表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2023年  8月
407/1001

質屋の仕事

 今の朝ドラに質屋のおじさんが出てきます。主人公の家では質屋をしょっちゅう利用していて、その妻もおじさんと仲良しで、最後には妻の大事な大事な物を「おじさんに貸すだけだから流さないでほしい」そうお願いしてお金を借りるぐらい親しい人になってます。


 私は質屋さんは利用したことがないんですが、子供の頃にもドラマの中で、どうしてだったか女子高生が担任の先生に付いて行ったら質屋さんに入るところだった、のを見たことがあります。


 江戸時代の庶民には、質屋さんというのはとても馴染みのあるお商売で、例えば夏になったら布団を質屋さんに預けて質札をもらい、冬には受けだして使う、なんて倉庫代わりにもしていたと読んだこともあります。もちろん、お金を払えなかったら「流される」、つまり他の人に売ってしまうわけですが、そういう時には利子だけ払って流さないようにしてもらっていたとか。朝ドラの質屋のおじさんみたいに、馴染みになるとそういうちょっとしたお願いなら、聞いてもらえたりもしてたんでしょうね。「もうちょっと待って」みたいな。


 私の活動範囲にも実は質屋さんがあります。何年ぐらい前にできたのか覚えてませんが、ある時3階建てかなあ、黒い格子みたいな飾りのついたビルができました。1階の入り口の横にガラスのショーケースがあって、そこにブランドバッグが飾ってあります。そして「質」と書いた看板が出ているので、ああ質屋さんができたんだなと思って見ました。車で横を通るだけなので、細かく見たことはないですが、なんとなくその建物がイメージの質屋さんぽくて、なかなかシャレたビルを建てたなと思ったのを覚えています。


 ですが、今、質屋さんをそんな風に使っている人っているんでしょうか? 今朝もテレビで「質流れ品のセール」を紹介してたんですが、大抵の人がブランドバッグなんかを売る目的で持ち込んで、それを査定した質屋さんが買い取り、買いに来た人にそれなりのお値段で提供する、それが今の質屋さんの形になっている気がします。


 もしも、私が例えば使っていないストーブとかを持って行って「冬には出しにきます」と言ってもお金、貸してくれるのかなあ。今の質屋さんってブランド物とか金製品とかを「買い取る」イメージしかありません。きっと、バッグ持って行った人も「質札」なんてもらって帰ってませんよね。


 それってもう「質屋」じゃなくて「リサイクルショップ」だと思うんですが、それでもデパートで開催されているのは「質流れ品セール」だそうで、テレビで見た人はブランドバッグをいくつかまとめて数十万円で買った、とか言ってました。


 なんだろう、なんか思ってるのとちがーう!

 質屋さんの仕事と思ってるのとちがーう!


 それでもやっぱり、今でもそういうお店が「質屋さん」なのが、なんとなく不思議です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ