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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2022年  8月
55/1001

世界で私だけに

 7年ぶりに私が半生かけて愛し続けてるバンドのコンサートに行ってきました。


 あまりになんやかんやあるバンドなもので、奇跡のような今度の舞台に泣けていたかも知れないと思いますが、1曲目とこの半年の間の出来事が重なり、もう号泣です。マジ泣きしてました。

 そしてこのタイミングでコンサートをやってくれたことに感謝をしました。


 その後はもう彼らの生み出す光と音のスペクタクルに没頭。

 本当に素晴らしい2時間でした。

 

 そしてその中で、世界中で私だけが感動する出来事があったので、それを書いておきたいと思いました。


 コンサートの半ば、必ずメンバーのソロパートがあるのですが、リーダーのキーボードソロの時、いつものように夢のような演奏に身をゆだねて聞き入っていた時、ふと、照明の色に意識が。


「あ、このオレンジ、ミーヤのオレンジ、朝陽(あさひ)(のぼ)る時のあのオレンジ」


 そう気がついたんです。


 拙作の長編小説「黒のシャンタル」の重要な登場人物、ミーヤのカラーがこの色なんです。

 本当にそういう、私が思っていたようなオレンジの照明がステージの上をくるくると回ってました。


 偶然だけどうれしいなあとそのオレンジを見ていたら、次の瞬間、


「これはトーヤの青」


 一瞬にしてステージ上の照明が今度は主人公トーヤの青に変わったんです。


 なんだかもう鳥肌が立ちました。

 ただの偶然なんだと思いますが、まずあのオレンジ、赤ならあるけどあまりあのオレンジはステージで見ない気がします。いや、あったかも知れませんが、少なくとも私の中で印象として残ってはいませんでした。

 それで偶然だけどうれしいと思っていたら、今度はトーヤの青に。

 

 「黒のシャンタル」の中でイメージカラーのある人物が何人かいます。その主人公と主人公の運命の人の2色がくるくる。なんだかもう感激してしまいました。


 そうしたら次の瞬間、


「今度はシャンタルの銀が!」


 本当は白だと思います。

 ですが、今まで何色もの色がくるくるして、そのすぐ手前が青とオレンジだったのが、一斉にあちこちからの銀色のバリライトに照らされて。


 また涙が出てきました。

 そしてこれは、世界で私だけが感じている感動なんだろうなとただ涙。

 

 だってそうでしょう。

 おそらく、今、この会場にいる中であのオレンジと青に、そしてその後の銀に特別な感情を持つのは私だけです。

 もちろん、言うまでもなく当然ですが、バンドのメンバーも全く知らないこと。

 まず私の存在など知らない、そして私が書いている小説のことはもっともっと知らない。

  

 そんな中で起こったほんの一瞬の出来事ですが、きっとこの夏のこの夜のことは一生忘れない、そう思う出来事でした。

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