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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2024年  7月
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針仕事と人間性

「パジャマのズボンのゴムが伸びてるな、直さないと」


 と、かなり前に思ってから、ずっと直さずにそのまま着てました。理由はいつものようにめんどくさいから、で、特にどうということもないです。


 昨日やっと、


「いよいよ直すか」


 と、しぶしぶ裁縫セットを取り出し、適当なゴムを探して入れ替えて終わり。太目のゴムを使ったので、縛るとゴロゴロするから縫い止めておきました。


「ついでに枕も直すか」


 実はこちらも少し前から気にはなってたんですが、やはり理由はいつものようにめんどくさいからでほっときました。特に寝るのに問題はないし。


 私が使ってるのは「そばがら枕」です。子どもの頃からそのタイプを使ってて、途中は小さいプラスチックのパイプ? みたいのが入ってるのを使ったこともありますし、なんだろう、なんだか分かりませんが発泡スチロールっぽいのを使ったこともありますが、やっぱりこれが一番いい。


 父親がかなり固くて大きな枕が好きだったので、亡くなる前の誕生日に大きいそばがら枕をプレゼントしました。それは結局二ヶ月ほどしか使ってもらえなかったけど、その前のもその時はプレゼントじゃなく、そういうのが欲しいと言ったので探してネットで買ったものに、父親好みになるようにさらにそばがらを足してパンパンにしたのを使ってました。

 誕生日用のもその必要があるかなと思って余分にそばがらを買ったんですが、それはかなり好みのタイプになったので、残ったそばがらを私の枕に足して今の形にして使ってます。使ってるとそばがらがへたれてきますからね。


 なので中身はリフレッシュしてるけど、外は古いのをそのまま使ってたんです。両側にひもが付いていて、それを引っ張って丸くすると高くなり、ゆるめるとぺたっとした低い形になるタイプです。そのひもの一本がすっぽり抜けてしまってるのを、まあいいかとほったらかしてたわけです。


 ひもを抜けた穴につっこんで縫うだけ。たったそれだけの作業をほったらかしてるんですから、無精も極まれりですが、とにかくテレビ見ながらチクチクと縫いました。


「よし、これでよかろう。そうそう、ひもをくくり直そう」


 と結び目をほどいた途端、


「ありゃあ」


 となりました。


 実は、縫う時に前にくくったリボン結びのまま縫ったんです。本当ならほどいて1本だけにしてから縫えばいいものを、いつもの私の無精のなせる技です。


 そうしたら、


「輪っかになってる」

 

 そう、2本あるひもの外れたほうじゃなく、はずれてない方の端っこを間違えて入れて縫ってたんですよ。おかげではずれた方はひもとして独立して完全にはずれてしまいました。


「何をしてるんだか」


 思わず大笑いです。全く、最初に無精をせずにちゃんとほどいてからやればいいのに、手を抜いたばかりにやり直しです。


 そのやり直しすら、


「なんとか輪っかのをくくれないかな」


 と、少し試行錯誤してから、


「だめだー」


 と、諦めて縫ったばかりのところをほどき、正しいひもを入れて縫い直すという体たらくです。


「おかげでエッセイのネタ一本できたぞ」


 と、全然反省してないので、近々また同じような失敗するでしょう。


「いやいや、するなよ!」


 と突っ込みも入れながら、痛かったり命に関わりないことなら、ネタになっていいかなとまだ考えているので痛い目に合わないと無理、というか、これまでの人生で結構痛い目に合ってきてるのに無理なので、どこどこまでもこんな人生なんだろうなと、ちょっとした針仕事で痛感しています。

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