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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2024年  9月
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にんじんとメロン

 今夜、メロンを食べていて、ふと、思い出しました。


 子供の頃、ルナールの小説「にんじん」を途中まで読んでやめてしまいました。

 なぜかと言いますと、主人公の「にんじん」がものすごくかわいそうだったからです。


 主人公は確か「にんじんのような髪」をしているという理由で、家族からも馬鹿にするように「にんじん」と呼ばれている男の子です。本名は他にあるのに、家族が「にんじん」としか呼ばず、差別して不当な扱いを受けています。


 ある日、家族でメロンを食べるんですが、


「おまえはメロンが嫌いだろうから食べなくていい」


 みたいな理由、だったと思うのですが、とにかく1人だけメロンを食べさせてもらえず、家族が食べ終わったメロンの皮を、


「うさぎ小屋のうさぎにやってくるように」


 そう言われてうさぎ小屋に持って行きます。


 そこでにんじんはメロンの皮をすぐにうさぎにはやらず、


「ちょっと待ってろ」


 と言って、まだ皮に付いている実を食べ、実がなくなったのからうさぎにやるのです。


 そのシーンの挿絵があり、うさぎ小屋に何匹かのうさぎがいて、男の子がメロンの皮を持ってせっせと食べているシーンでした。


 それがね、なんか子供心になんかすごく嫌で、悲しくて、そこで読むのをやめてしまいました。


 メロンやスイカを食べていると時々思い出していたんですが、それを誰かに話したことはありませんでした。でも今夜はふと、話したくなったのでその話をしました。


「児童文学だったらきっとハッピーエンドになったんじゃないの?」


 話した相手がそう言ってくれて、私も、


「小公子や小公女もそうだし、にんじんもきっとそうかな」


 と、あらためて読んでみようかなと思いました。


 それでネットで検索かけてみたんですが、うーん……これ、ハッピーエンドになるのか?

 

 どうやら小説と戯曲の両方があるらしく、なんとなくホッとするようなハッピーエンドにはならないような……


 私が読んだのは、おそらく子供用に訳されたものだと思うので、そういうのはハッピーエンドになってるっぽい気もするのですが、大人になった今読んだら、なんとなく逆に考え込んでしまいそうな、そんな嫌な予感もしてます。


 にんじん、幸せになってるといいんだが……

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