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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2024年  6月
805/1001

合鴨農法

 こちらにもちょこちょこ登場する、拙作「ア・ラ・カルト」の「ポニーテールの彼女」でお馴染みの(こんなこと書いたらしばかれそうだな……)L氏と米作の話になりました。毎年、秋にはおいしいお米を送ってくれるんですよ、ありがたや!

 と、感謝しながらも泣かせるような扱いしかしてないですが、まあお互い様ということで諦めろ(おい)。


 その時にL氏が、


「毎年田んぼのシーズンには、めんどくせー、誰か引き取ってくれんかな」


 と、思いながら田んぼ作業をしてると言うんです。


 そういうものかも知れませんね。いや、そらしんどかろう、農作業。


「夏なんて雑草と水管理の日々」


 そうなんだろうなあと思います。テレビで今年は米どころの新潟で渇水で、大変だと言ってました。ちょっとした家庭菜園ぐらいなら水を運んでなんとかもできますが、大きな田んぼに水を張るのには、それなりに降水量がないとやはり無理。


 そんな苦労をしながらも、


「それでも美味いと言ってもらうと『せやろ!』となって」


 と、その気持ちもものすごーく分かります。


 しんどいけど、あの秋の実りの時期の田んぼ、あの美しさと収穫したお米を干して精米し、いざ炊いて食べる時を想像すると、やっぱり「今年も作るか」ってなるんでしょうね。

 ちょっと違いますが、私の春の「いかなごの釘煮」がまさにそんな感じです。炊く時は色々と大変ですが、炊きあがって、送って、「おいしかった」と言ってもらったら、まさに「せやろ!」の世界です。


 ということで、今年も秋を楽しみにしているんですが、その時に、ふと、思い浮かびました。


「合鴨農法とかやったら?」


 合鴨のひなを田んぼに放って雑草や虫を食べてもらい、泳ぐことで水をかき混ぜてもらう、フンは肥料になるといい事ずくめのように思います。


「めんどくさい」


 とL氏は言ってるけど、池の土手の雑草をヤギに食べてもらうのと一緒で、私は結構憧れるんですが、命を扱うだけに大変なのかも知れない。


「その合鴨は成長したらどうなるんだろう」


 という話になって調べてみたんですが、


「成長したら肉として売る」


 のだそうです。


 やっぱりそうかー! 


 大人になった合鴨は大きすぎて次の年にまた使うことはできないみたいでしたし、じゃあその後でペットとして飼うのかと言ったら、毎年毎年何匹もの合鴨が増えるってのも現実的じゃない。

 ってことは、結論としてはそれしかないんですが、人間というのは勝手なもので、自分でどうこうしてってのは、やっぱりちょっと抵抗がある。

 まあ、昔の人は自分で飼ってる鶏をキュッとしめてごちそうにしてたんですから、それが本来の形なんでしょうが、スーパーや肉屋さんで商品として並んでるのしか料理したことない身としては、やっぱり自分ではどうにもできないように思います。


 それで、


「肉として出荷するみたいだ」


 とL氏に言ったところ、


「鴨食いてー! 食おうぜ!」


 という返事が返ってきたので、もしかしたら来年は鴨肉も期待していいのか?


 もうちょっと勧めてみようかな、夏の作業楽になるかもよ~って。

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