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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2024年  7月
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最後の一絞り

 今、うちの冷蔵庫には二つのマヨネーズがあります。一つは開けたばかりで中身がいっぱい入っているマヨネーズ、もう一つはほんのちょっとだけ残って逆さに立てられたマヨネーズ。


 どうしてこんなことになっているかと言いますと、


「最後の一絞りがめんどくさい」


 からです。


「そんなちょびっとならもう捨ててしまえば」


 と言う人もあるでしょうし、実際捨てる人もいるんだと思います。


 だけどもったいないじゃないですか、絞ったらもう一回分あるのに。そう思って、今度時間があったら絞ろうと、しばらくはこうして新旧マヨネーズが同居することになります。


 私は最後の一絞りが結構得意です。


「得意な人、これ絞って」


 と、母が最後のを渡してきて、なんとなく私の仕事になってたりもしました。


 容器を空気でいっぱいにして、逆さにしてぐるぐる回したりぶんぶん振ったりしたら、最後の一回分を絞り出せて、限りなく空っぽになるので、それから捨ててました。


 それじゃあなんで今、それをやらずに置いてあるのか。それには理由があるのです。


 父がいた頃から料理のほとんどは実家で作って食べてました。マンションで食べるのは作って持って帰ることが多く、食材を持って帰って料理はあまりしませんでした。全くしないことはないんですが、マンションでご飯を作る時ってほぼ休みの日、それでできるだけ何もせずに過ごしたくて、いつからかそうなったんです。


 朝ご飯だけはマンションで食べます。そしてほぼ一年通してパンの朝食です。色々な食べ方をしますが、サンドウィッチみたいにすることが多いです。今朝もトーストにツナマヨとサニーレタスを乗せて食べました。その時にマヨネーズを使います。はい、これ重要。


「朝からマヨネーズ絞りたくない」


 そうなんです、朝にそんなことしたくないんです。実家にいて、母もまだいた頃には、そういうことするのは夜でした。のんびりできた。だけど朝は気分的にものんびりできない。それでマヨネーズ絞りがついつい後回しになるのです。


 次のマヨネーズが減ってきた頃になっても前のが滞在していたら、実家に持っていって絞り切ったりもします。そのぐらいマンションの方でマヨネーズ絞りがしたくない、というか、するシチュエーションにならない。


 今朝も新しいマヨネーズを絞りながら横目で空のをちらり。そのまま知らん顔しました。明日と明後日は連休、朝もちょっとゆっくりできます。その時にでも絞るつもり。


 同じようにハミガキもそうなって、


「今度、夜磨く時に絞ろう」


 そう思って今も前のがちょこんと残ってますが、まだ絞ってません。


「次のが減ってきたからそろそろなんとかしないと」


 これも連休にでも絞るか、もしくはハサミで切って最後のを使うことになると思います。多分、ですが。


 我ながら貧乏性だなあと思いますが、最初に出てくるのも最後に残るのも同じマヨネーズ、同じハミガキなのでなんとなくね。

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