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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2023年 10月
457/1001

虫の音の変わり時

 朝晩すっかり涼しくなりました。お昼はまだ太陽が照らしている場所が暑くてエアコンが欲しくなりますが、日陰ではひんやり。


 うちはマンションですが端部屋で、お風呂場の窓が開けられます。目隠しがついていて、開けても外から全然見えませんし、見える場所でもないので、寒くなるまで結構開けたままにしてることが多いです。しっかり網戸がはめ込まれていて、虫も入ってこないですし、もちろん泥棒が入れる形でもないですから。


 夜、お風呂でゆっくり湯船に使っていると、夏は暗くなってもずっとセミの声が聞こえてきます。


「セミは夜まで元気だなあ」


 そう思いながら、お湯に使ってます。


 それが時間が経って、秋に近くなってくると、お昼はセミなんですが、夜は秋の虫に変わってきます。


「ああ、夜はこっちになってきたなあ、時々セミも交じるけど、まだまだ暑いのに夜は秋の気配だなあ」


 そう思いながら、お湯に使ってます。


 それが、一昨日の夜です、お湯に使っていたらえらく静かなんです。


「あれ、夜の部、終わり?」


 静かな中、お湯に浸かりながら、


「そう言えば、秋の虫の次に冬の虫って鳴かないよね」


 そう思いました。


 夏から秋へはグラデーションのように鳴き声が変わるけど、冬になる時はいきなり静かになるんだなあ。そう思うと、なんだかちょっと寂しく感じました。諸行無常な感じ。


「まだまだ暑いけどもう秋から冬へ移動しつつあるんだなあ」


 そう思っていたのに、昨夜お風呂に入ったら、


「あれ、また秋の虫が鳴いてるがな」


 ええ、スズムシが賑やかに鳴いてました。他のは区別つきませんが、スズムシだけは分かります。


 もしかしたら、虫の種類が交代だったのか? 一昨日はそれで交代の休日だったのか。


 どちらにしても、もうちょっと秋の風情を楽しめるのかなと思いました。


 そして思ったことがもう一つ……


 こんな風に、冬の寒い時期以外は結構お風呂の窓だけ開けているんですが、エアコンをつけている夏はお風呂のドアも洗面所のドアも、廊下からリビングへのドアも閉めてあります。それが、エアコンを切ると、どのドアも開けて外の空気を入れる形になります。


「ああ、あそこの部屋から歌声が聞こえるようになった、そろそろエアコンを切って秋が来るんだなあ」


 他の住人の方からそう思われないように、歌う時はドアを閉めないとな、そう思いました。

 知らないうちに秋の風物詩にされてはかなわん。

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