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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2023年  8月
378/1001

みんみんじゃなくぶいぶい

 今年の夏は台風の影響もあるでしょうが、いつもの夏よりまたちょっと変な夏だったような気がします。


 その一つがみんみん様です。声はするけど、今年はいわゆる「ファイナル」の方にはあまりお会いしなかった気がします。2回ぐらいかなあ。いつもはもっとびびらされるんですけどね。


 今年は変則的に実家の門扉で「ジジジジ」言われて「ババババ」となったのと、ひっそりと廊下で倒れてらっしゃったぐらい。なんとなくさびしい感じです。


 その代わり、みんみん様の季節なのに、例のもうちょっとおりこうではない、


「ぶいぶい」


 が最近、また廊下で上を向いてぶいぶい言ってます。


「なんでこんな季節に」


 そう思いながら一回目は廊下の端、いつもの溝にいるのをいつものように靴の先にくっつけて、


「ほれ、いきなさい」


 と足を振ったらぶいーっと飛んでいきました。


 その2日ほど後、部屋から出たら、今度は廊下のど真ん中で上を向いてぶいぶいしてるのがいた。


 場所的に自分でなんとかしそうにも思ったんですが、こうしてぶいぶい震えていたら、あっという間に溝にはまってしまいそうにも思えました。


「しょうがないなあ」


 また足の先にくっつけ、


「ほれ、いきなさい」


 と、足を振ったんですが、今回のぶいぶい、じっと私の足先にとまったまま、


「休憩しとるんか?」


 そんな感じでじっとしました。

 

 いや、そんなところでじっとされても、私はこれから仕事に行くのだ。


「ほれ、じっとしとらんでいきなさい」


 もう一度ぶいぶいと足を振ったら、


「え、なんで登ってくる!」


 なんということでしょう、今回のぶいぶい、靴先からスニーカーの甲の部分をちたちたと登ってこようとしておる! こんなやつ初めて!


 足を振っても対抗するようにしっかりしがみついて登ってくるー!


「来るなー! 飛べー!」


 と、足を振っても飛ばない!


 このまま登られてはたまらんと、靴を脱いで振り落とそう、と姿勢を変えたら、


「ぶーん」


 と飛んで、


「べしっ」


 廊下に落ちた……


 ひょっとしてまたもう一度同じ作業をせんとあかんのか?


 そう思っていたら、


「ぶぶぶぶ」


 と、羽を震わせて、廊下の壁というかなんというか、その下の隙間から外へ出ていきました。


 まあ、落ちてないと思います、一応羽もあるし。

 

 しかし、相変わらずおまぬけだなあ、ぶいぶいは。

 なんとなく和んだからいいか。

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