表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2024年  6月
758/1001

アセロラブリヒラ

 今回もまた呪文のようなタイトルです。


 ですがこれは、見た瞬間に何か理解できました。なぜなら後半の「ブリヒラ」の部分を聞いたことがあったからです。


「ブリヒラ」


 これは近畿大学が「ブリ」と「ヒラマサ」をかけ合わせた「ハイブリッド種」の名前です。


 「ブリ」は旨味が多いけど「血合い」が多くて柔らかく変色しやすい。

 「ヒラマサ」は「血合い」が少なくて身がしっかりしていて品質保持しやすい。


 両方の魚の「いいとこ取り」をしたのがこの「ブリヒラ」です。

 しかし何回聞いても歌いそうな名前だ。「フニクリフニクラ」みたい。


 なので、


「ブリヒラにアセロラ食べさせたのかな」


 と、見た次の瞬間には思って、その通りでした。


 「カボスブリ」や「オリーブハマチ」のように特定の物を食べさせることにより、風味をよくしたり、栄養をよくしたり、色々なことで「ええこと」になった魚の呼び名ですね。名前を知ってるだけで食べたことはないですが、柑橘を食べさせた魚はさっぱりしてるとか聞いたことはあります。


 なので「アセロラブリヒラ」にも「なんかええこと」があるのです。


 近大とアセロラで有名な「ニチレイフーズ」が手を組んで開発したらしいのですが、アセロラに含まれているポリフェノールを取り入れることでビタミンがびっくりするぐらい多く含まれていたり、抗酸化作用で悪くなりにくいので食品ロスを減らす効果もあるのだとか。

 栄養や風味まではそうかなと思ったけど、食品ロスまで減らせるとはすごい発明だ。


 そもそも近大はマグロの完全養殖を完成させて市場に出回らせたり、今回のようなハイブリッドの魚を作ったりと食べ物の開発にめっちゃ力を入れてる大学です。うなぎの完全養殖にも成功して、後は市場に出回るのを待つばかりになってますし。


「この調子で同じ関西のイカナゴもなんとかしてくれんかな」


 そんなことを思ったりもしてます。


 しかし、前から思ってたことですが、日本人の食べ物にかける情熱って本当にすごいと思います。そんな食欲の先に世界が驚いたり喜んだりする食べ物をたくさん生み出して、今では定番になったりしてるんですから、


「ビバ日本人の食い意地!」


 と称賛を送りたくなります。


 カニカマだって日本の発明だし、元は台湾の方だけど、インスタントラーメンにカップ麺だって日本の発明。レトルトのカレーだって軍用を日本で一般的な食品にしてしまって普及した。


 しかし、これだけ食べることに情熱を燃やす国、他にあるのかな。色々な条件で食べられない物がある国もたくさんあるけど、もしかしたら日本って世界で一番そのこだわりがない国なんじゃないかと思ったりもします。


「この宗教信仰したらこの食べ物が食べられないなら信心しません」


 これ言えるの日本人だけじゃないだろうか。


 少し違いますが、戦国時代にバテレンがキリスト教を普及しようとした時、当時「衆道」つまり男性どうしのそういうのが一般的だった日本で、


「ええっ、それ認めてくれないならキリスト教やめるわ~」


 と言われて、


「じゃあ日本だけはそれオッケーだから」


 と、本国から言ってきたという話は知る人ぞ知る事実です。


 食べる力は生きる力、食べられなくなった生命は弱っているってこと。

 食べたいという気持ちが強いうちは大丈夫。


 そんな欲望に忠実な日本の未来は明るい、気がする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ