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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2022年 10月
71/1001

長髪の謎

 あっちこっちで「陳情令にはまっている」と書いていますが、そのはまった理由の何割かは、


「長髪」


 ではないかと思っています。


 男女問わず、長い髪、長い袖(服によって違うが)、長い裾をひらひらしながら、動いたり止まったり、飛んだり戦ったり。すごくきれいです。


 そういうわけで、見るのにはとても「目においしい」のですが、ふと、思ってしまいました。


「昔は洗うのも大変だったろうに、なんでみんな髪を伸ばしてるんだ?」


 平安時代の日本では、お姫様が髪をながーく伸ばしてますが、あれ、洗うのは一ヶ月に一回ぐらいだったらしいです。

 洗うのも大変なら乾かすのも大変で、洗った後はばーっと髪を広げて、寝たまま乾くまで待ってたとか。優雅に寝てられるお姫様にしかできない洗髪方法だ。


 江戸時代、吉原の絵に、


「今日は一月(ひとつき)に一度の髪洗い日でうれしい」

 

 と、桶で行水か何かしながら遊女が言ってる物もありました。


 古代エジプトのクレオパトラのあの髪型は、実は自分の髪ではありません。当時は全員丸坊主にかつらでした。

 理由はやっぱり暑くて虫がわいたりして大変だったからだとか。

 かつらなので頭上に「没薬(もつやく)」を乗せていい香りをさせたりも楽しめました。

 エジプトの古代の絵で頭の上に何かのっけてるなーと思ったら、その没薬なので、見る機会があったらチェックしてみてください。


 他にも(くし)の根本から細長く持ち手が伸びてるやつ、あれ、先がとがってるのは、髪を結ってるので頭がかゆくなった時に搔くようにあの形なのと、「しらみ」がわいたら掃除するため、とも聞いたことがあります。


 果たして、どうしてそこまで苦労してまで髪を伸ばし続けるんでしょう?


 「小椋夏己の見聞録」の1回目に紹介した「乙嫁語り」の舞台、中央アジアでも女性は一生髪を伸ばし続けていたらしいですが、あそこは乾燥してるので、そこまでむしがわいたりべったりしたりはないのかも知れない。でも、少なくとも湿気の多い日本ではむかないですよね。


 どうも昔の人は、


「髪には魔力が宿る」


 と、考えていた(ふし)があります。


 これは、髪や爪は人が亡くなってもしばらく伸び続けるから、なのかも知れません。

 

 髪や爪って、出てきた部分はもう死んでる部分なんですよね。だから、人が亡くなっても、根っ子に養分が残ってたらしばらくは伸びるんだそうです。


 それを見て、昔の人が、


「髪には何か不思議な力がある」


 と思ってしまったとしたら、なんとなく納得です。


 そういや旧約聖書に出てくるサムソンも髪を切られて力を失ったりしてました。


 つまり、やはり洋の東西を問わず、


「髪には魔力が宿る」


 という考えがベースにあるから、どれだけ苦労しても長い髪を大事にしていたんでしょうね。

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