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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2022年 11月
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ダフ屋さん・その1

 今はほとんどコンサートとかに行かないのでどうなってるのか分かりませんが、私が一番コンサートやお芝居やらを見に行っていた頃、必ずと言っていいほど、


「ダフ屋さん」


 を、見かけました。


 この夏、数年ぶりに推しのバンドのライブに行ったんですが、何しろグッズ争奪戦に並ぶのだけでも精一杯で、そういう人がいたかどうかまで分かりませんでした。


 ある時、友人と2人であるビジュアル系バンドのライブに行くことになりました。

 行ったらその会場の中ホールがそのバンド、大ホールはバレエの公演のようでした。


 中ホール側にはいかにもビジュアル系! ってメイクや服の子がすでに開演を待って列を作っていました。

 年代は十代が一番多いかな、という感じ。私と友人はもうちょい上、そのぐらいの人も結構いましたが、多かったのはその年代の人じゃなかったのかな。


 そして大ホール、こちらにはいかにもバレエ! って感じのおしゃれなスーツを着た女性が多い。

 若い人はおリボンがついたピンクっぽいスーツとか。お嬢様、奥様、男性もスーツという感じ。


 私達が入るのは中ホールですが、


「並んでまで入らなくてもいいよね、少し待とう」


 と、ベンチだったかなあ、そこに座って列が短くなるのを待つことにしました。


 その座っていた位置がちょうど両ホールの真ん中ぐらい、会場の建物を背に座ると右手に黒い集団、左手におしゃれ集団という感じに分かれていくので見ていても面白かったです。


 そしてそこに座り、来る時に梅田の大きな本屋さんで買ってきた、あるゲームのイラスト集を広げて友人と見てました。


 その、私達が座っている前ぐらいに一人のダフ屋さんがいて、


「チケットあるでーチケットあるでー」


 と、お商売に勤しんでらっしゃいました。


 そのおじさんが、ふと、気がつくと、なんだか変な動きをしている。

 持ってるチケットはヴィジュアル系だから、そっちの方に行けばいいのに、なんだか私達が座ってるベンチの方に来そうになったり戻ったり。


 何をしてるのかなとこちらも気にして見ていたら、つかつかつかと私達に近寄ってきて、


「どっち?」


 と、聞いてきた。


 その時、私と友人は仕事帰りだったので、どっちとも違う、そしてどっちにでも行けそうな服装で、しかも手に持ってたのはゲームのイラスト集。年代的もどっちに行ってもおかしくない。

 

 ずっと気になってたんでしょうねえ、どっちかな、と。


 中ホールの方だと言うと、口には出さず、


「あっそう」


 という感じで商売に戻っていかれました。


「そりゃどっちか分からんよねえ」


 と、友人と大いに笑ったダフ屋さんとの思い出、その1でした。

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