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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2024年  7月
828/1001

セミシャワー

 いよいよ梅雨も明けて本格的に暑くなってきました。


「ずっと晴れてたからもっと早くに梅雨明けでもよかったんじゃないか」


 そう思うぐらいの晴天続きでしたが、兵庫県は変な形に妙に広くて、北と中部と南の東西と淡路島の5つのパーツに分かれているような感じで、全部が明けないと梅雨明けとは言わないらしく、おそらく私が住んでる南の瀬戸内あたりはもっと前に明けてるようなもんだったんじゃないかと思います。


 とにかく何しろ暑い! 実家に来て入ってエアコンつけるだけでもう汗だくな感じです。暑くて頭がぼーっとします。テレビのニュースや天気予報では危険危険と言われてましたが、昨日は一日涼しい部屋で過ごしてたから外の暑さをすっかり忘れてた。


 徒歩でも10分ほどの距離ですが、荷物もあるし、仕事にも必要だしで車で通勤してるわけですが、駐車場に降りたらセミの声がすごいこと。みんみんしゃわしゃわと大合唱。おかげで機械式駐車場を操作しててもその音が聞こえない。


 操作盤のフタ(ピカピカ光って顔が映って恥ずかしいあれです)を開け、鍵をさして番号を押してスイッチ・オンしたらシャッターが開くわけですが、その作業中の音も聞こえないし、作業終わったよのお知らせの「ぴーぴーぴーぴー」も全く聞こえないんです。

 いつもだったら「ぴーぴーぴーぴー」が1回鳴って2回目の「ぴーぴ」ぐらいで鍵を回して止めるんですが、鳴り終わっても分からないぐらい。最後まで聞くと負けた気がするんですが、ここしばらくはおそらく負けっぱなしになるでしょう。


「ああ、今年もこんな季節になったか」


 その作業をしているとそう思います。


 マンションの隣にはまだ林が残ってて、おそらくそこの木にいっぱい止まってるんだろうと思うと怖いです。そのうちまたセミファイナルになってあっちこっちでジジジジ言うんだろうな。それを思うとなかなか憂鬱ですが、彼らは彼らで大事な夏、せいいっぱい泣いて、せいいっぱいジジジジしてほしいと思います。でもできたら私に見えないところでやってね。


 それから本体だけじゃなく抜け殻もなんとなく怖い。カサカサした物体、ちょっと苦手なんですよ。たとえばヘビは結構平気で、沖縄行った時にはニシキヘビを首に巻いたりもしましたし、トカゲやイモリも、どこを通ってるか分からないから汚い感じがしてなんとなく触りたくないってのはありますが、清潔だったら触るのも平気。でもヘビのぬけがらが落ちてるのは苦手です。金運がよくなるからって財布に入れる方もいらっしゃいますが、公園とかで見つけたら「ひいっ!」となります。


 耳が割れそうな中実家に来て、今はエアコンが効いた快適な環境でこれを書いてますが、帰りはまたセミの声で耳が割れそうになりながら、セミファイナルやそのへんにくっついてる抜け殻にビビりながら帰宅する日々が続くでしょう。

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