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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2024年  9月
899/1001

いちじく仲間発見!

挿絵(By みてみん)


 今朝、キュウリを買うつもりで実家に行く途中で産直スーパーに寄りました。


 ここ、よく覚えておいてくださいね。


「キュウリを買うために産直スーパーに寄った」


 のです。


 ところが入ってすぐのところにいちじく売り場があるのです。通りすがりに見ないわけにはいかない。


「昨日は大きい箱のいちじくなかったんだった、今日はどうかな」


 と、ついでに、本当についでに見てみたら、


「2箱ある!」


 いそいそと見に行って見比べて、片一方をカートに入れました。


 でも忘れないでください、私はあくまで、


「キュウリを買うために」


 産直スーパーに寄ったのです、ええ。


 そしてキュウリを取ってもう一度いちじく売り場に戻ったら、さっきの売り場の隣にも別の生産者さんのいちじくを少し置いてあって、そこにも大箱入りが!


「え、どう違うんだろう」


 そちらには同じ大きさだけどもうちょっとたくさん入っているように見える箱がありました。どうして「見える」かというと、かけてあるラップが曇っていてよく中が見えなかったんです。


 値段は元のが980円、今のが1000円。こういうのはよくあります。同じキュウリでも生産者さんが違うとちょっとずつ種類も違えば値段も違う。似たような値段でもなんか違う。こういうのを見比べて買うのも産直スーパーの面白さですよね。


 どっちにしようかと悩み、他の置いてある小さいパック(というかこれが普通)を見てみたら、後で見つけた人のやつの方がやや大きい気がする。


「重さもこっちの方が重そう、20円高いけどこっちにしよう」


 と、最初に取っておいた大箱をさっきの場所、まだ残ってる大きい箱と並べてそっと返しておきました。

 

 それから何か他にもないかなとぐるっと売り場を回ったけど、特にこれというのはない。


「よし、目的のキュウリと、そのついでに、あくまでついでにいちじくも買えたからレジに行くか」


 と、本来の目的のキュウリを持って、いそいそとレジへ。


 と、私が並ぼうとした前に、サラリーマンらしき年代としては40代ぐらいの男性がカートではなく手にカゴを持ってすっと並んだのです。


 何も思わずにその人の後に私もすっと並んで、そして気がついた。


「この人いちじくの大箱持ってる!」


 カゴの中にはさっき私が返したのと同じ箱が入っていて、さらにその上に小さいいちじくパックが乗っている。


 ということは、この男性は、


「いちじく目当てでここに買い物に来たのね」


 と、いちじく仲間認定して、とてもうれしくなりました。


 レジからはいちじくの売り場がよく見えるので見てみたら、


「あ、もう一つのいちじくの大箱もなくなってる!」


 ということは、もしかしたらそのもう1人の人もカートかカゴにあの箱を入れてこのお店の中にいるのかも知れない!


 なんてことでしょう、いちじく仲間3人が集まるなんて!


 その人がレジを済ませてサッカー台に移動する後ろ姿を温かく見守り、私もお会計を済ませてから店を出ました。


 実家に来てさっそくお仏壇に3つお供えしてから他のを分けて冷蔵庫へ。大きさはもう一つの箱とそう代わりませんでしたが、33個ありました。前に買った時は26個だったので、やっぱり少し多い気がする。何しろラップが盛り上がってましたから、7個分多かったと考えてホクホクすることにします。


 まだいちじくの季節は続きます。今シーズンに何人のいちじく仲間に会えるかな?


 いや、でも、私はキュウリを買いに行ったのです。うん、本当なんだからね!

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