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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2022年  9月
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日番と日直

 今朝、なんの脈絡もなく、ふと、思い出しました。


 よく「神戸あるある」で言われることなんですが、


「神戸は日直と言わずに日番という」


 というのを思い出したんです。


 確かにそうでした。

 そして私は中学から高校になる年に引っ越したので、高校で「日直」と言われても、


「高校ではそう呼ぶんだな」


 ぐらいにしか思いませんでした。


 神戸だけかは分かりませんが、そのあたりでだけ「日番」というというのはごく近年、ネットの「神戸あるある」を見るようになって初めて知りました。


 そしてその高校での「日番」ではなく「日直」で思い出したことが。

  

 高校2年のクラスでは、なぜだか担任の先生が、


「翌日の日直は遅刻してきた者がやることにしよう」


 と言ってそうなってました。


 黒板の右下に当日の日直の名前が書かれていて、遅刻した者はその隣に名前を足されていきます。


 うちのクラスには遅刻の常習の「A子」という女子がいました。

 何しろ遅刻をするする。どうやったらそう毎日遅刻できるのかと感心するほど遅刻する。

 自転車通学で少しだけ遠いところから通ってはいたんですが、特別遠いところでもなく、そのあたりから来る子はたくさんいたので、距離が理由ではないと思います。

  

 なかなか楽しい子で、男女関係なく友達もたくさんいたし、私も仲良くしていましたが、この遅刻だけはこの先どうするんだ、と心配するぐらいひどかった。


 毎朝、ホームルームの時に先生が、


「今日もA子は遅刻かー」


 と、欠席確認の前に言うぐらい毎度のことで、そう言ってると教室のドアがカラカラと開いて、


「遅刻しましたー」

 

 と入ってきてみんながどっと笑う。そんな感じでした。


 おかげで「日直」のところには当日当番の名前の横に、上からずらっと、


 A子

 A子

 A子

 A子

 A子

 A子

 A子


 と、一週間ずっとA子の名前が並び、


「こうなったらもう日直やなく週直やな」

「そのうち月直になるんちゃうか」


 と、みんなで笑うこともしばしば。


 おかげで私は2年の時、日直を3学期通して1回しかやりませんでした。

 どういう順番で日直が決まっていたのか覚えていませんが、もしも五十音順だとしたら、かなり前の方でしたので、もしかすると一回も回ってない子もいたのか知れません。


 救いはA子がみんなに好かれる子であったことです。先生も「A子~またおまえか」と言いながらお気に入りでしたし。

 もしもそうじゃなかったら、ちょっとしたいじめみたいになってたかも知れない。そのぐらい毎日でした。


 A子のキャラのおかげか、今思い出しても笑える思い出になってはいます。

 今はどうしてるのかなあA子。

 社会に出たらちゃんと遅刻せずにいられたのかな。

 本当に、ふと、急に思い出してしまいました。

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