです。私も行ったことがあり、説法の後で「寿々むし」というお干菓子ですかね、お茶とそのお菓子をいただくんですが、中に黒い点々が入っていて、説法をしたお寺さんが、


「その黒いのは死んだ鈴虫を供養のために入れてます」


 と、いただいた後で言ったもので、


「いーっ!」


 と、思ったんですが、冗談でした。本当は「赤しそ」が入ってると聞いて胸をなでおろしました。このお菓子はおみやげとして買うこともできます。まったく悪い冗談だぜ。


 やっぱり虫は姿を見ず、遠くで鳴いててくれるのが一番いいな。今夜もお風呂でぼーっとしながら、そんなことを考えていました。

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