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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2023年 10月
478/1001

地下に潜入

 えーと、また奴らの話になりますので、虫の話が苦手な方はどうも申し訳ありません。


 かなりでかくなってきた奴らですが、どうも大きくなってるけど数が減ってるように思いました。


「鳥にでも食べられてるのかな」


 と、思ってたんですが、どうも球根をかじるのに土のあたりにいることが多くなり、それで見つけにくくなったように思いました。


「大人になったら葉っぱより球根の方がよくなったんだろうか。食べ物の趣味が変わるのか?」


 そう思ってました。


 そして、今日、もうちょっとよく見てやろうかなと思って、かじられて枯れた葉っぱを取り除いていたら、


「すぽっ!」

 

 中が空っぽになった球根がすっぽぬけた!


「うわあ、こんな風に中まで食われてるのか」

 

 いくつかそんな感じですっぽ抜けたので、それはどけて、さらに様子を見てたんですが、


「あれっ?」


 なんだか、ちょっと思うところができました。


 すごく大きな、多分奴らの中でも一番大きいんじゃないか、ってのが球根の中で丸まってて、私が引っこ抜いたことで、


「何をするんですか」

 

 という感じで丸くなってくねくねしてる。


 これ、もしかして、ここでサナギになろうとしてるのか?

 気になったので調べてみたら、どうやらそのようです。


 てっきりサナギって、蝶のサナギみたいに葉っぱにくっつくもんだと思ってました。でも、その姿で越冬するって言うんだから、クマみたいに穴の中に入るわけですな。そりゃそうか、冬の間ずっと葉っぱにぶらさってたら、食べる物が少なくなる季節、鳥とかのいい餌食になってしまう可能性もある。それであんなにフンを出しながら球根をかじってたんだ、納得。


 ってことは、私は奴らがそろそろ寝ようかなと思ってるのの邪魔をしてしまったのか!

 いや、すまんかった!


 しかし、もう抜いてしまった食われ球根を戻すわけにもいかない。どうにかもう一度自分たちで寝床を確保してくれ、それまでサナギにならないようにがんばってくれ!


 それにしても、誰に教えてもらうわけでもないのに、その時になったら勝手に、


「そろそろ球根かじって寝ようかな」


 って、思うのが不思議です。


 人間なんて、かなり大きくなるまで大人の世話になって、その上、色々教えてもらわないとできないのに、すごいもんだなあと感心しています。

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