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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2024年  8月
868/1001

はいっ

 お昼ご飯を食べ終わり、テレビでサンサンのニュースなんぞを見ながら休憩していたら、実家の家の電話が鳴りました。


 今はほとんどの大事な用事はスマホにかかりますので、家の電話にかかるのは仕事関係が少々と、後はほぼセールスです。結果を先に言いますと、やはりセールスの電話でした。


 セールスの電話なんていくつもかかってきますし、某白い犬のCMで有名になった携帯会社の1日30本以上かかってきた、なんてレベルの迷惑でも無い限り「はいはいセールスね」と思ってお断りするだけのなんてことない電話です。


 それが、今日はなんだかすごく不愉快でムカッときたんです。ほとんど話もしていないのに。文章にしてもなんでイラッとしたりムカッとしたりしたのか分からないと思います。ですが、きたんですよね。


 電話が鳴り、受話器を取ったんですが、相手が何も言いません。こういうパターンもよくあります。よく父が、


「セールスの電話かけてきて、なんであっちがすぐになんも言わんのか」


 と、気分を損ねていましたが、今回もそのパターン。こっちがどういう人間か探っているのか、それとも何か理由があるのかは分かりませんが、とりあえずこちらが何か言うまで黙ってます。なので、


「もしもし?」


 と言ったら初めて、


「……はいっ、◯◯◯◯の✕✕✕✕です。そちらのご家庭でご不要の……」


 と、結構年配らしい女性の声がしました。


 その声を聞いた途端にいきなり不愉快になったんですよね。それで、


「結構です」


 と言って切ったんですが、切ってから、


「なんであんなに不愉快だったんだろう?」


 と、不思議になりました。


 セールスの電話というだけで不愉快になっても別にいいんですが、なんというかそれ以上の感情で本気でムカッときたんですよね。

 

 もしも、忙しい時にかかってきてなら分からないことはないです。わざわざ出たらセールスかよ! と思うならまだ分かる。ですが、テレビ見てのんびりしてただけ、普段ならやんわりと結構ですを言って切るだけで特に何も思いません。


 そして考えてて気がついた。


「あの『はいっ』の言い方が不愉快だったんだ」


 文章で表現するのは難しいけど、あえてするならこんな感じ。


 小学校1年生の花子さんは内気で恥ずかしがり。担任のベテラン女教師はそんな花子さんが気にいらなくてしょうがない。

 ある日、花子さんが宿題を忘れたことに気がついたこの教師、「この問題分かる人」と言って、あえて手を上げていない花子さんを指す。


「はいっ、花子さんこの問題を前に出て解いてください」


 と、こういう意地悪そうな響きを秘めた「はいっ」でした。


 この知らないセールスのおばさんの名誉のために言っておきますが、決して私にそういう意地悪をしたわけじゃない。何しろ上に書いただけのことしか話していませんし。


 だけど、その最初の意味のわからない沈黙が続き、私が言葉を発した後の「はいっ」の言い方が、本当に上から目線(見てないけど)でムカッとする言い方だったんですよ。


 言葉ってそのたった一言でそういう印象を与えることもあるんだなあ、と、あらためて気をつけないといけないなと思いました。自分だってどこでどういう風に相手を不愉快にしてるか分かりませんから。


 まあ、そう思い続けてビクビクし続ける必要もないですが、少なくとも、用事があって自分が電話をかけたなら、せめて自分から始めることはしたいもんですね。

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